発生動向総覧
〈第10週コメント〉 3月16日集計分
◆全数報告の感染症
注意:これは当該週に診断された報告症例の集計です。しかし、迅速に情報還元するために期日を決めて集計を行いますので、当該週に診断された症例の報告が集計の期日以降に届くこともあります。それらについては一部を除いて発生動向総覧では扱いませんが、翌週あるいはそれ以降に、巻末の表の累積数に加えられることになります。
*感染経路、感染原因、感染地域については、確定あるいは推定として記載されていたものを示します。
1類感染症: |
報告なし |
2類感染症: |
結核 375例 |
3類感染症: |
細菌性赤痢4例
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菌種:S. flexneri (B群)1例_感染地域:コンゴ共和国
菌種:S. sonnei (D群)3例_感染地域:国内(都道府県不明)2例、インドネシア1例
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腸管出血性大腸菌感染症6例(有症者2例、うちHUS なし) |
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感染地域:国内6例
国内の感染地域:東京都2例、宮城県1例、千葉県1例、大阪府1例、不明1例
年齢群:20代(1例)、30代(1例)、40代(1例)、50代(2例)、60代(1例)
血清型・毒素型:O157 VT1・VT2(2例)、O26 VT1(1例)、O91 VT1(1例)、O103 VT1(1例)、その他・不明(1例)
累積報告数:148例(有症者82例、うちHUS 4例.死亡なし)
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パラチフス2例(感染地域:三重県1例、タイ/バングラデシュ1例)
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4類感染症: |
E型肝炎1例〔感染地域:国内(都道府県不明)_感染源:不明〕
A型肝炎3例〔感染地域:東京都1例、国内(都道府県不明)1例、インド1例〕
デング熱2例(感染地域:タイ1例、ルワンダ1例)
マラリア1例(熱帯熱_感染地域:インド)
レジオネラ症3例(肺炎型3例)
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感染地域:岩手県1例(温泉)、大阪府1例、国内(都道府県不明)1例(温泉)
年齢群:70代(2例)、80代(1例)
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5類感染症: |
アメーバ赤痢10例(腸管アメーバ症9例、腸管及び腸管外アメーバ症1例) |
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感染地域:埼玉県1例、千葉県1例、新潟県1例、長野県1例、京都府1例、愛媛県1例、福岡県1例、フィリピン2例、東南アジア(国不明)1例
感染経路:経口感染5例、性的接触3例(異性間2例、異性間・同性間不明1例)、その他・不明2例
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ウイルス性肝炎2例 |
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B型2例_感染経路:性的接触2例(異性間1例、異性間・同性間不明1例)
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急性脳炎1例(アデノウイルス_年齢群:1歳)
クロイツフェルト・ヤコブ病2例(孤発性プリオン病古典型2例)
劇症型溶血性レンサ球菌感染症1例(年齢群:60代)
後天性免疫不全症候群17例(AIDS 4例、無症候12例、その他1例) |
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感染地域:国内14例、国内・国外不明3例
感染経路:性的接触14例(異性間5例、同性間8例、異性/同性間1例)、不明3例
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梅毒8例(早期顕症I期3例、早期顕症II期2例、無症候3例)
破傷風1例(年齢群:10代)
バンコマイシン耐性腸球菌感染症1例 |
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遺伝子型:Van B_菌検出検体:尿
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風しん3例(検査診断例1例、臨床診断例2例) |
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国内の感染地域:大阪府1例、兵庫県1例、宮崎県1例
年齢群:25〜29歳(1例)、30〜34歳(1例)、35〜39歳(1例)
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麻しん4例〔麻しん(臨床診断例4例)〕
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感染地域:国内3例、オーストラリア1例
国内の感染地域:千葉県1例、広島県1例、国内(都道府県不明)1例
年齢群:1歳(1例)、8歳(1例)、10〜14歳(1例)、25〜29歳(1例)
累積報告数:69例〔麻しん(検査診断例36例、臨床診断例20例)、修飾麻しん(検査診断例13例)〕
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(補)他に2011年第9週までに診断されたものの報告遅れとして、急性脳炎3例〔インフルエンザウイルスB型2例_2歳(1例)、5歳(1例).病原体不明1例_1歳〕、劇症型溶血性レンサ球菌感染症4例〔30代(1例)、60代(2例)、70代(1例.死亡)〕などの報告があった。
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◆定点把握の対象となる5類感染症(週報対象のもの)
全国の指定された医療機関(定点)から報告され、疾患により小児科定点(約3,000 カ所)、インフルエンザ(小児科・内科)定点(約5,000 カ所)、眼科定点(約600 カ所)、基幹定点(約500 カ所)に分かれています。また、定点当たり報告数は、報告数/定点医療機関数です。
インフルエンザ: 定点当たり報告数は増加した。都道府県別では山口県(43.96)、大分県(37.67)、愛知県(35.64)、三重県(30.96)、岐阜県(29.98)、福岡県(27.79)、富山県(26.27)が多い。
小児科定点報告疾患:RSウイルス感染症の報告数は834例と第4週以降減少が続いている。年齢別では1歳以下の報告数が全体の約74%を占めている。咽頭結膜熱の定点当たり報告数は減少したが、過去5年間の同時期(前週、当該週、後週)と比較してやや多い。都道府県別では富山県(2.45)、福井県(1.73)、佐賀県(1.09)が多い。A群溶血性レンサ球菌咽頭炎の定点当たり報告数は第7週以降増加が続いている。都道府県別では石川県(8.8)、宮崎県(6.1)、鳥取県(5.8)、山形県(5.8)が多い。感染性胃腸炎の定点当たり報告数は増加した。都道府県別では宮崎県(20.3)、福井県(20.3)、大分県(19.1)、熊本県(17.0)が多い。水痘の定点当たり報告数は増加した。都道府県別では沖縄県(5.2)、宮崎県(4.0)、福岡県(3.3)が多い。手足口病の定点当たり報告数は横ばいであった。都道府県別では沖縄県(2.35)、和歌山県(0.48)、福井県(0.41)が多い。伝染性紅斑の定点当たり報告数は増加し、過去5年間の同時期と比較してかなり多い。都道府県別では佐賀県(2.30)、宮崎県(2.19)、石川県(2.10)が多い。百日咳の定点当たり報告数は増加した。都道府県別では沖縄県(0.15)、新潟県(0.08)が多い。ヘルパンギーナの定点当たり報告数は第7週以降増加が続いている。都道府県別では滋賀県(0.31)、鹿児島県(0.24)、岩手県(0.23)が多い。流行性耳下腺炎の定点当たり報告数は増加した。都道府県別では長野県(4.05)、香川県(3.53)、鹿児島県(3.49)が多い。
基幹定点報告疾患:マイコプラズマ肺炎の定点当たり報告数は2週連続で減少した。都道府県別では沖縄県(2.43)、埼玉県(1.89)、愛媛県(1.33)、佐賀県(1.33)が多い。
〈2月コメント〉
◆性感染症について 2011年3月14日集計分 性感染症定点数:963
(産婦人科・産科・婦人科:464、泌尿器科:400、皮膚科87、性病科12)
●月別推移
2011年2月の月別定点当たり患者報告数は、性器クラミジア感染症が2.02(男0.91、女1.11)、性器ヘルペスウイルス感染症が0.67(男0.26、女0.40)、尖圭コンジローマが0.41(男0.23、女0.18)、淋菌感染症が0.73(男0.58、女0.15)であった。男性では性器クラミジア感染症、次いで淋菌感染症が多く、女性では性器クラミジア感染症、次いで性器ヘルペスウイルス感染症が多かった(図1)。
前月に比べると、男性では、性器クラミジア感染症で減少、性器ヘルペスウイルス感染症で横ばい、尖圭コンジローマで減少、淋菌感染症で減少した。女性では、性器クラミジア感染症で減少、性器ヘルペスウイルス感染症で増加、尖圭コンジローマで微増、淋菌感染症減少した(29〜32ページ「グラフ総覧」参照)。過去5年間の同時期と比較すると、男性では性器クラミジア感染症、尖圭コンジローマ、淋菌感染症でやや少なく、女性では性器クラミジア感染症でやや少なかった(図2)。
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図1. 各性感染症が総報告数に占める割合(2月) |
●男女別・年齢階級別
年齢群別(0歳、1〜4歳、5〜69歳は5歳毎、および70歳以上)でみた定点当たり報告数のピークは、男性では、性器クラミジア感染症は25〜29歳の年齢群、性器ヘルペスウイルス感染症は30〜34歳の年齢群、尖圭コンジローマは20〜29歳および35〜39歳の3つの年齢群、淋菌感染症は20〜29歳の2つの年齢群であった。女性では、性器クラミジア感染症は20〜24歳の年齢群、性器ヘルペスウイルス感染症は20〜34歳の3つの年齢群、尖圭コンジローマは20〜24歳の年齢群、淋菌感染症は20〜24歳の年齢群であった(図3:PDF参照)。男女ともに4疾患すべてで15〜19歳の年齢群の報告があり、女性では性器クラミジア感染症、性器ヘルペスウイルス感染症、尖圭コンジローマで10〜14歳の年齢群の報告があった。また、性器クラミジア感染症、尖圭コンジローマ、淋菌感染症の3疾患は、男性では60代以上は僅かであり、女性では50代以上の報告は僅かである。しかし、性器ヘルペスウイルス感染症は男女ともに、50代以降の報告も少なくない。この年齢層は再発例が含まれている可能性が以前から指摘されており、2006年4月の届出基準改正により、抗体のみ陽性のものの除外に加えて「明らかな再発例は除外する」ことが明示された。しかし、報告数や年齢群分布において明らかな変化は見られておらず、この基準変更の周知徹底が必要と考える。
年齢群毎にみた定点当たり報告数の男女の比較では、性器クラミジア感染症では10〜29歳の4つの年齢群、性器ヘルペスウイルス感染症では15〜29歳、35〜39歳、50〜64歳および70歳以上の8つの年齢群、尖圭コンジローマでは15〜24歳の2つの年齢群という比較的低い年齢層を中心に女性が男性より多く、他の年齢群は同値あるいは男性が多かった。淋菌感染症ではすべての年齢群で男性が女性よりも多かった。ただし、性感染症定点は泌尿器科系、婦人科系および皮膚科系などの診療科から構成されており、男女の比較についてはそれらの比率の影響を受ける可能性がある。
●若年齢層での推移
感染症法が施行された1999年4月以降について、若年層(15〜29歳)における各疾患の定点当たり報告数を男女別・月別に(図4:PDF参照)に示した。性器クラミジア感染症は男女ともに2003年以降減少傾向がみられたが、男性では2010年に入り微増傾向がみられている。性器ヘルペスウイルス感染症は、男性では2007年以降、女性では2006年以降微減傾向がみられたが、男性では2009年以降ほぼ横ばいで、女性では2010年に入り微増傾向がみられる。尖圭コンジローマは男女共に2006年以降微減傾向がみられる。淋菌感染症は、男性では2003年以降減少傾向がみられたが2010年に入り増加傾向がみられ、女性では2004年以降微減傾向がみられたが2007年以降は横ばいで推移している。前月との比較では、男性では4疾患すべてで減少であった。女性では性器クラミジア感染症で減少、性器ヘルペスウイルス感染症で減少、尖圭コンジローマで同値、淋菌感染症で減少であった。
◆薬剤耐性菌について (3月14集計分)
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基幹定点数(2月):467.
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●月別
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メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)感染症
3.88(前月:3.98、前年同月:3.89)
定点当たり報告数は、例年年間を通じてほぼ一定である。2月は前月より減少し、過去10年間の同月との比較では下位に属した。
ペニシリン耐性肺炎球菌(PRSP)感染症
0.81(前月:0.94、前年同月:1.01)
定点当たり報告数は、例年春から初夏にかけて(4〜6月)と冬(11、12月)に多く、夏(7〜9月)に少なく推移している。2月は前月より減少し、過去10年間の同月との比較では下位に属した。
薬剤耐性緑膿菌(MDRP)感染症
0.06(前月:0.10、前年同月:0.06)
定点当たり報告数は、例年後半が前半に比して多い傾向がある。2月は前月より減少し、過去10年間の同月との比較では下位に属した。
薬剤耐性アシネトバクター(MDRA)感染症
0.00(前月:−、前年同月:−)
報告数は1例であった。今月が初めての報告であるため、傾向の分析や過去との比較はできない。
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●年齢階級別
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MRSA感染症
高齢者に多く、70歳以上が全体の67%を占めている(図1:PDF参照)
PRSP感染症
小児と高齢者に多い。5歳未満が全体の50%を占める一方、70歳以上が全体の25%を占めている(図2:PDF参照)。
MDRP感染症
高齢者に多く、70歳以上が全体の73%を占めている(図3:PDF参照)
MDRA感染症
50代で1例だけ報告されている(図4:PDF参照)
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●性別:女性を1 として算出した男/女比
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MRSA感染症…男:女=1.8:1
PRSP感染症…男:女=1.2:1
MDRP感染症…男:女=5.5:1
MDRA感染症…男:女=0:1
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●都道府県別
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MRSA感染症
定点当たり報告数は沖縄県(9.9)、福島県(9.1)、滋賀県(8.0)が多い。
PRSP感染症
定点当たり報告数は千葉県(2.7)、東京都(2.5)、福井県(2.5)が多い。
MDRP感染症
報告総数が26件にとどまるため、都道府県別定点当たり報告数の評価は困難である。
MDRA感染症
報告総数が1件にとどまるため、都道府県別定点当たり報告数の評価は困難である。
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注目すべき感染症
◆ インフルエンザ
インフルエンザ(Influenza)は、インフルエンザウイルスを病原体とする急性の呼吸器感染症で、毎年世界中で流行がみられている。インフルエンザは、1〜4日間の潜伏期間を経て、突然に発熱(38℃以上の高熱)、頭痛、全身倦怠感、筋肉痛・関節痛などが出現し、鼻水・咳などの呼吸器症状がこれに続く。通常は1週間前後の経過で軽快するが、いわゆる「かぜ」と比べて全身症状が強いのが特徴である。
主な感染経路はくしゃみ、咳、会話等で口から発する飛沫による飛沫感染であり、他に接触感染もあるといわれている(CDCホームページ:http://www.cdc.gov/flu/about/disease/spread.htm)。インフルエンザの感染対策としては、飛沫感染対策としての咳エチケット、接触感染対策としての手洗いの徹底が重要であると考えられるが、たとえインフルエンザウイルスに感染しても、全く無症状の不顕性感染例や臨床的にはインフルエンザとは診断し難い軽症例が存在する。
感染症発生動向調査では、全国約5,000カ所(小児科定点約3,000、内科定点約2,000)のインフルエンザ定点からの報告に基づいてインフルエンザの発生動向を分析している。インフルエンザの報告数は2011年第5週以降減少が続いていたが、第10週の定点当たり報告数は16.81と前週(13.85)よりも増加した(図1)。また、第10週は岩手県の一部(3保健所)、宮城県、福島県からは報告はなかったにもかかわらず、患者報告数も79,174と、前週の68,327を上回った。都道府県別では山口県(43.96)、大分県(37.67)、愛知県(35.64)、三重県(30.96)、岐阜県(29.98)、福岡県(27.79)、富山県(26.27)、広島県(23.25)の順である。宮城県、福島県を除く45都道府県中40都道府県で定点当たり報告数の増加が認められている。また、岩手県、宮城県、福島県を除く東北各県とその周辺の全ての県でも、報告数の増加がみられた(図2)。
定点医療機関からの報告をもとに、定点以外を含む全国の医療機関をこの1週間に受診した患者数を推計すると約68万人(95%信頼区間:59万人〜77万人)(暫定値)となり、年齢群別では5〜9歳約27万人(39.7%)、10〜14歳約15万人(22.1%)、0〜4歳約10万人(14.7%)、30代約5万人(7.4%)の順であった。0〜14歳の年齢層で増加がみられている(図3)。2010年第36週以降これまでの累積の推計受診患者数は約1,030万人(95%信頼区間:1,000万人〜1,060万人)(暫定値)であり、その内訳は男性51.2%、女性約48.8%、年齢群別では5〜9歳23.4%、10〜14歳14.2%、0〜4歳13.1%、20代12.7%の順となっている。
2010年第36週〜2011年第10週までの期間中に国内では8,122検体のインフルエンザウイルスの検出が報告されており、AH1pdm 5,121件、AH3亜型(A香港型)2,429件、B型572件とAH1pdmが最多を占めている。一方、2011年第6〜10週までの直近の5週間では、総検出報告数1,256検体中AH3亜型521件(41.5%)、AH1pdm 502件(40.0%)、B型233件(18.6%)であり、AH3亜型の検出が最多となっている(図4)。
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図1. インフルエンザの年別・週別発生状況(2001〜2011年第10週) |
図2. インフルエンザの都道府県別定点当たり報告数の推移(2011年第8〜10週) |
図3. インフルエンザ推計受診患者数(暫定値)の年齢群別・週別推移(2010年第46週〜2011年第10週) |
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図4. インフルエンザウイルス検出報告割合(2011年第6〜10週) |
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第10週のインフルエンザの報告数は増加し、流行が再燃してきていることを示している。検出されているウイルスの状況をみると、AH3亜型が流行の中心となりつつあり、またB型の患者発生数も増加してきているものと推測される。今回の東北地方太平洋沖地震で被災された方々の避難所等の集団生活施設においても、インフルエンザの患者発生とその感染拡大が危惧される。今後ともインフルエンザの発生動向には注意深い観察とその結果の迅速な情報発信が必要である。
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