発生動向総覧
〈第51週コメント〉 1月5日集計分
◆全数報告の感染症
注意:これは当該週に診断された報告症例の集計です。しかし、迅速に情報還元するために期日を決めて集計を行いますので、当該週に診断された症例の報告が集計の期日以降に届くこともあります。それらについては一部を除いて発生動向総覧では扱いませんが、翌週あるいはそれ以降に、巻末の表の累積数に加えられることになります。
*感染経路、感染原因、感染地域については、確定あるいは推定として記載されていたものを示します。
1類感染症: |
報告なし |
2類感染症: |
結核 362例 |
3類感染症: |
細菌性赤痢5例
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菌種:S. sonnei (D群)5例_感染地域:長野県4例*、インド1例
* 長野市内の小学校での集団発生。
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腸管出血性大腸菌感染症12例(有症者8例、うちHUS 2例) |
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感染地域:国内11例、国内/イエメン1例
国内の感染地域:兵庫県3例、神奈川県1例、新潟県1例、静岡県1例、三重県1例、大阪府1例、福岡県1例、不明2例
年齢群:3歳(1例)、7歳(1例)、8歳(2例)、10代(2例)、30代(3例)、50代(1例)、70代(1例)、80代(1例) 血清型・毒素型:O157 VT1・VT2(3例)、O157 VT2(3例)、O26 VT1(1例)、O91 VT不明(1例)、O157 VT1(1例)、その他・不明(3例)
累積報告数:4,102例(有症者2,699例、うちHUS 92例.死亡5例)
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腸チフス1例(感染地域:インド)
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4類感染症: |
E型肝炎2例
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感染地域:新潟県1例_感染源:不明
感染地域:山口県1例_感染源:不明
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A型肝炎3例(感染地域:愛知県1例、パキスタン1例) オウム病1例(感染地域:広島県_感染源:セキセイインコ)
つつが虫病20例
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感染地域:鹿児島県8例、福島県2例、千葉県2例、神奈川県1例、三重県1例、滋賀県1例、大阪府1例、広島県1例、高知県1例、佐賀県1例、熊本県1例
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デング熱2例(感染地域:インドネシア1例、フィリピン1例)
日本紅斑熱1例(感染地域:和歌山県)
マラリア1例(三日熱_感染地域:インド)
レジオネラ症15例(肺炎型13例、ポンティアック型2例)
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感染地域:山形県1例、埼玉県1例、石川県1例(温泉)、福井県1例、静岡県1例(温泉)、京都府1例、兵庫県1例、山口県1例、愛媛県1例、熊本県1例、国内(都道府県不明)5例
年齢群:50代(1例)、60代(4例)、70代(6例)、80代(3例)、90代(1例)
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5類感染症: |
アメーバ赤痢10例(腸管アメーバ症7例、腸管外アメーバ症3例)
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感染地域:東京都1例、神奈川県1例、長野県1例、京都府1例、国内(都道府県不明)5例、中国1例
感染経路:経口感染3例、性的接触2例(異性間1例、同性間1例)、経口感染/性的接触(異性間)1例、その他・不明4例
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ウイルス性肝炎1例(B型_感染経路:不明)
急性脳炎2例
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インフルエンザウイルスA型1例_年齢群:6歳
病原体不明1例_年齢群:0歳
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クロイツフェルト・ヤコブ病2例(孤発性プリオン病古典型2例)
劇症型溶血性レンサ球菌感染症1例(年齢群:40代)
後天性免疫不全症候群38例(AIDS 12例、無症候26例)
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感染地域:国内33例、国内・国外不明5例
感染経路:性的接触33例(異性間6例、同性間24例、異性/同性間2例、異性間・同性間不明1例)、不明5例
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ジアルジア症2例(感染地域:長崎県1例、タイ1例)
梅毒9例(早期顕症II期3例、晩期顕症2例、無症候4例)
破傷風3例〔年齢群:70代(1例)、80代(2例)〕
バンコマイシン耐性腸球菌感染症3例
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遺伝子型:VanB 1例_菌検出検体:臀部褥瘡
遺伝子型:VanC 1例_菌検出検体:膿胸排液
遺伝子型:不明1例_菌検出検体:胆汁
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麻しん9例〔麻しん(検査診断例6例、臨床診断例3例)〕
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感染地域:国内9例
国内の感染地域:愛知県6例*、三重県1例、大阪府1例、国内(都道府県不明)1例
年齢群:1歳(1例)、5〜9歳(1例)、10〜14歳(5例)*、25〜29歳(1例)、30〜34歳(1例)
* うち4例は岡崎市内の小学校における集団発生
累積報告数:452例〔麻しん(検査診断例160例、臨床診断例126例)、修飾麻しん(検査診断例166例)〕
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(補)他に2010年第50週までに診断されたものの報告遅れとして、A型肝炎1例(感染地域:不明_感染源:不明.死亡)、E型肝炎2例〔感染地域(感染源):北海道1例(不明)、東京都1例(生肉_動物種不明)〕、日本紅斑熱8例(感染地域:三重県6例、愛知県1例、愛媛県1例)、類鼻疽1例(感染地域:タイ)、急性脳炎4例〔単純ヘルペスウイルス2型1例(0歳)、ヒトヘルペスウイルス6型・7型1例(0歳)、ムンプスウイルス1例(6歳)、病原体不明1例(2歳)〕、劇症型溶血性レンサ球菌感染症2例〔30代(1例)、60代(1例)〕、バンコマイシン耐性腸球菌感染症1例〔遺伝子型:VanC 1例_菌検出検体:便〕、風しん1例〔臨床診断例.感染地域:国内(都道府県不明).年齢群:1歳〕などの報告があった。 |
◆定点把握の対象となる5類感染症(週報対象のもの)
全国の指定された医療機関(定点)から報告され、疾患により小児科定点(約3,000 カ所)、インフルエンザ(小児科・内科)定点(約5,000 カ所)、眼科定点(約600 カ所)、基幹定点(約500 カ所)に分かれています。また、定点当たり報告数は、報告数/定点医療機関数です。
インフルエンザ: 定点当たり報告数は第42週以降増加が続いている。都道府県別では佐賀県(9.41)、長崎県(7.64)、北海道(7.14)、大分県(3.78)、埼玉県(3.69)、沖縄県(3.31)、山梨県(3.28)が多い。
小児科定点報告疾患:RSウイルス感染症の報告数は4,193例と第42週以降増加が続いている。年齢別では1歳以下の報告数が全体の約69%を占めている。咽頭結膜熱の定点当たり報告数は減少したが、過去5年間の同時期(前週、当該週、後週)と比較してやや多い。都道府県別では富山県(2.52)、山形県(2.03)、広島県(1.33)、埼玉県(1.27)が多い。A群溶血性レンサ球菌咽頭炎の定点当たり報告数は減少した。都道府県別では石川県(6.8)、山形県(5.1)、福井県(4.9)が多い。感染性胃腸炎の定点当たり報告数は減少した。都道府県別では宮崎県(33.4)、三重県(26.8)、富山県(26.5)、愛媛県(24.0)が多い。水痘の定点当たり報告数は第43週以降増加が続いており、過去5年間の同時期と比較してやや多い。都道府県別では大分県(7.1)、福井県(4.9)、福岡県(4.3)、長野県(4.2)が多い。手足口病の定点当たり報告数は第29週以降減少が続いている。都道府県別では沖縄県(0.97)、岩手県(0.73)、宮崎県(0.53)が多い。伝染性紅斑の定点当たり報告数は第43週以降増加が続いており、過去5年間の同時期と比較してかなり多い。都道府県別では福岡県(2.66)、山形県(1.77)、長崎県(1.50)が多い。百日咳の定点当たり報告数は減少した。都道府県別では沖縄県(0.15)、新潟県(0.10)、福島県(0.08)、高知県(0.07)が多い。ヘルパンギーナの定点当たり報告数は減少した。都道府県別では熊本県(0.38)、岩手県(0.25)、福島県(0.17)が多い。流行性耳下腺炎の定点当たり報告数は増加し、過去5年間の同時期と比較してやや多い。都道府県別では長野県(5.09)、徳島県(3.58)、新潟県(3.02)、鹿児島県(3.02)が多い。
基幹定点報告疾患:マイコプラズマ肺炎の定点当たり報告数は2週連続で増加し、過去5年間の同時期と比較してやや多い。都道府県別では沖縄県(3.43)、愛媛県(2.33)、福島県(2.29)が多い。
〈第52週コメント〉 1月7日集計分
◆全数報告の感染症
注意:これは当該週に診断された報告症例の集計です。しかし、迅速に情報還元するために期日を決めて集計を行いますので、当該週に診断された症例の報告が集計の期日以降に届くこともあります。それらについては一部を除いて発生動向総覧では扱いませんが、翌週あるいはそれ以降に、巻末の表の累積数に加えられることになります。
*感染経路、感染原因、感染地域については、確定あるいは推定として記載されていたものを示します。
1類感染症: |
報告なし |
2類感染症: |
結核 243例 |
3類感染症: |
細菌性赤痢3例
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菌種:S. flexneri (B群)2例_感染地域:東京都1例、愛知県1例
菌種:S. sonnei (D群)1例_感染地域:長野県*
* S. sonnei の1例は先週報告された小学校での集団発生で感染した児童の家族。
なお、第39〜47週にみられたS. sonnei による広域発生疑い事例については、複数の発生自治体において喫食歴や食材の遡り調査等が行われたが、感染原因は不明であった。
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腸管出血性大腸菌感染症9例(有症者5例、うちHUS なし) |
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感染地域:国内8例、ブラジル1例
国内の感染地域:福岡県3例、石川県1例、愛知県1例、三重県1例、兵庫県1例、熊本県1例
年齢群:0歳(1例)、20代(2例)、30代(2例)、40代(1例)、50代(2例)、70代(1例)
血清型・毒素型:O157 VT1・VT2(4例)、O26 VT1(1例)、O103 VT1(1例)、O157 VT2(1例)、O157 VT不明(1例)、その他・不明(1例)
累積報告数:4,110例(有症者2,702例、うちHUS 92例.死亡5例)
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4類感染症: |
E型肝炎1例〔感染地域:国内(都道府県不明)_感染源:ウインナーの生食〕
つつが虫病6例(感染地域:鹿児島県3例、千葉県1例、東京都1例、和歌山県1例)
デング熱2例(感染地域:インドネシア1例、カンボジア1例)
レジオネラ症6例(肺炎型6例)
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感染地域:山形県1例、石川県1例、愛知県1例(温泉)、和歌山県1例(温泉)、広島県1例、国内(都道府県不明)1例
年齢群:40代(2例)、50代(1例)、60代(1例)、70代(1例)、80代(1例)
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5類感染症: |
アメーバ赤痢8例(腸管アメーバ症5例、腸管外アメーバ症3例)
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感染地域:埼玉県1例、広島県1例、国内(都道府県不明)5例、中国1例
感染経路:性的接触3例(同性間1例、異性間・同性間不明2例)、経口感染2例、その他・不明3例
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ウイルス性肝炎3例
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B型2例_感染経路:性的接触1例(異性間)、不明1例
C型1例_感染経路:縫合針
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急性脳炎2例
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インフルエンザウイルスA型1例_年齢群:5歳
病原体不明1例_年齢群:2歳
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クロイツフェルト・ヤコブ病3例(孤発性プリオン病古典型3例)
劇症型溶血性レンサ球菌感染症1例(年齢群:50代.死亡)
後天性免疫不全症候群12例(AIDS 3例、無症候9例)
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感染地域:国内10例、国内・国外不明2例
感染経路:性的接触11例(異性間2例、同性間8例、異性/同性間1例)、不明1例
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梅毒3例(早期顕症II期2例、無症候1例)
破傷風1例(年齢群:70代)
風しん2例(臨床診断例2例)
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感染地域:岩手県1例、神奈川県1例
年齢群:5〜9歳(2例)
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麻しん6例〔麻しん(検査診断例2例、臨床診断例2例)、修飾麻しん(検査診断例2例)〕
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感染地域:国内6例
国内の感染地域:愛知県2例*、千葉県1例、三重県1例、国内(都道府県不明)2例
年齢群:1歳(2例)、2歳(1例)、15〜19歳(1例)、25〜29歳(1例)、30〜34歳(1例)
* 第51週に引き続き岡崎市内における発生
累積報告数:457例〔麻しん(検査診断例161例、臨床診断例128例)、修飾麻しん(検査診断例168例)〕
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(補)他に2010年第51週までに診断されたものの報告遅れとして、日本紅斑熱3例(感染地域:三重県3例)、マラリア1例(熱帯熱_感染地域:ブルキナファソ)、急性脳炎1例〔ノロウイルス(0歳)〕、後天性免疫不全症候群1例(病型:AIDS、感染地域:国内・国外不明、感染経路:不明.死亡)などの報告があった。 |
◆定点把握の対象となる5類感染症(週報対象のもの)
全国の指定された医療機関(定点)から報告され、疾患により小児科定点(約3,000 カ所)、インフルエンザ(小児科・内科)定点(約5,000 カ所)、眼科定点(約600 カ所)、基幹定点(約500 カ所)に分かれています。また、定点当たり報告数は、報告数/定点医療機関数です。
インフルエンザ: 定点当たり報告数は第42週以降増加が続いている。都道府県別では沖縄県(9.17)、佐賀県(8.23)、長崎県(6.29)、北海道(5.68)、福岡県(5.01)、埼玉県(3.79)、大分(3.48)が多い。
小児科定点報告疾患:RSウイルス感染症の報告数は3,223例と減少した。年齢別では1歳以下の報告数が全体の約70%を占めている。咽頭結膜熱の定点当たり報告数は2週連続で減少した。都道府県別では富山県(1.86)、石川県(1.17)、山形県(1.13)が多い。A群溶血性レンサ球菌咽頭炎の定点当たり報告数は2週連続で減少した。都道府県別では石川県(3.72)、福井県(3.32)、新潟県(2.77)が多い。感染性胃腸炎の定点当たり報告数は2週連続で減少した。都道府県別では宮崎県(21.8)、三重県(15.6)、鹿児島県(14.8)が多い。水痘の定点当たり報告数は減少した。都道府県別では大分県(5.1)、石川県(4.6)、宮崎県(3.8)が多い。手足口病の定点当たり報告数は第29週以降減少が続いている。都道府県別では沖縄県(0.76)、青森県(0.31)、北海道(0.23)、秋田県(0.23)が多い。伝染性紅斑の定点当たり報告数は減少したが、過去5年間の同時期(前週、当該週、後週)と比較してやや多い。都道府県別では福岡県(1.63)、宮城県(1.07)、秋田県(0.97)が多い。百日咳の定点当たり報告数は2週連続で減少した。都道府県別では沖縄県(0.15)、千葉県(0.08)、広島県(0.07)が多い。ヘルパンギーナの定点当たり報告数は2週連続で減少した。都道府県別では岩手県(0.33)、北海道(0.10)、栃木県(0.08)が多い。流行性耳下腺炎の定点当たり報告数は減少した。都道府県別では長野県(3.18)、香川県(3.10)、宮崎県(2.42)が多い。
基幹定点報告疾患:マイコプラズマ肺炎の定点当たり報告数は減少した。都道府県別では沖縄県(3.29)、青森県(1.33)、宮城県(1.00)、富山県(1.00)が多い。
注目すべき感染症
◆ インフルエンザ
インフルエンザ(Influenza)は、インフルエンザウイルスを病原体とする急性の呼吸器感染症で、毎年世界中で流行がみられている。インフルエンザは、1〜4日間の潜伏期間を経て、突然に発熱(38℃以上の高熱)、頭痛、全身倦怠感、筋肉痛・関節痛などが出現し、鼻水・咳などの呼吸器症状がこれに続く。通常は1週間前後の経過で軽快するが、いわゆる「かぜ」と比べて全身症状が強いのが特徴である。
主な感染経路はくしゃみ、咳、会話等で口から発する飛沫による飛沫感染であり、他に接触感染もあるといわれている(CDCホームページ:http://www.cdc.gov/flu/about/disease/spread.htm)。インフルエンザの感染対策としては、飛沫感染対策としての咳エチケット、接触感染対策としての手洗いの徹底が重要であると考えられるが、たとえインフルエンザウイルスに感染しても、全く無症状の不顕性感染例や臨床的にはインフルエンザとは診断し難い軽症例が存在する。従って、特にヒト−ヒト間の距離が短く、濃厚な接触機会の多い学校、幼稚園、保育園等の小児の集団生活施設においてインフルエンザの集団発生をコントロールすることは困難であると思われる。2009年4月に新型インフルエンザ〔パンデミック(H1N1)2009〕の発生が明らかとなり、世界各国で大きな流行をもたらしたことは記憶に新しい。日本でも2009年の5月に最初の国内患者発生報告があり、同年第48週をピークとした大きな流行に発展したが、2010年の春には新型インフルエンザの流行は鎮静化した。その後2010年の11月、12月と再びインフルエンザの患者発生数は増加してきている。
感染症発生動向調査では、全国約5,000カ所(小児科定点約3,000、内科定点約2,000)のインフルエンザ定点からの報告に基づいてインフルエンザの発生動向を分析している。2010年第52週のインフルエンザの定点当たり報告数は2.30(報告数10,851)となり、第42週以降11週連続で増加が続いている(図1)。都道府県別では沖縄県(9.17)、佐賀県(8.23)、長崎県(6.29)、北海道(5.68)、福岡県(5.01)、埼玉県(3.79)、大分県(3.48)、宮城県(3.26)、茨城県(3.20)、鹿児島県(3.03)の順となっている。34府県で前週よりも増加がみられ、特に沖縄県で急増がみられた(図2)。
2010年第36〜52週までの期間中に国内では1,291検体のインフルエンザウイルスの検出が報告されており、AH1pdm 521件、AH3亜型(A香港型)708件、B型62件とAH3亜型が最も多い。一方、2010年第49週以降ではAH1pdmの報告数の方がAH3亜型よりも多い状況が続いており、2010年第49〜52週までの4週間では、総検出報告数496検体中AH1pdm 313件(63.1%)、AH3亜型171件(34.5%)、B型12件(2.4%)であり、AH1pdmの報告数が最多となっている(図3)。
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図1. インフルエンザの年別・週別発生状況(2000〜2010年第52週) |
図2. インフルエンザの都道府県別定点当たり報告数の推移(2010年第50〜52週) |
図3. インフルエンザウイルス検出報告割合(2010年第49〜52週) |
日本のインフルエンザの患者報告数は増加が続いているが、北米、ヨーロッパ、モンゴル、中国、韓国等の他の北半球の国々も、冬季を迎えてインフルエンザの報告数が増加してきている。多くの地域ではAH3亜型が多く検出されているが、英国ではAH1pdmが流行の中心である(WHOホームページ:http://www.who.int/csr/disease/influenza/2010_12_30_GIP_surveillance/en/index.html)。わが国でも、12月に入って多く検出されているインフルエンザウイルスが、AH3亜型からAH1pdmに変化しつつある。冬季休暇が終了し、学校、幼稚園、保育所等の小児の集団生活施設が再開した後の1月中旬以降に流行が本格化していく可能性が高い。インフルエンザの発生動向には、更に注意深い観察が必要である。
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