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発生動向総覧
〈第7週コメント〉 2月24日集計分
◆全数報告の感染症
注意:これは当該週に診断された報告症例の集計です。しかし、迅速に情報還元するために期日を決めて集計を行いますので、当該週に診断された症例の報告が集計の期日以降に届くこともあります。それらについては一部を除いて発生動向総覧では扱いませんが、翌週あるいはそれ以降に、巻末の表の累積数に加えられることになります。
*感染経路、感染原因、感染地域については、確定あるいは推定として記載されていたものを示します。
1類感染症: |
報告なし |
2類感染症: |
結核 277例 |
3類感染症: |
細菌性赤痢1例(感染地域:インド)
腸管出血性大腸菌感染症17例(有症者8例、うちHUS 1例) |
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感染地域:国内17例
国内の感染地域:福岡県3例、宮崎県3例、秋田県2例、愛知県2例、宮城県1例、東京都1例、岐阜県1例、大阪府1例、愛媛県1例、佐賀県1例、熊本県1例
年齢群:1歳(1例)、2歳(1例)、4歳(1例)、10代(2例)、20代(5例)、30代(3例)、40代(1例)、50代(2例)、60代(1例)
血清型・毒素型:O91 VT1(7例)、O157 VT1・VT2(6例)、O103 VT1(1例)、O115 VT1(1例)、O157 VT不明(1例)、その他・不明(1例)
累積報告数:149例(有症者92例、うちHUS 4例.死亡なし)
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4類感染症: |
E型肝炎1例(感染地域:山梨県_感染源:イノシシ肉)
A型肝炎3例(感染地域:鹿児島県2例、埼玉県1例) デング熱1例(感染地域:カンボジア)
類鼻疽1例(感染地域:タイ)
レジオネラ症5例(肺炎型3例、ポンティアック型2例)
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感染地域:栃木県1例、新潟県1例、愛知県1例、大分県1例(温泉)、鹿児島県1例
年齢群:30代(1例)、40代(1例)、60代(1例)、70代(1例)、90代(1例)
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5類感染症: |
アメーバ赤痢10例(腸管アメーバ症8例、腸管外アメーバ症1例、腸管及び腸管外アメーバ症1例) |
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感染地域:東京都3例、秋田県1例、埼玉県1例、京都府1例、中国1例、シンガポール1例、国内(都道府県不明)2例
感染経路:性的接触5例(異性間2例、同性間1例、異性・同性間不明2例)、経口感染1例、不明4例
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ウイルス性肝炎3例〔B型3例_感染経路:性的接触1例(異性間)、不明2例〕
急性脳炎2例
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インフルエンザウイルスAH1pdm 1例_年齢群:50代
インフルエンザウイルスA型1例_年齢群:20代
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クロイツフェルト・ヤコブ病2例
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孤発性プリオン病古典型1例、孤発性プリオン病その他1例
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劇症型溶血性レンサ球菌感染症2例
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年齢群:70代(1例)、80代(1例)
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後天性免疫不全症候群11例(AIDS 2例、無症候9例)
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感染地域:国内8例、タイ2例、国外・国内不明1例
感染経路:性的接触11例(異性間4例、同性間5例、異性間/同性間2例)
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ジアルジア症1例(感染地域:インド)
梅毒12例(早期顕症I期3例、早期顕症II期5例、晩期顕症3例、無症候1例)
バンコマイシン耐性腸球菌感染症1例(遺伝子型:不明_菌検出検体:尿)
麻しん11例〔麻しん(検査診断例2例、臨床診断例8例)、修飾麻しん(検査診断例1例)〕
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感染地域:国内11例
国内の感染地域:神奈川県4例、東京都2例、兵庫県2例、千葉県1例、京都府1例、国内(都道府県不明)1例
年齢群:0歳(1例)、1歳(1例)、3歳(1例)、4歳(1例)、5〜9歳(1例)、10〜14歳(2例)、20〜24歳(2例)、30〜34歳(1例)、60代(1例)
累積報告数:64例〔麻しん(検査診断例20例、臨床診断例24例)、修飾麻しん(検査診断例20例)〕
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(補)他に2010年第6週までに診断されたものの報告遅れとして、急性灰白髄炎1例(ワクチン株由来.0歳)、細菌性赤痢1例(感染地域:インドネシア)、E型肝炎2例〔感染地域(感染源):北海道1例(焼肉)、愛媛県1例(イノシシ生肉)〕、レジオネラ症2例〔感染地域:栃木県1例(温泉.死亡)、石川県/福井県1例(温泉)〕、急性脳炎7例〔インフルエンザウイルスAH1pdm 4例(4歳1例、5歳1例、10代1例、40代1例)、A型インフルエンザウイルス1例(6歳)、ヒトヘルペスウイルス6型1例(0歳)、病原体不明1例(10代)〕、劇症型溶血性レンサ球菌感染症3例〔30代(2例.うち1例死亡)、90代(1例.死亡)〕、後天性免疫不全症候群1例(病型:AIDS、感染地域:日本国内、感染経路:不明.死亡)、風しん1例(検査診断例.感染地域:フィリピン.年齢群:40代)などの報告があった。 |
◆定点把握の対象となる5類感染症(週報対象のもの)
全国の指定された医療機関(定点)から報告され、疾患により小児科定点(約3,000 カ所)、インフルエンザ(小児科・内科)定点(約5,000 カ所)、眼科定点(約600 カ所)、基幹定点(約500 カ所)に分かれています。また、定点当たり報告数は、報告数/定点医療機関数です。
インフルエンザ: 定点当たり報告数は第4週以降減少が続いている。都道府県別では福井県(5.19)、佐賀県(4.64)、沖縄県(3.69)、富山県(3.57)、新潟県(3.24)、埼玉県(2.90)、静岡県(2.90)が多い。
小児科定点報告疾患:RSウイルス感染症の報告数は3,901例と3週連続で減少した。年齢別では、1歳以下の報告数が全体の約66%を占めている。咽頭結膜熱の定点当たり報告数は2週連続で増加した。都道府県別では宮崎県(0.78)、鹿児島県(0.40)、佐賀県(0.39)が多い。A群溶血性レンサ球菌咽頭炎の定点当たり報告数は増加した。都道府県別では山形県(4.23)、鳥取県(3.42)、新潟県(3.38)が多い。感染性胃腸炎の定点当たり報告数は3週連続で減少したが、過去5年間の同時期(前週、当該週、後週)と比較してかなり多い。都道府県別では大分県(20.6)、岡山県(19.3)、山口県(19.1)、群馬県(18.1)が多い。水痘の定点当たり報告数は3週連続で増加した。都道府県別では宮崎県(4.3)、沖縄県(3.5)、鹿児島県(2.9)が多い。手足口病の定点当たり報告数は第3週以降増加が続いている。都道府県別では広島県(1.43)、福井県(1.27)、山形県(1.13)が多い。伝染性紅斑の定点当たり報告数は増加した。都道府県別では山梨県(0.25)、神奈川県(0.22)、大分県(0.22)が多い。百日咳の定点当たり報告数は減少した。都道府県別では広島県(0.15)、沖縄県(0.12)、新潟県(0.10)が多い。ヘルパンギーナの定点当たり報告数は2週連続で増加した。都道府県別では岩手県(0.30)、熊本県(0.21)、島根県(0.13)が多い。流行性耳下腺炎の定点当たり報告数は2週連続で増加した。都道府県別では沖縄県(4.4)、山形県(2.5)、富山県(1.8)、奈良県(1.8)が多い。
基幹定点報告疾患:マイコプラズマ肺炎の定点当たり報告数は2週連続で増加した。都道府県別では沖縄県(2.14)、青森県(1.50)、宮城県(1.33)が多い。
注目すべき感染症
◆ インフルエンザ
インフルエンザ(Influenza)は、インフルエンザウイルスを病原体とする急性の呼吸器感染症で、毎年世界中で流行がみられている。2009年4月にその存在が明らかとなった新型インフルエンザA/H1N1の臨床像は、従来の季節性インフルエンザとほぼ同様であり、罹患者の大半は合併症なく治癒するといわれているが、肺炎やインフルエンザ脳症を併発して重症化する場合がある。特に肺炎は、急速に進行する重症のウイルス性肺炎を起こす場合が多く、喘息や慢性閉塞性肺疾患等の呼吸器疾患の存在が急激な悪化と関連しているといわれている〔Clinical features of severe cases of pandemic influenza: Pandemic(H1N1)2009 briefing note 13, Global Alertand Response, WHO, Oct. 16, 2009;http://www.who.int/csr/disease/swineflu/notes/h1n1_clinical_features_20091016/en/index.html〕。
北半球の国々では、多くの国で新型インフルエンザウイルスが検出されているが、インフルエンザの活動性は殆どの地域で弱まってきている。現在最も流行しているのは、ヨーロッパの東および東南部の限られた地域と、南および東南アジアである。東アジアでは、新型インフルエンザウイルスと季節性のB型インフルエンザウイルスが共に循環している。最近のモンゴル共和国でのインフルエンザの活動性の増加は、季節性のB型インフルエンザの循環の増加による可能性がある。日本と韓国では、インフルエンザの活動性は低下し続けており、非流行時期のレベルに戻りつつある。香港と台湾では、新型インフルエンザウイルスは検知されているものの、インフルエンザの活動性は昨年の秋のピーク時と比べるとはるかに低いレベルである〔Pandemic(H1N1)2009 -update 89:http://www.who.int/csr/don/2010_02_26/en/index.html〕。
感染症発生動向調査では、全国約5,000カ所(小児科定点約3,000、内科定点約2,000)のインフルエンザ定点からの報告に基づいてインフルエンザの発生動向を分析している。本サーベイランスは原則的に臨床診断によるものであり、最近の国内のインフルエンザウイルス検出状況を考慮すれば、現在報告されているインフルエンザ患者発生の殆どは新型インフルエンザによるものであると推定される。
2010年第7週のインフルエンザの定点当たり報告数は1.76(報告数8,438)となり、第4週以降減少が続いている(図1)。都道府県別では福井県(5.19)、佐賀県(4.64)、沖縄県(3.69)、富山県(3.57)、新潟県(3.24)、埼玉県(2.90)、静岡県(2.90)、長野県(2.70)、山梨県(2.63)、茨城県(2.43)の順となっている。山形県と新潟県を除く45都道府県では前週よりも減少がみられており、また福井県を除く全ての都道府県で5.00を下回った(図2)。
定点医療機関からの報告数をもとに、定点以外を含む全国の医療機関を1週間に受診した患者数の推計値は約9万人(暫定値)と減少し、第28週以降これまでの累積の推計受診患者数は約2,052万人(95%信頼区間:2,032万人〜2,072万人)(暫定値)となった(図3)。性別では男性約1,059万人(51.6%)、女性約993万人(48.4%)であり、年齢群別では5〜9歳約516万人(25.2%)、10〜14歳約474万人(23.2%)、15〜19歳約280万人(13.7%)、0〜4歳約227万人(11.1%)、20〜29歳約218万人(10.6%)、30〜39歳約154万人(7.5%)の順となっている(図4)。全ての年齢群で、前週よりも減少かまたは横ばいとなっている。但し、推計受診患者数は、受診患者数の多い医療機関がより多く選定されている傾向があることなどから、真の受診患者数より過大であると考えられている。この点を踏まえ、推計受診患者数についてはあくまで参考値として理解していく必要がある。
患者報告数が増加し始めた2009年第28週以降では、2010年第7週までに、全国の地方衛生研究所から27,592件のインフルエンザウイルスの検出が報告され、AH1亜型(Aソ連型)18件(0.07%)、AH3亜型(A香港型)148件(0.54%)、B型17件(0.06%)、AH1pdm(新型インフルエンザウイルス)27,409件(99.34%)とインフルエンザウイルスの検出報告数の大半をAH1pdmが占めている。また、2010年に入っても第1〜7週までの7週間で検出・報告された1,733検体中、AH1亜型0件、AH3亜型0件、B型11件(0.63%)、AH1pdm 1,722件(99.37%)と殆どがAH1pdmである状態が継続しており、現在国内で発生しているインフルエンザの殆どは新型インフルエンザによるものであると推定される状態が続いている(図5、および感染症情報センターホームページ:http://idsc.nih.go.jp/iasr/prompt/graph/sinin1.gif 参照)
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図1. インフルエンザの年別・週別発生状況(2000〜2010年第7週) |
図2. インフルエンザの都道府県別定点当たり報告数の推移(2010年第5〜7週) |
図3. インフルエンザ推計受診患者数(暫定値)週別推移(2009年第28週〜2010年第7週) |
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図4. インフルエンザ推計受診患者数(暫定値)の年齢群別割合(2009年第28週〜2010年第7週) |
図5. インフルエンザウイルス検出報告割合(2009年第28週〜2010年第7週) |
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定点からの報告数は、2009年第48週をピークに減少し続け、2010年第3週に一旦やや増加したものの、第4週以降再び減少が続いている。第7週の定点当たり報告数は1.76となり、インフルエンザの非流行時期のレベルに近づきつつある。しかし、まだ新型インフルエンザの今後の発生動向については不明な点も多く、季節性も含めたインフルエンザの発生動向には注意が必要であると思われる。
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