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発生動向総覧
〈第31週コメント〉 8月11日集計分
◆全数報告の感染症
注意:これは当該週に診断された報告症例の集計です。しかし、迅速に情報還元するために期日を決めて集計を行いますので、当該週に診断された症例の報告が集計の期日以降に届くこともあります。それらについては一部を除いて発生動向総覧では扱いませんが、翌週あるいはそれ以降に、巻末の表の累積数に加えられることになります。
*感染経路、感染原因、感染地域については、確定あるいは推定として記載されていたものを示します。
1類感染症: |
報告なし |
2類感染症: |
結核 315例 |
3類感染症: |
細菌性赤痢6例
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菌種:S. flexneri (B群)3例_感染地域:青森県1例、長野県1例、国内(都道府県不明)1例
菌種:S. sonnei (D群)3例_感染地域:東京都1例、国内(都道府県不明)1例、インド1例
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腸管出血性大腸菌感染症167例(有症者117例、うちHUS なし) |
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感染地域:国内167例
国内の多い感染地域:福岡県18例、三重県17例、岩手県13例、東京都12例、佐賀県11例、愛知県7例、京都府6例、大阪府6例、福井県5例、長野県5例、熊本県5例、千葉県4例、兵庫県4例、宮城県3例、神奈川県3例、石川県3例、静岡県3例
年齢群:0歳(1例)、1歳(12例)、2歳(7例)、3歳(11例)、4歳(5例)、5歳(9例)、6歳(5例)、7歳(2例)、8歳(3例)、9歳(2例)、10代(22例)、20代(32例)、30代(23例)、40代(10例)、50代(8例)、60代(10例)、70代(5例)
血清型・毒素型:O157 VT1・VT2(62例)、O157 VT2(26例)、O26 VT1(22例)、O157 VT不明(12例)、O103 VT1(11例)、O157 VT1(10例)、O121 VT2(3例)、O145 VT1・VT2(3例)、O145 VT2(3例)、O91 VT1( 2例)、O26 VT1・VT2( 1例)、O26 VT不明(1例)、O111 VT1・VT2(1例)、O111 VT1(1例)、O145 VT1(1例)、O165 VT2(1例)、O165 不明(1例)、その他・不明(6例)
累積報告数:1,910例(有症者1,240例、うちHUS 42例.死亡2例)
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腸チフス1例(感染地域:インド)
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4類感染症: |
E型肝炎2例
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感染地域:北海道1例_感染源:不明
感染地域:愛知県1例_感染源:不明
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A型肝炎2例(感染地域:千葉県1例、インド/ネパール1例)
デング熱10例
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感染地域:インドネシア3例、タイ3例、フィリピン1例、シンガポール
1例、バルバドス1例、インド/バングラデシュ1例
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日本紅斑熱1例(感染地域:鹿児島県)
マラリア2例
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三日熱1例_感染地域:ブラジル
熱帯熱1例_感染地域:カメルーン
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ライム病1例(感染地域:スイス)
レジオネラ症15例(肺炎型15例)
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感染地域:新潟県2例、石川県2例(2例とも温泉)、北海道1例、栃木県1例、富山県1例、愛知県1例(温泉)、滋賀県1例、京都府1例、大阪府1例、兵庫県1例、大阪府/島根県1例、国内(都道府県不明)1例(温泉)、中国1例
年齢群:50代(1例)、60代(7例)、70代(5例)、80代(2例)
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5類感染症: |
アメーバ赤痢17例(腸管アメーバ症14例、腸管外アメーバ症2例、腸管及び腸管外アメーバ症1例) |
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感染地域:福島県1例、東京都1例、神奈川県1例、静岡県1例、愛知県1例、京都府1例、宮崎県1例、鹿児島県1例、国内(都道府県不明)5例、韓国1例、台湾1例、米国1例、中国/インド1例
感染経路:性的接触3例(同性間2例、異性・同性間不明1例)、経口感染6例、その他・不明8例
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ウイルス性肝炎1例〔B型_感染経路:性的接触(異性間)〕
急性脳炎2例
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単純ヘルペスウイルス1型1例_年齢群:1歳
病原体不明1例_年齢群:1歳
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クロイツフェルト・ヤコブ病2例
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孤発性プリオン病古典型1例
感染性プリオン病医原性1例
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劇症型溶血性レンサ球菌感染症1例(年齢群:10代)
後天性免疫不全症候群11例(AIDS 4例、無症候5例、その他2例)
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感染地域:国内10例、国内・国外不明1例
感染経路:性的接触8例(異性間3例、同性間4例、異性・同性間不明1例)、不明3例
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梅毒8例(早期顕症I期2例、早期顕症II期4例、無症候2例)
破傷風3例〔年齢群:70代(1例)、80代(2例)〕
バンコマイシン耐性腸球菌感染症2例(遺伝子型:VanB 2例_菌検出検体:尿2例)
風しん1例(検査診断例)
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感染地域:静岡県
年齢群:0歳
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麻しん11例〔麻しん(検査診断例5例、臨床診断例1例)、修飾麻しん(検査診断例5例)〕
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感染地域:国内11例
国内の感染地域:大阪府2例、福岡県2例、宮城県1例、埼玉県1例、東京都1例、福井県1例、愛知県1例、国内(都道府県不明)2例
年齢群:0歳(1例)、1歳(2例)、4歳(1例)、20〜24歳(2例)、25〜29歳(1例)、35〜39歳(2例)、40代(1例)、50代(1例)
累積報告数:335例〔麻しん(検査診断例123例、臨床診断例98例)、修飾麻しん(検査診断例114例)〕
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(補)他に2010年第30週までに診断されたものの報告遅れとして、細菌性赤痢1例(感染地域:カンボジア)、日本紅斑熱2例(感染地域:三重県1例、宮崎県1例)、ライム病1例(感染地域:北海道)、急性脳炎4例〔ヒトヘルペスウイルス6型1例(1歳)、コクサッキーウイルスB5型1例(2歳)、病原体不明2例(3歳、20代)〕、劇症型溶血性レンサ球菌感染症2例〔50代(1例)、70代(1例.死亡)〕などの報告があった。 |
◆定点把握の対象となる5類感染症(週報対象のもの)
全国の指定された医療機関(定点)から報告され、疾患により小児科定点(約3,000 カ所)、インフルエンザ(小児科・内科)定点(約5,000 カ所)、眼科定点(約600 カ所)、基幹定点(約500 カ所)に分かれています。また、定点当たり報告数は、報告数/定点医療機関数です。
インフルエンザ: 定点当たり報告数は増加した。都道府県別では沖縄県(0.62)、大分県(0.40)、三重県(0.07)、福岡県(0.06)が多い。
小児科定点報告疾患:RSウイルス感染症の報告数は223例と3週連続で増加した。年齢別では1歳以下の報告数が全体の約77%を占めている。咽頭結膜熱の定点当たり報告数は減少した。都道府県別では広島県(1.33)、大分県(1.28)、富山県(1.17)が多い。A群溶血性レンサ球菌咽頭炎の定点当たり報告数は第24週以降減少が続いている。都道府県別では鳥取県(1.79)、石川県(1.55)、山口県(1.14)が多い。感染性胃腸炎の定点当たり報告数は減少した。都道府県別では大分県(7.0)、島根県(6.8)、宮崎県(5.9)が多い。水痘の定点当たり報告数は第24週以降減少が続いている。都道府県別では愛媛県(1.97)、高知県(1.37)、福岡県(1.09)が多い。手足口病の定点当たり報告数は3週連続で減少した。都道府県別では新潟県(8.8)、福井県(7.2)、宮崎県(5.2)が多い。伝染性紅斑の定点当たり報告数は増加した。都道府県別では千葉県(0.98)、秋田県(0.91)、長崎県(0.91)が多い。百日咳の定点当たり報告数は増加し、過去5年間の同時期(前週、当該週、後週)と比較してやや多い。都道府県別では兵庫県(0.19)、沖縄県(0.15)、栃木県(0.13)、山梨県(0.13)が多い。ヘルパンギーナの定点当たり報告数は3週連続で減少した。都道府県別では新潟県(8.3)、長野県(7.5)、宮城県(6.2)が多い。流行性耳下腺炎の定点当たり報告数は減少した。都道府県別では山口県(3.67)、福島県(2.98)、和歌山県(2.90)が多い。
基幹定点報告疾患:マイコプラズマ肺炎の定点当たり報告数は2週連続で減少した。都道府県別では富山県(2.20)、宮城県(1.08)、福島県(1.00)、栃木県(1.00)が多い。
注目すべき感染症
◆ 腸管出血性大腸菌感染症 (2010年8月11日現在)
2010年の腸管出血性大腸菌感染症報告数は、例年同様に第20週から増加し始めた。第22〜24週にかけて、三重県の中学・高校における大規模な集団感染事例(189例)が発生したことで一時的に報告が急増した。その後いったん減少したが、第26週以降再び増加して100例を超える報告が続いており、第29週116例、第30週158例で、第31週は167例であった(図1)。本年第31週までの累積報告数1,910例は、2000年以降の各年同期間の累積報告数と比較して2001年、2007年に次いで3番目に多い報告数である(2000年1,562例、2001年2,406例、2002年1,752例、2003年1,224例、2004年1,755例、2005年1,715例、2006年1,737例、2007年1,986例、2008年1,844例、2009年1,683例)。
第31週に報告のあった167例は、有症状者が117例(70%)、無症状病原体保有者が50例(30%)であった。都道府県別にみると、福岡県(19例)、東京都(17例)、三重県(16例)、岩手県(13例)、佐賀県(11例)からの報告が多かった(図2)。佐賀県では保育施設内でO103 VT1による集団感染が発生し、これまでに園児とその家族から計11例が報告されている。また、三重県では同じ部活動の高校生がO157 VT1・VT2に感染し、第30週以降計10例の感染が報告されている。性別では男性73例、女性94例であり、年齢群別では0〜9歳57例、20〜29歳32例、30〜39歳23例、10〜19歳22例の順に多かった。腸管出血性大腸菌感染症の重篤な合併症である溶血性尿毒症症候群(HUS)の発症者はいなかった。
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図1. 腸管出血性大腸菌感染症の年別・週別発生状況(2000〜2010年第31週) |
図2. 腸管出血性大腸菌感染症の診断週別・都道府県別報告数(2010年第29〜31週) |
表. 腸管出血性大腸菌感染症の溶血性尿毒症症候群(HUS)の年齢群別報告数(2010年第1〜31週) |
第1〜31週の累積報告数1,910例についてみると、報告の多い都道府県は、三重県(270例)、福岡県(162例)、東京都(157例)、愛知県(138例)、大阪府(96例)であり、性別では男性897例、女性1,013例、年齢群別では0〜9歳509例、10〜19歳408例、20〜29歳296例の順に多い。第26週以降、特に愛知県と三重県で食中毒事例が複数発生し、O157 VT1・VT2の報告数が増加している。また最近では、第30週から長野県と岩手県でそれぞれO26 VT1集団感染事例が発生している。HUS発症者は累計42例報告されており、性別では男性18例、女性24例で、年齢群別では0〜4歳25例、5〜9歳3例、10〜14歳3例、15歳以上11例であった(表)。死亡例はこれまでに2歳男性(O157 VT1・VT2、HUS発症)と90代男性(O157 VT1・VT2、HUS発症せず)の2例が報告されている。
毎年本症の報告がピークとなる8月に入り、今後もその発生動向には注意が必要である。食肉の十分な加熱処理などにより、食中毒の予防を徹底するとともに、手洗いの励行などにより、ヒトからヒトへの二次感染を予防することが重要である。
(補)菌の検出状況については、http://idsc.nih.go.jp/iasr/prompt/graph-lj.html をご参照ください。
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