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発生動向総覧
〈第33週コメント〉 8月25日集計分
◆全数報告の感染症
注意:これは当該週に診断された報告症例の集計です。しかし、迅速に情報還元するために期日を決めて集計を行いますので、当該週に診断された症例の報告が集計の期日以降に届くこともあります。それらについては一部を除いて発生動向総覧では扱いませんが、翌週あるいはそれ以降に、巻末の表の累積数に加えられることになります。
*感染経路、感染原因、感染地域については、確定あるいは推定として記載されていたものを示します。
1類感染症: |
報告なし |
2類感染症: |
結核 304例 |
3類感染症: |
コレラ1例(感染地域:インド)
細菌性赤痢7例
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菌種:S. flexneri (B群)2例_感染地域:宮城県1例、フィリピン1例
菌種:S. sonnei (D群)5例_感染地域:兵庫県/タイ1例、中国1例、タイ1例、インド1例、バングラデシュ1例
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腸管出血性大腸菌感染症194例(有症者152例、うちHUS 5例.死亡1例) |
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感染地域:国内190例、韓国1例、フィリピン1例、米国1例、タイ/ベトナム1例
国内の多い感染地域:富山県20例、栃木県17例、埼玉県17例、東京都13例、神奈川県10例、福岡県9例、兵庫県8例、愛知県6例、大阪府6例、宮城県5例、三重県5例、佐賀県5例、北海道4例、岩手県4例、石川県4例、京都府3例、大分県3例
年齢群:0歳(3例)、1歳(14例)、2歳(11例)、3歳(4例)、4歳(8例)、5歳(9例)、6歳(4例)、7歳(5例)、8歳(2例)、9歳(5例)、10代(30例)、20代(38例)、30代(15例)、40代(11例)、50代(9例)、60代(16例)、70代(8例)、80代(2例)
血清型・毒素型:O157 VT1・VT2(103例)、O157 VT2(36例)、O26 VT1(19例)、O157 VT1(8例)、O157 VT不明(7例)、O26 VT1・VT2(4例)、O103 VT1(3例)、O15 VT1(1例)、O26 VT不明(1例)、O91 VT1(1例)、O111 VT1(1例)、O119 VT1(1例)、O145 VT2(1例)、その他・不明(8例)
累積報告数:2,347例(有症者1,563例、うちHUS 54例.死亡3例)
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腸チフス1例(感染地域:ネパール)
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4類感染症: |
E型肝炎1例(感染地域:北海道_感染源:豚肉)
A型肝炎3例
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感染地域:インドネシア1例、カザフスタン1例、タイ/カンボジア1例
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つつが虫病1例(感染地域:青森県)
デング熱9例
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感染地域:インドネシア3例、フィリピン2例、スリランカ2例、マレーシア1例、カンボジア1例
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日本紅斑熱3例(感染地域:広島県1例、愛媛県1例、熊本県1例)
マラリア3例
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三日熱1例_感染地域:インド
熱帯熱2例_感染地域:ガーナ1例、中央アフリカ1例
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レジオネラ症11例(肺炎型11例)
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感染地域:愛知県2例、福島県1例、東京都1例、神奈川県1例、石川県1例、滋賀県1例、京都府1例、大阪府1例、山口県1例、国内(都道府県不明)1例
年齢群:50代(3例)、60代(4例)、70代(2例)、80代(2例)
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5類感染症: |
アメーバ赤痢10例(腸管アメーバ症9例、腸管外アメーバ症1例) |
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感染地域:北海道1例、宮城県1例、東京都1例、福井県1例、国内(都道府県不明)3例、タイ2例、中国1例
感染経路:経口感染2例、性的接触2例(異性間2例)、経口感染/性的接触(異性間)1例、その他・不明5例
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ウイルス性肝炎1例〔B型_感染経路:性的接触(異性・同性間不明)〕
急性脳炎2例
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リステリア菌1例_年齢群:70代
病原体不明1例_年齢群:0歳
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劇症型溶血性レンサ球菌感染症1例(年齢群:80代)
後天性免疫不全症候群13例(AIDS 4例、無症候8例、その他1例)
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感染地域:国内11例、米国1例、国内・国外不明1例
感染経路:性的接触10例(異性間3例、同性間7例)、不明3例
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ジアルジア症1例(感染地域:大阪府) 梅毒3例(早期顕症I期1例、早期顕症II期1例、無症候1例)
破傷風3例〔年齢群:50代(1例)、60代(1例)、70代(1例)〕
バンコマイシン耐性腸球菌感染症2例(遺伝子型:VanC_菌検出検体:血液)
風しん1例(検査診断例)
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感染地域:兵庫県
年齢群:35〜39歳
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麻しん8例〔麻しん(検査診断例4例、臨床診断例1例)、修飾麻しん(検査診断例3例)〕
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感染地域:国内8例
国内の感染地域:青森県1例、東京都1例、福井県1例、静岡県1例、兵庫県1例、鹿児島県1例、国内(都道府県不明)2例
年齢群:0歳(1例)、1歳(3例)、20〜24歳(1例)、25〜29歳(1例)、35〜39歳(1例)、60代(1例)
累積報告数:353例〔麻しん(検査診断例128例、臨床診断例105例)、修飾麻しん(検査診断例120例)〕
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(補)他に2010年第32週までに診断されたものの報告遅れとして、エキノコックス症1例(多包条虫_感染地域:北海道)、デング熱2例(感染地域:フィリピン1例、インドネシア1例)、日本紅斑熱2例(感染地域:愛媛県2例)、ライム病1例(感染地域:北海道)、急性脳炎1例〔病原体不明(10代)〕、劇症型溶血性レンサ球菌感染症1例(50代)、後天性免疫不全症候群1例(無症候.感染地域:日本国内.感染経路:母子感染)、バンコマイシン耐性腸球菌感染症1例(遺伝子:VanC_菌検出検体:血液)、風しん1例(検査診断例.感染地域:富山県.年齢群:25〜29歳)などの報告があった。 |
◆定点把握の対象となる5類感染症(週報対象のもの)
全国の指定された医療機関(定点)から報告され、疾患により小児科定点(約3,000 カ所)、インフルエンザ(小児科・内科)定点(約5,000 カ所)、眼科定点(約600 カ所)、基幹定点(約500 カ所)に分かれています。また、定点当たり報告数は、報告数/定点医療機関数です。
インフルエンザ: 定点当たり報告数は減少した。都道府県別では沖縄県(0.76)、鳥取県(0.14)、徳島県(0.08)、大分県(0.07)、神奈川県(0.06)、香川県(0.06)が多い。
小児科定点報告疾患:RSウイルス感染症の報告数は201例と増加した。年齢別では1歳以下の報告数が全体の約79%を占めている。咽頭結膜熱の定点当たり報告数は増加した。都道府県別では広島県(1.47)、山形県(0.73)、高知県(0.73)が多い。A群溶血性レンサ球菌咽頭炎の定点当たり報告数は増加した。都道府県別では宮崎県(1.28)、鳥取県(1.16)、山口県(0.88)が多い。感染性胃腸炎の定点当たり報告数は増加した。都道府県別では大分県(8.1)、宮崎県(6.3)、福井県(6.0)が多い。水痘の定点当たり報告数は第24週以降減少が続いている。都道府県別では愛媛県(1.92)、高知県(1.17)、福井県(1.14)が多い。手足口病の定点当たり報告数は第29週以降減少が続いている。都道府県別では福井県(4.6)、新潟県(4.2)、徳島県(3.4)が多い。伝染性紅斑の定点当たり報告数は増加し、過去5年間の同時期(前週、当該週、後週)と比較してやや多い。都道府県別では長崎県(1.32)、三重県(1.24)、福岡県(1.08)が多い。百日咳の定点当たり報告数は増加し、過去5年間の同時期と比較してやや多い。都道府県別では兵庫県(0.14)、東京都(0.13)、沖縄県(0.12)が多い。ヘルパンギーナの定点当たり報告数は第29週以降減少が続いている。都道府県別では新潟県(4.3)、青森県(3.5)、山形県(3.5)が多い。流行性耳下腺炎の定点当たり報告数は増加した。都道府県別では山口県(3.08)、島根県(2.65)、和歌山県(2.53)が多い。
基幹定点報告疾患:マイコプラズマ肺炎の定点当たり報告数は第30週以降減少が続いている。都道府県別では群馬県(2.25)、富山県(1.60)、埼玉県(1.11)が多い。
注目すべき感染症
◆ 腸管出血性大腸菌感染症 (2010年8月25日現在)
2010年の腸管出血性大腸菌感染症報告数は、例年同様に第20週から増加し始めた。第22〜24週にかけて、三重県の中学・高校における大規模な集団感染事例(189例)が発生したことで一時的に報告が急増した。その後いったん減少したが、第26週以降再び増加して150例を超える報告が続いており、第31週205例、第32週186例で、第33週は194例であった(図1)。本年第33週までの累積報告数2,347例は、2000年以降の各年同期間の累積報告数と比較して2001年、2008年に次いで3番目に多い報告数である(2000年1,872例、2001年3,033例、2002年2,175例、2003年1,385例、2004年2,194例、2005年2,069例、2006年2,090例、2007年2,343例、2008年2,369例、2009年1,995例)。
第33週に報告のあった194例は、患者(有症状者)が152例(78%)、無症状病原体保有者が42例(22%)であった。都道府県別にみると、東京都(22例)、富山県(20例)、栃木県と埼玉県(各17例)、神奈川県(15例)、福岡県(11例)からの報告が多かった(図2)。富山県では保育施設でO157 VT1・VT2による集団感染が発生し、これまでに園児とその家族から計18例が報告されている。また、栃木県では地域の祭りの参加者がO157 VT1・VT2に感染し、これまでに計10例の感染が報告されている。性別では男性93例、女性101例であり、年齢群別では0〜9歳65例、20〜29歳38例、10〜19歳30例の順に多かった。腸管出血性大腸菌感染症の重篤な合併症である溶血性尿毒症症候群(HUS)の発症者は5例(3歳、7歳、10代、20代、60代)おり、原因菌のO血清群と毒素(VT)型は4例がO157 VT1・VT2、1例がO不明VT1・VT2であった。また、大阪府から70代女性(O157 VT1・VT2)の死亡が1例報告された。
第1〜33週の累積報告数2,347例についてみると、報告の多い都道府県は、三重県(281例)、東京都(200例)、福岡県(181例)、愛知県(165例)、大阪府(119例)であり、性別では男性1,113例、女性1,234例、年齢群別では0〜9歳674例、10〜19歳482例、20〜29歳367例の順に多い。
推定または確定された感染源・感染経路として、肉の喫食が記載されていたのは336例(14%)であり、そのうち生肉または加熱不十分の肉を喫食していた者が164例(1歳2例、2歳4例、3歳6例、4歳2例、5〜9歳32例、10〜14歳13例、15歳以上105例)であった。
最近発生した上述の富山県、栃木県以外の集団感染として、第30〜33週に岩手県の支援学校関連(O26 VT1)、第31〜32週に佐賀県の保育施設関連(O103 VT1)、第31〜33週に愛知県の保育施設関連(O26 VT1)などがあった(図2)。
HUS発症者は累計54例報告されており、性別では男性23例、女性31例で、年齢群別では0〜4歳29例、5〜9歳4例、10〜14歳4例、15〜64歳8例、65歳以上9例であった(表)。死亡例はこれまでに2歳男性(O157 VT1・VT2、HUS発症)、70代女性(O157 VT1・VT2、HUS発症せず)、90代男性(O157 VT1・VT2、HUS発症せず)の3例が報告されている。
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図1. 腸管出血性大腸菌感染症の年別・週別発生状況(2000〜2010年第33週) |
図2. 腸管出血性大腸菌感染症の診断週別・都道府県別報告数(2010年第31〜33週) |
表. 腸管出血性大腸菌感染症の溶血性尿毒症症候群(HUS)の年齢群別報告数(2010年第1〜33週) |
例年の報告状況から、発生のピーク時期を迎えていると考えられ、引き続き予防対策の徹底が必要である。食肉の十分な加熱処理などにより、食中毒の予防を徹底するとともに、手洗いの励行などにより、ヒトからヒトへの二次感染を予防することが重要である。
(補)菌の検出状況については、http://idsc.nih.go.jp/iasr/prompt/graph-lj.html をご参照ください。
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