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発生動向総覧
〈第37週コメント〉 9月22日集計分
◆全数報告の感染症
注意:これは当該週に診断された報告症例の集計です。しかし、迅速に情報還元するために期日を決めて集計を行いますので、当該週に診断された症例の報告が集計の期日以降に届くこともあります。それらについては一部を除いて発生動向総覧では扱いませんが、翌週あるいはそれ以降に、巻末の表の累積数に加えられることになります。
*感染経路、感染原因、感染地域については、確定あるいは推定として記載されていたものを示します。
1類感染症: |
報告なし |
2類感染症: |
結核 276例 |
3類感染症: |
コレラ1例(感染地域:インド)
細菌性赤痢5例
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菌種:S. flexneri (B群)2例_感染地域:モンゴル1例、ミャンマー1例
菌種:S. sonnei (D群)3例_感染地域:国内(都道府県不明)1例、インド1例、トルコ1例
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腸管出血性大腸菌感染症147例(有症者83例、うちHUS 3例) |
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感染地域:国内146例、国内・国外不明1例
国内の多い感染地域:千葉県16例、三重県12例、東京都10例、愛媛県8例、滋賀県7例、兵庫県7例、福岡県7例、岩手県6例、愛知県5例、大阪府5例、宮城県4例、鹿児島県4例、埼玉県3例、京都府3例、広島県3例
年齢群:0歳(1例)、1歳(7例)、2歳(12例)、3歳(9例)、4歳(5例)、5歳(8例)、6歳(7例)、7歳(4例)、8歳(6例)、9歳(2例)、10代(17例)、20代(21例)、30代(19例)、40代(9例)、50代(5例)、60代(8例)、70代(5例)、80代(2例)
血清型・毒素型:O157 VT1・VT2(66例)、O157 VT2(20例)、O26 VT1(17例)、O157 VT1(12例)、O103 VT1(10例)、O157 VT不明(6例)、O121 VT2(4例)、O26 VT1・VT2(3例)、O26 VT不明(1例)、O121 VT不明(1例)、O146 VT1・VT2(1例)、O164 VT1(1例)、その他・不明(5例)
累積報告数:3,226例(有症者2,143例、うちHUS 67例.死亡4例)
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腸チフス1例〔感染地域:国内(都道府県不明)〕
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4類感染症: |
E型肝炎1例(感染地域:北海道_感染源:不明)
A型肝炎4例
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感染地域:インド2例、バングラデシュ1例、ナミビア/ジンバブエ/南アフリカ1例
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デング熱15例(デング熱14例、デング出血熱1例)
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感染地域:インド7例、タイ2例、インドネシア2例、フィリピン1例、ラオス1例、マレーシア1例、インド/ネパール1例
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日本紅斑熱5例(感染地域:広島県2例、和歌山県1例、高知県1例、熊本県1例)
マラリア3例
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三日熱1例_感染地域:インド
熱帯熱2例_感染地域:ガーナ1例、ナイジェリア1例
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類鼻疽1例(感染地域:国内・国外不明)
レジオネラ症12例(肺炎型11例、ポンティアック型1例)
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感染地域:福島県2例、宮城県1例、埼玉県1例、富山県1例、石川県1例、滋賀県1例、岡山県1例、香川県1例、鹿児島県1例、国内(都道府県不明)1例、ポーランド1例
年齢群:40代(2例)、50代(3例)、60代(4例)、70代(2例)、80代(1例)
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5類感染症: |
アメーバ赤痢13例〔腸管アメーバ症12例(うち死亡1例)、腸管外アメーバ症1例〕 |
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感染地域:東京都2例、宮城県1例、茨城県1例、神奈川県1例、新潟県1例、愛知県1例、大阪府1例、島根県1例、国内(都道府県不明)1例、フィリピン1例、キリバス1例、国外(国不明)1例
感染経路:経口感染4例、性的接触3例(異性間2例、同性間1例)、その他・不明6例
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ウイルス性肝炎4例
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B型3例_感染経路:性的接触2例(異性間1例、同性間1例)、針等の鋭利なものの刺入1例
C型1例_感染経路:性的接触(異性間)
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クロイツフェルト・ヤコブ病2例(うち死亡1例)
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孤発性プリオン病古典型2例
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劇症型溶血性レンサ球菌感染症1例(年齢群:80代)
後天性免疫不全症候群19例(無症候17例、その他2例)
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感染地域:国内17例、国内・国外不明2例
感染経路:性的接触18例(異性間2例、同性間15例、異性/同性間1例)、不明1例
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梅毒11例(早期顕症I期2例、早期顕症II期3例、晩期顕症1例、無症候5例)
バンコマイシン耐性腸球菌感染症2例
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遺伝子型:VanA 1例_菌検出検体:喀痰
遺伝子型:不明1例_菌検出検体:尿
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風しん1例(検査診断例)
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感染地域:岐阜県
年齢群:40代
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麻しん3例〔麻しん(検査診断例1例、臨床診断例1例)、修飾麻しん(検査診断例1例)〕
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感染地域:国内3例
国内の感染地域:千葉県1例、三重県1例、大阪府1例
年齢群:25〜29歳(2例)、30〜34歳(1例)
累積報告数:382例〔麻しん(検査診断例137例、臨床診断例107例)、修飾麻しん(検査診断例138例)〕
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(補)他に2010年第36週までに診断されたものの報告遅れとして、急性灰白髄炎1例(ワクチン株由来.0歳)、E型肝炎1例〔感染地域(感染源):北海道(馬刺し/ユッケ/レバー(動物種不明)〕、Q熱1例(感染地域:長崎県_感染源:牛)、デング熱3例(感染地域:フィリピン1例、タイ1例、インドネシア1例)、日本紅斑熱14例(感染地域:三重県12例、和歌山県1例、愛媛県1例)、ライム病1例(感染地域:青森県)、急性脳炎2例〔病原体不明2例(0歳、80代)〕、バンコマイシン耐性腸球菌感染症1例(遺伝子型:VanB_菌検出検体:血液)などの報告があった。 |
◆定点把握の対象となる5類感染症(週報対象のもの)
全国の指定された医療機関(定点)から報告され、疾患により小児科定点(約3,000 カ所)、インフルエンザ(小児科・内科)定点(約5,000 カ所)、眼科定点(約600 カ所)、基幹定点(約500 カ所)に分かれています。また、定点当たり報告数は、報告数/定点医療機関数です。
インフルエンザ: 定点当たり報告数は2週連続で微増した。都道府県別では沖縄県(0.78)、福井県(0.16)、千葉県(0.14)、福島県(0.13)、静岡県(0.13)、山口県(0.13)、長崎県(0.13)が多い。
小児科定点報告疾患:RSウイルス感染症の報告数は746例と第33週以降増加が続いている。年齢別では1歳以下の報告数が全体の約69%を占めている。咽頭結膜熱の定点当たり報告数は減少した。都道府県別では石川県(1.68)、広島県(1.38)、長野県(1.25)が多い。A群溶血性レンサ球菌咽頭炎の定点当たり報告数は第33週以降増加が続いている。都道府県別では鳥取県(1.63)、福井県(1.27)、山口県(1.22)が多い。感染性胃腸炎の定点当たり報告数は減少したが、過去5年間の同時期(前週、当該週、後週)と比較してやや多い。都道府県別では大分県(7.3)、宮崎県(6.0)、福井県(5.7)が多い。水痘の定点当たり報告数は減少した。都道府県別では徳島県(1.29)、大分県(1.11)、佐賀県(1.09)が多い。手足口病の定点当たり報告数は第29週以降減少が続いている。都道府県別では北海道(2.76)、石川県(2.46)、福井県(2.32)が多い。伝染性紅斑の定点当たり報告数は2週連続で減少した。都道府県別では福岡県(0.86)、熊本県(0.73)、長崎県(0.66)が多い。百日咳の定点当たり報告数は増加した。都道府県別では沖縄県(0.21)、高知県(0.17)、山梨県(0.13)が多い。ヘルパンギーナの定点当たり報告数は第29週以降減少が続いている。都道府県別では岩手県(1.43)、青森県(1.31)、山形県(1.28)が多い。流行性耳下腺炎の定点当たり報告数は2週連続で増加し、過去5年間の同時期と比較してやや多い。都道府県別では和歌山県(3.39)、香川県(2.57)、宮崎県(2.28)が多い。
基幹定点報告疾患:マイコプラズマ肺炎の定点当たり報告数は増加した。都道府県別では大阪府(1.73)、埼玉県(1.44)、沖縄県(1.43)が多い。
注目すべき感染症
◆ 腸管出血性大腸菌感染症 (2010年9月22日現在)
2010年の腸管出血性大腸菌感染症報告数は、例年同様に第20週から増加し始めた。第22〜24週にかけて、三重県の中学・高校における大規模な集団感染事例(189例)が発生したことで一時的に報告が急増した。その後いったん減少したが、第26週以降再び増加して第31週に200例を超え、第34週の256例をピークに第35週202例、第36週220例と200例を超える報告が続いたが、第37週は147例と大きく減少した(図1)。本年第37週までの累積報告数3,226例は、2000年以降の各年同期間の累積報告数と比較して2001年、2008年、2007年に次いで4番目に多い報告数である(2000年2,628例、2001年3,805例、2002年2,652例、2003年1,945例、2004年2,922例、2005年2,740例、2006年2,942例、2007年3,230例、2008年3,298例、2009年2,733例)。
第37週に報告のあった147例は、患者(有症状者)が83例(56%)、無症状病原体保有者が64例(44%)であった。都道府県別にみると、東京都(20例)、千葉県(17例)、三重県(12例)、滋賀県、兵庫県、福岡県(各9例)の報告が多かった(図2)。性別では男性65例、女性82例であり、年齢群別では0〜9歳61例、20〜29歳21例、30〜39歳19例の順に多かった。腸管出血性大腸菌感染症の重篤な合併症である溶血性尿毒症症候群(HUS)の発症者は3例(6歳、9歳、80代)おり、病原体の診断方法は菌分離が1例(O157 VT1・VT2)、血清でのO抗原凝集抗体の検出が2例(うち1例は届出時にO165LPS抗体陽性と判明)であった。
第1〜37週の累積報告数3,226例についてみると、報告の多い都道府県は、三重県(338例)、東京都(278例)、福岡県(232例)、大阪府(208例)、愛知県(190例)であり(図3)、性別では男性1,504例、女性1,722例、年齢群別では0〜9歳993例、10〜19歳612例、20〜29歳495例の順に多い。
推定または確定された感染源・感染経路として、肉の喫食が記載されていたのは483例(15%)であり、そのうち生肉または加熱不十分の肉を喫食していた者が228例(1歳2例、2歳5例、3歳7例、4歳4例、5〜9歳39例、10〜14歳19例、15歳以上152例)であった。
最近発生した集団感染として、第35週から三重県の福祉施設関連(O157 VT1・VT2)、第35週から福岡県の保育施設関連(O157 VT1・VT2)、第35週から愛媛県の保育施設関連(O157 VT1)などがあった(図2)。
HUS発症者は累計67例(有症状者でのHUS発症率3.1%)報告されており、性別では男性27例、女性40例で、年齢群別では0〜4歳33例(同6.7%)、5〜9歳8例(同2.6%)、10〜14歳5例(同2.4%)、15〜64歳10例(同1.1%)、65歳以上11例(同5.3%)であった(図4)。そのうち菌の分離が確認されたのは46例で、内訳はO157が40例(VT1・VT2 23例、VT2 13例、VT不明4例)、O121が2例(いずれもVT2)、O26が1例(VT1)、O145が1例(VT2)、O不明が2例(VT1・VT2 1例、VT不明1例)であった。死亡例はこれまでに2歳男性(O157 VT1・VT2、HUS発症)、70代男性(O不明VT不明、HUS発症)、70代女性(O157 VT1・VT2、HUS発症せず)、90代男性(O157 VT1・VT2、HUS発症せず)の4例が報告されている。
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図1. 腸管出血性大腸菌感染症の年別・週別発生状況(2000〜2010年第37週) |
図2. 腸管出血性大腸菌感染症の診断週別・都道府県別報告数(2010年第35〜37週) |
図3. 腸管出血性大腸菌感染症の都道府県別報告数(2010年第1〜37週) |
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図4. 腸管出血性大腸菌感染症の溶血性尿毒症症候群(HUS)発症者の年齢群別報告数とHUS発症率(2010年第1〜37週) |
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本年は第34週の256例をピークに報告数は減少傾向にある。例年の報告状況から、徐々に報告数は減少していくと思われるが、過去には10、11月に大規模な食中毒や施設内集団感染事例が発生した年もあるため、今後も引き続き注意が必要である。食肉の十分な加熱処理などにより、食中毒の予防を徹底するとともに、手洗いの励行などにより、ヒトからヒトへの二次感染を予防することが重要である。
(補)菌の検出状況については、http://idsc.nih.go.jp/iasr/prompt/graph-lj.html をご参照ください。
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