発生動向総覧
〈第6週コメント〉 2月16日集計分
◆全数報告の感染症
注意:これは当該週に診断された報告症例の集計です。しかし、迅速に情報還元するために期日を決めて集計を行いますので、当該週に診断された症例の報告が集計の期日以降に届くこともあります。それらについては一部を除いて発生動向総覧では扱いませんが、翌週あるいはそれ以降に、巻末の表の累積数に加えられることになります。
*感染経路、感染原因、感染地域については、確定あるいは推定として記載されていたものを示します。
1類感染症: |
報告なし |
2類感染症: |
結核 274例 |
3類感染症: |
細菌性赤痢1例
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菌種:不明_感染地域:インド/タイ/エジプト
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腸管出血性大腸菌感染症4例(有症者2例、うちHUS 1例) |
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感染地域:国内4例
国内の感染地域:山形県1例、静岡県1例、愛知県1例、宮崎県1例
年齢群:7歳(1例)、10代(1例)、20代(1例)、80代(1例)
血清型・毒素型:O26 VT1(1例)、O111 VT1・VT2(1例)、O157 VT1・VT2(1例)、O157 VT2(1例)
累積報告数:86例(有症者52例、うちHUS 4例.死亡なし)
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4類感染症: |
E型肝炎1例(感染地域:国内(都道府県不明)_感染源:肉類)
A型肝炎6例
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感染地域:千葉県1例*、東京都1例、福岡県1例、カンボジア1例、ミャンマー1例、ブラジル1例
* 千葉県内の飲食店における食中毒。2010年第51週以降、関連症例が累計44例報告されている。
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コクシジオイデス症1例〔感染地域:国外(国不明)〕
チクングニア熱1例(感染地域:タイ) つつが虫病3例(感染地域:和歌山県3例) デング熱2例(感染地域:インドネシア2例)
マラリア1例(熱帯熱_感染地域:ガーナ)
レジオネラ症6例(肺炎型6例)
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感染地域:茨城県1例、群馬県1例、新潟県1例、富山県1例(温泉)、石川県1例(温泉)、愛知県1例
年齢群:60代(2例)、70代(3例)、90代(1例)
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5類感染症: |
アメーバ赤痢8例(腸管アメーバ症7例、腸管外アメーバ症1例) |
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感染地域:東京都1例、岐阜県1例、静岡県1例、大阪府1例、国内(都道府県不明)4例
感染経路:経口感染2例、性的接触3例(異性間1例、同性間1例、異性間・同性間不明1例)、その他・不明3例
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急性脳炎7例 |
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インフルエンザウイルスA型2例_年齢群:4歳(1例)、7歳(1例)
インフルエンザウイルスAH1pdm 1例_年齢群:70代
インフルエンザウイルスA/H3N2 1例_年齢群:10代
ロタウイルス1例_年齢群:2歳
病原体不明2例_年齢群:1歳(1例)、9歳(1例)
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クロイツフェルト・ヤコブ病1例(孤発性プリオン病古典型)
劇症型溶血性レンサ球菌感染症3例 |
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年齢群:20代(1例)、40代(1例)、80代(1例.死亡)
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後天性免疫不全症候群23例(AIDS 5例、無症候15例、その他3例) |
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感染地域:国内20例、タイ2例、国内・国外不明1例
感染経路:性的接触23例(異性間6例、同性間17例)
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ジアルジア症2例(感染地域:神奈川県1例、中国1例)
梅毒5例(早期顕症II期2例、無症候3例)
風しん2例(検査診断例1例、臨床診断例1例) |
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感染地域:広島県1例、福岡県1例
年齢群:10〜14歳(1例)、20〜24歳(1例)
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麻しん14例〔麻しん(検査診断例9例、臨床診断例3例)、修飾麻しん(検査診断例2例)〕
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感染地域:国内14例
国内の感染地域:広島県6例、埼玉県2例、東京都2例、青森県1例、静岡県1例、鹿児島県1例、国内(都道府県不明)1例
年齢群:1歳(3例)、5〜9歳(4例)、10〜14歳(1例)、15〜19歳(2例)、20〜24歳(1例)、25〜29歳(1例)、40代(1例)、70代(1例)
累積報告数:56例〔麻しん(検査診断例25例、臨床診断例20例)、修飾麻しん(検査診断例11例)〕
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(補)他に、クロイツフェルト・ヤコブ病1例の報告があったが削除予定。また、2011年第5週までに診断されたものの報告遅れとして、細菌性赤痢1例〔菌種:S. sonnei (D群)_感染地域:インド〕、急性脳炎3例〔インフルエンザウイルスAH1pdm 1例(1歳)、A型インフルエンザウイルス1例(8歳)、病原体不明1例(70代)〕、劇症型溶血性レンサ球菌感染症1例(70代)、バンコマイシン耐性腸球菌感染症1例(遺伝子型:不明_菌検出検体:血液.死亡)などの報告があった。
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◆定点把握の対象となる5類感染症(週報対象のもの)
全国の指定された医療機関(定点)から報告され、疾患により小児科定点(約3,000 カ所)、インフルエンザ(小児科・内科)定点(約5,000 カ所)、眼科定点(約600 カ所)、基幹定点(約500 カ所)に分かれています。また、定点当たり報告数は、報告数/定点医療機関数です。
インフルエンザ: 定点当たり報告数は2週連続で減少した。都道府県別では愛知県(37.01)、富山県(32.56)、福岡県(31.75)、新潟県(30.89)、長崎県(30.07)、埼玉県(28.77)、神奈川県(27.89)が多い。
小児科定点報告疾患:RSウイルス感染症の報告数は1,507例と3週連続で減少した。年齢別では1歳以下の報告数が全体の約71%を占めている。咽頭結膜熱の定点当たり報告数は横ばいであったが、過去5年間の同時期(前週、当該週、後週)と比較してやや多い。都道府県別では富山県(2.03)、宮崎県(0.97)、福岡県(0.86)が多い。A群溶血性レンサ球菌咽頭炎の定点当たり報告数は減少した。都道府県別では石川県(7.3)、福井県(4.7)、鳥取県(4.6)が多い。感染性胃腸炎の定点当たり報告数は3週連続で減少した。都道府県別では大分県(15.9)、宮崎県(15.2)、福井県(14.6)が多い。水痘の定点当たり報告数は増加した。都道府県別では沖縄県(4.65)、宮崎県(4.20)、香川県(2.93)が多い。手足口病の定点当たり報告数は減少した。都道府県別では沖縄県(1.85)、福井県(0.41)、佐賀県(0.35)が多い。伝染性紅斑の定点当たり報告数は3週連続で減少したが、過去5年間の同時期と比較してやや多い。都道府県別では福岡県(1.46)、宮崎県(1.43)、宮城県(0.88)が多い。百日咳の定点当たり報告数は3週連続で減少した。都道府県別では沖縄県(0.18)、広島県(0.10)、千葉県(0.08)が多い。ヘルパンギーナの定点当たり報告数は2週連続で減少した。都道府県別では沖縄県(0.09)、高知県(0.07)が多い。流行性耳下腺炎の定点当たり報告数は減少した。都道府県別では長野県(3.45)、鹿児島県(2.38)、鳥取県(2.26)が多い。
基幹定点報告疾患:マイコプラズマ肺炎の定点当たり報告数は減少した。都道府県別では沖縄県(2.14)、埼玉県(1.56)、愛媛県(1.50)が多い。
〈1月コメント〉
◆性感染症について 2011年2月14日集計分 性感染症定点数:962
(産婦人科・産科・婦人科:464、泌尿器科:401、皮膚科85、性病科12)
●月別推移
2011年1月の月別定点当たり患者報告数は、性器クラミジア感染症が2.20(男0.99、女1.21)、性器ヘルペスウイルス感染症が0.64(男0.27、女0.37)、尖圭コンジローマが0.47(男0.29、女0.18)、淋菌感染症が0.92(男0.74、女0.18)であった。男性では性器クラミジア感染症、次いで淋菌感染症が多く、女性では性器クラミジア感染症、次いで性器ヘルペスウイルス感染症が多かった(図1)。
前月に比べると、男女共に、性器クラミジア感染症で増加、性器ヘルペスウイルス感染症で減少、尖圭コンジローマで増加、淋菌感染症で増加した。(24〜27ページ「グラフ総覧」参照)。過去5年間の同時期と比較すると、女性では性器ヘルペスウイルス感染症、尖圭コンジローマでやや少なかった(図2)。
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図1. 各性感染症が総報告数に占める割合(1月) |
●男女別・年齢階級別
年齢群別(0歳、1〜4歳、5〜69歳は5歳毎、および70歳以上)でみた定点当たり報告数のピークは、男性では、性器クラミジア感染症は25〜29歳の年齢群、性器ヘルペスウイルス感染症は30〜34歳の年齢群、尖圭コンジローマは25〜34歳の2つの年齢群、淋菌感染症は25〜29歳の年齢群であった。女性では、4疾患すべてで20〜24歳の年齢群であった(図3:PDF参照)。男女ともに4疾患すべてで15〜19歳の年齢群の報告があり、男性では淋菌感染症、女性では性器クラミジア感染症、性器ヘルペスウイルス感染症で10〜14歳の年齢群の報告があった。また、性器クラミジア感染症、尖圭コンジローマ、淋菌感染症の3疾患は、男性では60代以上は僅かであり、女性では50代以上の報告はないか、あっても僅かである。しかし、性器ヘルペスウイルス感染症は男女ともに、50代以降の報告も少なくない。この年齢層は再発例が含まれている可能性が以前から指摘されており、2006年4月の届出基準改正により、抗体のみ陽性のものの除外に加えて「明らかな再発例は除外する」ことが明示された。しかし、報告数や年齢群分布において明らかな変化は見られておらず、この基準変更の周知徹底が必要と考える。
年齢群毎にみた定点当たり報告数の男女の比較では、性器クラミジア感染症では15〜29歳の3つの年齢群、性器ヘルペスウイルス感染症では15〜29歳および35〜39歳の4つの年齢群、尖圭コンジローマでは15〜24歳の2つの年齢群という比較的低い年齢層を中心に女性が男性より多く、他の年齢群は同値あるいは男性が多かった。淋菌感染症では15〜19歳で同値で、他の年齢群は男性が多かった。ただし、性感染症定点は泌尿器科系、婦人科系および皮膚科系などの診療科から構成されており、男女の比較についてはそれらの比率の影響を受ける可能性がある。
●若年齢層での推移
感染症法が施行された1999年4月以降について、若年層(15〜29歳)における各疾患の定点当たり報告数を男女別・月別に(図4:PDF参照)に示した。性器クラミジア感染症は男女ともに2003年以降減少傾向がみられたが、男性では2010年に入り微増傾向がみられている。性器ヘルペスウイルス感染症は、男性では2007年以降、女性では2006年以降微減傾向がみられたが、男性では2009年以降ほぼ横ばいで、女性では2010年に入り微増傾向がみられる。尖圭コンジローマは男女共に2006年以降微減傾向がみられる。淋菌感染症は、男性では2003年以降減少傾向がみられたが2010年に入り増加傾向がみられ、女性では2004年以降微減傾向がみられたが2007年以降は横ばいで推移している。前月との比較では、男性では性器クラミジア感染症で増加、性器ヘルペスウイルス感染症で減少、尖圭コンジローマで増加、淋菌感染症で同値であった。女性では性器クラミジア感染症で増加、性器ヘルペスウイルス感染症で同値、尖圭コンジローマで増加、淋菌感染症で増加であった。
◆薬剤耐性菌について (2月14集計分)
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基幹定点数(1月):469.
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●月別
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メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)感染症
3.98(前月:3.80、前年同月:3.98)
定点当たり報告数は、例年年間を通じてほぼ一定である。1月は前月より増加し、過去10年間の同月との比較では中位に属した。
ペニシリン耐性肺炎球菌(PRSP)感染症
0.94(前月:1.19、前年同月:0.91)
定点当たり報告数は、例年春から初夏にかけて(4〜6月)と冬(11、12月)に多く、夏(7〜9月)に少なく推移している。1月は前月より減少し、過去10年間の同月との比較では中位に属した。
薬剤耐性緑膿菌感染症
0.10(前月:0.10、前年同月:0.05)
定点当たり報告数は、例年後半が前半に比して多い傾向がある。1月は前月と変化なく、過去10年間の同月との比較では上位に属した。
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●年齢階級別
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MRSA感染症
高齢者に多く、70歳以上が全体の64%を占めている(図1:PDF参照)
PRSP感染症
小児と高齢者に多い。5歳未満が全体の60%を占める一方、70歳以上が全体の23%を占めている(図2:PDF参照)。
薬剤耐性緑膿菌感染症
高齢者に多く、70歳以上が全体の62%を占めている(図3:PDF参照)
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●性別:女性を1 として算出した男/女比
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MRSA感染症…男:女=1.6:1
PRSP感染症…男:女=1.3:1
薬剤耐性緑膿菌感染症…男:女=1.2:1
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●都道府県別
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MRSA感染症
定点当たり報告数は沖縄県(10.6)、滋賀県(8.3)、鳥取県(7.4)が多い。
PRSP感染症
定点当たり報告数は福井県(4.3)、新潟県(2.9)、千葉県(2.6)が多い。
薬剤耐性緑膿菌感染症
報告総数が47件にとどまるため、都道府県別定点当たり報告数の評価は困難である。
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