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発生動向総覧
〈第34週コメント〉 9月1日集計分
◆全数報告の感染症
注意:これは当該週に診断された報告症例の集計です。しかし、迅速に情報還元するために期日を決めて集計を行いますので、当該週に診断された症例の報告が集計の期日以降に届くこともあります。それらについては一部を除いて発生動向総覧では扱いませんが、翌週あるいはそれ以降に、巻末の表の累積数に加えられることになります。
*感染経路、感染原因、感染地域については、確定あるいは推定として記載されていたものを示します。
1類感染症: |
報告なし |
2類感染症: |
結核 317例 |
3類感染症: |
コレラ1例(感染地域:茨城県)
細菌性赤痢7例
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菌種:S. flexneri (B群)1例_感染地域:インドネシア
菌種:S. sonnei (D群)6例_感染地域:山形県1例、インド4例、中国1例
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腸管出血性大腸菌感染症232例(有症者165例、うちHUS 3例) |
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感染地域:国内230例、国内(都道府県不明)/インドネシア1例、韓国1例
国内の多い感染地域:長野県22例、大阪府12例、京都府11例、福岡県11例、栃木県9例、東京都9例、埼玉県8例、神奈川県8例、宮崎県8例、岐阜県7例、奈良県7例、宮城県6例、石川県6例、兵庫県5例、愛媛県5例、青森県4例、秋田県4例、山形県4例、千葉県4例
年齢群:0歳(4例)、1歳(16例)、2歳(14例)、3歳(12例)、4歳(7例)、5歳(8例)、6歳(2例)、7歳(6例)、8歳(7例)、9歳(9例)、10代(43例)、20代(36例)、30代(27例)、40代(12例)、50代(12例)、60代(8例)、70代(6例)、80代(1例)、90代(2例)
血清型・毒素型:O157 VT1・VT2(90例)、O157 VT2(49例)、O26 VT1(40例)、O157 VT不明(10例)、O103 VT1(7例)、O157 VT1(6例)、O145 VT2(5例)、O26 VT1・VT2(2例)、O121 VT2(2例)、O165 VT2(2例)、O6 VT2(1例)、O15 VT1(1例)、O121 VT不明(1例)、O145 VT1(1例)、O165 VT1・VT2(1例)、O168 VT2(1例)、その他・不明(13例)
累積報告数:2,617例(有症者1,749例、うちHUS 57例.死亡3例)
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4類感染症: |
A型肝炎4例〔感染地域:東京都1例、国内(都道府県不明)3例〕
オウム病2例(感染地域:愛知県2例_感染源:インコ2例)
デング熱12例
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感染地域:フィリピン5例、インド3例、タイ1例、タイ/ラオス1例、ラオス/カンボジア1例、フィリピン/スリランカ1例
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日本紅斑熱4例(感染地域:高知県3例、和歌山県1例)
マラリア2例(熱帯熱2例_感染地域:ナイジェリア1例、ニジェール1例)
レジオネラ症17例(肺炎型17例)
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感染地域:千葉県2例、富山県2例(うち温泉1例)、長野県2例、北海道1例、青森県1例(温泉)、宮城県1例、群馬県1例(温泉)、埼玉県1例、神奈川県1例、新潟県1例、京都府1例、山口県1例、佐賀県1例(温泉)、国内(都道府県不明)1例
年齢群:40代(3例)、50代(6例)、60代(3例)、70代(4例)、80代(1例)
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レプトスピラ症1例(感染地域:沖縄県_感染源:不明)
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5類感染症: |
アメーバ赤痢9例(腸管アメーバ症8例、腸管外アメーバ症1例) |
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感染地域:宮城県1例、東京都1例、神奈川県1例、三重県1例、山口県1例、熊本県1例、国内(都道府県不明)2例、タイ1例
感染経路:性的接触5例(異性間2例、同性間3例)、その他・不明4例
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ウイルス性肝炎1例(C型_感染経路:静注薬物常用)
急性脳炎2例〔病原体不明2例_年齢群:0歳(1例)、1歳(1例)〕
後天性免疫不全症候群16例(AIDS 4例、無症候11例、その他1例)
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感染地域:国内12例、国内・国外不明4例
感染経路:性的接触11例(同性間10例、異性間/同性間1例)、不明5例
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ジアルジア症1例(感染地域:インドネシア) 髄膜炎菌性髄膜炎1例(感染地域:宮城県)
梅毒8例(早期顕症I期3例、早期顕症II期1例、無症候4例)
破傷風1例(年齢群:70代)
麻しん6例〔麻しん(検査診断例1例)、修飾麻しん(検査診断例5例)〕
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感染地域:国内6例
国内の感染地域:東京都2例、埼玉県1例、神奈川県1例、国内(都道府県不明)2例
年齢群:10〜14歳(1例)、20〜24歳(1例)、35〜39歳(3例)、80代(1例)
累積報告数:360例〔麻しん(検査診断例130例、臨床診断例105例)、修飾麻しん(検査診断例125例)〕
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(補)他に2010年第33週までに報告されたものの報告遅れとして、E型肝炎1例〔感染地域_感染源:北海道_肉(動物種不明)〕、デング熱2例(感染地域:タイ2例)、日本紅斑熱4例(感染地域:和歌山県3例、長崎県1例)、レジオネラ症1例〔感染地域:山形県(温泉)〕、急性脳炎3例〔病原体不明3例(2歳、4歳、50代)〕、劇症型溶血性レンサ球菌感染症2例〔70代(1例)、80代(1例)〕、バンコマイシン耐性腸球菌感染症1例(遺伝子型:不明_菌検出検体:尿.死亡)、風しん1例(検査診断例.感染地域:大分県.年齢群:60代)、麻しん2例〔検査診断例1例、臨床診断例1例.感染地域:埼玉県1例、フィリピン1例.年齢群:8歳(1例)、10代(1例)〕などの報告があった。 |
◆定点把握の対象となる5類感染症(週報対象のもの)
全国の指定された医療機関(定点)から報告され、疾患により小児科定点(約3,000 カ所)、インフルエンザ(小児科・内科)定点(約5,000 カ所)、眼科定点(約600 カ所)、基幹定点(約500 カ所)に分かれています。また、定点当たり報告数は、報告数/定点医療機関数です。
インフルエンザ: 定点当たり報告数は横ばいであった。都道府県別では沖縄県(0.67)、大分県(0.16)、神奈川県(0.08)、岐阜県(0.06)、香川県(0.06)が多い。
小児科定点報告疾患:RSウイルス感染症の報告数は262例と2週連続で増加した。年齢別では1歳以下の報告数が全体の約80%を占めている。咽頭結膜熱の定点当たり報告数は2週連続で増加した。都道府県別では広島県(1.89)、山形県(0.97)、富山県(0.72)が多い。A群溶血性レンサ球菌咽頭炎の定点当たり報告数は2週連続で増加した。都道府県別では福井県(1.32)、富山県(1.14)、鳥取県(1.00)が多い。感染性胃腸炎の定点当たり報告数は2週連続で増加し、過去5年間の同時期(前週、当該週、後週)と比較してやや多い。都道府県別では大分県(7.7)、宮崎県(6.6)、鹿児島県(5.2)が多い。水痘の定点当たり報告数は第24週以降減少が続いている。都道府県別では福井県(1.36)、徳島県(1.26)、愛媛県(1.16)が多い。手足口病の定点当たり報告数は第29週以降減少が続いている。都道府県別では宮崎県(3.83)、新潟県(3.75)、石川県(2.86)が多い。伝染性紅斑の定点当たり報告数は減少したが、過去5年間の同時期と比較してやや多い。都道府県別では福岡県(1.05)、長崎県(1.00)、熊本県(0.79)が多い。百日咳の定点当たり報告数は2週連続で増加し、過去5年間の同時期と比較してやや多い。都道府県別では沖縄県(0.24)、兵庫県(0.13)、広島県(0.10)が多い。ヘルパンギーナの定点当たり報告数は第29週以降減少が続いている。都道府県別では青森県(3.64)、新潟県(3.57)、山形県(3.23)が多い。流行性耳下腺炎の定点当たり報告数は減少した。都道府県別では島根県(2.87)、和歌山県(2.84)、山口県(2.59)が多い。
基幹定点報告疾患:マイコプラズマ肺炎の定点当たり報告数は第30週以降減少が続いている。都道府県別では沖縄県(2.14)、大阪府(1.27)、群馬県(1.25)が多い。
注目すべき感染症
◆ 腸管出血性大腸菌感染症 (2010年9月1日現在)
2010年の腸管出血性大腸菌感染症報告数は、例年同様に第20週から増加し始めた。第22〜24週にかけて、三重県の中学・高校における大規模な集団感染事例(189例)が発生したことで一時的に報告が急増した。その後いったん減少したが、第26週以降再び増加して第31週に200例を超え、第32週188例、第33週228例で、第34週は232例であった(図1)。本年第34週までの累積報告数2,617例は、2000年以降の各年同期間の累積報告数と比較して2001年、2007年に次いで3番目に多い報告数である(2000年2,085例、2001年3,296例、2002年2,319例、2003年1,549例、2004年2,416例、2005年2,264例、2006年2,324例、2007年2,625例、2008年2,579例、2009年2,152例)。
第34週に報告のあった232例は、患者(有症状者)が165例(71%)、無症状病原体保有者が67例(29%)であった。都道府県別にみると、長野県(21例)、大阪府(20例)、東京都(19例)、福岡県(16例)、神奈川県(12例)の報告が多かった(図2)。また、奈良県では保育施設でO26 VT1による集団感染が発生し、これまでに7例が報告されている。性別では男性104例、女性128例であり、年齢群別では0〜9歳85例、10〜19歳43例、20〜29歳36例の順に多かった。腸管出血性大腸菌感染症の重篤な合併症である溶血性尿毒症症候群(HUS)の発症者は3例(4歳、7歳、10代)おり、いずれも血清でのO抗原凝集抗体の検出により診断されていた。
第1〜34週の累積報告数2,617例についてみると、報告の多い都道府県は、三重県(283例)、東京都(221例)、福岡県(196例)、愛知県(171例)、大阪府(146例)であり、性別では男性1,233例、女性1,384例、年齢群別では0〜9歳771例、10〜19歳530例、20〜29歳406例の順に多い。
推定または確定された感染源・感染経路として、肉の喫食が記載されていたのは398例(15%)であり、そのうち生肉または加熱不十分の肉を喫食していた者が195例(1歳3例、2歳4例、3歳5例、4歳3例、5〜9歳36例、10〜14歳17例、15歳以上127例)であった。
上述の奈良県以外に最近発生した集団感染として、第30週から長野県の保育施設関連(O26 VT1)、第31〜32週に佐賀県の保育施設関連(O103 VT1)、第31〜33週に愛知県の保育施設関連(O26 VT1)、第32週から栃木県の地域の祭り関連(O157 VT1・VT2)、第33週から富山県の保育施設関連(O157 VT1・VT2)などがあった(図2)。
HUS発症者は累計57例(有症状者でのHUS発症率3.3%)報告されており、性別では男性24例、女性33例で、年齢群別では0〜4歳30例(同7.8%)、5〜9歳5例(同2.0%)、10〜14歳5例(同3.2%)、15〜64歳8例(同1.0%)、65歳以上9例(同5.3%)であった(図3)。そのうち菌の分離が確認されたのは41例で、内訳はO157が36例(VT1・VT2 20例、VT2 12例、VT不明4例)、O121が2例(いずれもVT2)、O26が1例(VT1)、O145が1例(VT2)、O不明1例(VT1・VT2)であった。死亡例はこれまでに2歳男性(O157 VT1・VT2、HUS発症)、70代女性(O157 VT1・VT2、HUS発症せず)、90代男性(O157 VT1・VT2、HUS発症せず)の3例が報告されている。
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図1. 腸管出血性大腸菌感染症の年別・週別発生状況(2000〜2010年第34週) |
図2. 腸管出血性大腸菌感染症の診断週別・都道府県別報告数(2010年第32〜34週) |
図3. 腸管出血性大腸菌感染症の溶血性尿毒症症候群(HUS)発症者の年齢群別報告数とHUS発症率(2010年第1〜34週) |
例年の報告状況から、発生のピーク時期を迎えていると考えられ、引き続き予防対策の徹底が必要である。食肉の十分な加熱処理などにより、食中毒の予防を徹底するとともに、手洗いの励行などにより、ヒトからヒトへの二次感染を予防することが重要である。
(補)菌の検出状況については、http://idsc.nih.go.jp/iasr/prompt/graph-lj.html をご参照ください。
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