発生動向総覧
〈第23週コメント〉 6月15日集計分
◆全数報告の感染症
注意:これは当該週に診断された報告症例の集計です。しかし、迅速に情報還元するために期日を決めて集計を行いますので、当該週に診断された症例の報告が集計の期日以降に届くこともあります。それらについては一部を除いて発生動向総覧では扱いませんが、翌週あるいはそれ以降に、巻末の表の累積数に加えられることになります。
*感染経路、感染原因、感染地域については、確定あるいは推定として記載されていたものを示します。
1類感染症: |
報告なし |
2類感染症: |
結核 362例 |
3類感染症: |
細菌性赤痢3例
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菌種:S. flexneri(B群)2例_感染地域:宮城県1例、ペルー/ブラジル/アルゼンチン1例
S. sonnei(D群)1例_感染地域:インド1例
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腸管出血性大腸菌感染症101例(有症者65例、うちHUS 2例) |
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感染地域:国内99例、韓国1例、インドネシア1例
国内の多い感染地域:千葉県20例*、熊本県11例**、島根県9例、福岡県6例、神奈川県5例、鹿児島県5例、三重県4例、兵庫県4例、広島県4例、石川県3例、宮城県2例、埼玉県2例、福井県2例、岐阜県2例、愛知県2例、滋賀県2例
* 保育所に関連した集団感染(O145 VT1)
** 飲食店で発生した食中毒(O型別不能VT2)
年齢群:1歳(10例)、2歳(8例)、3歳(2例)、4歳(9例)、5歳(3例)、6歳(1例)、9歳(1例)、10代(21例)、20代(13例)、30代(11例)、40代(2例)、50代(5例)、60代(6例)、70代(3例)、80代(6例)
血清型・毒素型:O157 VT1・VT2(24例)、O145 VT1(20例)、O26 VT1(13例)、O157 VT2(12例)、O26 VT1・VT2(6例)、O121 VT2(2例)、O157 VT1(2例)、O18 VT2(1例)、O55 VT1(1例)、O91 VT1(1例)、O103 VT1・VT2(1例)、O103 VT1(1例)、O152 VT1・VT2(1例)、O157 VT不明(1例)、その他・不明(15例)
累積報告数:786例(有症者560例、うちHUS 46例.死亡1例)
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腸チフス1例(感染地域:インド)
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4類感染症: |
E型肝炎1例(感染地域:インド_感染源:不明)
つつが虫病10例
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感染地域:新潟県3例、秋田県2例、山形県2例、青森県1例、岩手県1例、福島県1例
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日本紅斑熱5例
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感染地域:広島県2例、和歌山県1例、岡山県1例、徳島県1例
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マラリア2例(三日熱2例_感染地域:インド1例、バヌアツ1例)
レジオネラ症11例(肺炎型11例)
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感染地域:岐阜県2例(うち1例温泉)、三重県1例、大阪府1例、徳島県1例、熊本県1例、沖縄県1例、国内(都道府県不明)4例
年齢群:50代(3例)、60代(4例)、70代(2例)、80代(2例)
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5類感染症: |
アメーバ赤痢5例(腸管アメーバ症4例、腸管及び腸管外アメーバ症1例) |
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感染地域:東京都2例、岩手県1例、大阪府1例、国内(都道府県不明)1例
感染経路:性的接触1例(同性間)、その他・不明4例
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ウイルス性肝炎7例 |
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B型3例_感染経路:性的接触2例(異性間2例)、不明1例
C型3例_感染経路:性的接触2例(異性間1例、同性間1例)、不明1例
EB1例_感染経路:不明
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急性脳炎2例 |
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病原体不明2例_年齢群:5歳(1例)、8歳(1例)
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クロイツフェルト・ヤコブ病3例(孤発性プリオン病古典型3例)
劇症型溶血性レンサ球菌感染症3例 |
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年齢群:40代(2例)、90代(1例)
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後天性免疫不全症候群12例(AIDS 3例、無症候9例) |
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感染地域:国内11例、国内・国外不明1例
感染経路:性的接触11例(異性間1例、同性間9例、異性間・同性
間不明1例)、不明1例
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ジアルジア症1例(感染地域:沖縄県) 髄膜炎菌性髄膜炎1例(感染地域:東京都)
梅毒20例(早期顕症I期2例、早期顕症II期7例、晩期顕症1例、無症候10例)
バンコマイシン耐性腸球菌感染症1例 |
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遺伝子型:不明_菌検出検体:胆汁
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風しん12例(検査診断例11例、臨床診断例1例) |
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感染地域:福岡県5例、北海道2例、東京都1例、兵庫県1例、国内(都道府県不明)2例、中国1例
年齢群:20〜24歳(3例)、25〜29歳(1例)、30〜34歳(2例)、40代(4例)、50代(2例)
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麻しん15例〔麻しん(検査診断例5例、臨床診断例5例、修飾麻しん(検査診断例5例)〕
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感染地域:国内15例
国内の感染地域:東京都2例、神奈川県2例、青森県1例、埼玉県1例、千葉県1例、滋賀県1例、京都府1例、大阪府1例、兵庫県1例、広島県1例、国内(都道府県不明)3例
年齢群:1歳(2例)、2歳(2例)、3歳(1例)、15〜19歳(2例)、20〜24歳(1例)、25〜29歳(2例)、30〜34歳(1例)、35〜39歳(2例)、40代(1例)、60代(1例)
累積報告数:307例〔麻しん(検査診断例158例、臨床診断例92例)、修飾麻しん(検査診断例57例)〕
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(補)他に2011年第22週までに診断されたものの報告遅れとして、チクングニア熱1例(感染地域:インドネシア)、マラリア1例(四日熱_感染地域:ザンビア)、急性脳炎3例〔インフルエンザウイルスB型1例(9歳)、単純ヘルペスウイルス1例(60代)、ヒトヘルペスウイルス6型1例(1歳)〕、バンコマイシン耐性腸球菌感染症2例(遺伝子型:VanA 1例_菌検出検体:血液、遺伝子型:VanC 1例_菌検出検体:血液)、風しん11例〔検査診断例11例_感染地域:北海道6例、広島県2例、福岡県2例、国内(都道府県不明)1例_年齢群:20〜24歳(2例)、30〜34歳(4例)、40代(4例)、50代(1例)〕などの報告があった。
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◆定点把握の対象となる5類感染症(週報対象のもの)
全国の指定された医療機関(定点)から報告され、疾患により小児科定点(約3,000 カ所)、インフルエンザ(小児科・内科)定点(約5,000 カ所)、眼科定点(約600 カ所)、基幹定点(約500 カ所)に分かれています。また、定点当たり報告数は、報告数/定点医療機関数です。
インフルエンザ: 定点当たり報告数は第17週以降減少が続いている。都道府県別では沖縄県(10.62)、秋田県(2.15)、鹿児島県(2.09)、佐賀県(2.05)、福島県(1.68)が多い。
小児科定点報告疾患:RSウイルス感染症の報告数は303例と微増した。年齢別では1歳以下の報告数が全体の約73%を占めている。咽頭結膜熱の定点当たり報告数は第19週以降増加が続いている。都道府県別では滋賀県(2.84)、福井県(1.64)、佐賀県(1.35)が多い。A群溶血性レンサ球菌咽頭炎の定点当たり報告数は増加した。都道府県別では福井県(5.3)、千葉県(4.1)、埼玉県(4.0)が多い。感染性胃腸炎の定点当たり報告数は減少した。都道府県別では大分県(11.5)、福井県(8.7)、長野県(8.4)が多い。水痘の定点当たり報告数は増加した。都道府県別では佐賀県(4.74)、宮崎県(4.17)、福岡県(3.65)が多い。手足口病の定点当たり報告数は第19週以降増加が続いており、過去5年間の同時期(前週、当該週、後週)と比較してやや多い。都道府県別では香川県(8.1)、島根県(7.8)、岡山県(7.3)が多い。伝染性紅斑の定点当たり報告数は2週連続で増加し、過去5年間の同時期と比較してやや多い。都道府県別では宮崎県(2.58)、群馬県(2.53)、山梨県(2.13)が多い。百日咳の定点当たり報告数は減少した。都道府県別では広島県(0.11)、奈良県(0.09)、新潟県(0.08)が多い。ヘルパンギーナの定点当たり報告数は第19週以降増加が続いている。都道府県別では鹿児島県(4.07)、香川県(2.43)、徳島県(2.09)が多い。流行性耳下腺炎の定点当たり報告数は減少した。都道府県別では長野県(3.69)、鹿児島県(2.47)、鳥取県(2.26)が多い。
基幹定点報告疾患:マイコプラズマ肺炎の定点当たり報告数は第19週以降増加が続いており、過去5年間の同時期と比較してかなり多い。都道府県別では青森県(3.67)、沖縄県(3.00)、大阪府(2.63)が多い。
〈5月コメント〉
◆性感染症について 2011年6月13日集計分 性感染症定点数:963
(産婦人科・産科・婦人科:469、泌尿器科:396、皮膚科85、性病科13)
●月別推移
2011年5月の月別定点当たり患者報告数は、性器クラミジア感染症が2.11(男0.96、女1.15)、性器ヘルペスウイルス感染症が0.72(男0.26、女0.45)、尖圭コンジローマが0.45(男0.26、女0.19)、淋菌感染症が0.83(男0.65、女0.18)であった。男性では性器クラミジア感染症、次いで淋菌感染症が多く、女性では性器クラミジア感染症、次いで性器ヘルペスウイルス感染症が多かった(図1)。
前月に比べると、男性では、性器クラミジア感染症で増加、性器ヘルペスウイルス感染症で増加、尖圭コンジローマで微増、淋菌感染症で増加した。女性では、性器クラミジア感染症で増加、性器ヘルペスウイルス感染症で増加、尖圭コンジローマで減少、淋菌感染症で横ばいであった(28〜31ページ「グラフ総覧」参照)。過去5年間の同時期と比較すると、男性では性器クラミジア感染症、性器ヘルペスウイルス感染症でやや少なく、女性では性器クラミジア感染症、尖圭コンジローマでやや少なかった(図2)。
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図1. 各性感染症が総報告数に占める割合(5月) |
●男女別・年齢階級別
年齢群別(0歳、1〜4歳、5〜69歳は5歳毎、および70歳以上)でみた定点当たり報告数のピークは、男性では、性器クラミジア感染症は25〜29歳の年齢群、性器ヘルペスウイルス感染症は25〜34歳、40〜44歳の3つの年齢群、尖圭コンジローマは25〜39歳の3つの年齢群、淋菌感染症は25〜29歳の年齢群であった。女性では、性器クラミジア感染症は20〜24歳の年齢群、性器ヘルペスウイルス感染症は25〜34歳の2つの年齢群、尖圭コンジローマは20〜24歳の年齢群、淋菌感染症は20〜24歳の年齢群であった(図3:PDF参照)。男女ともに4疾患すべてで15〜19歳の年齢群の報告があり、男性では性器ヘルペスウイルス感染症、女性では尖圭コンジローマで10〜14歳の年齢群の報告があった。また、性器クラミジア感染症、尖圭コンジローマ、淋菌感染症の3疾患は、男性では60代以上は僅かであり、女性では50代以上の報告は僅かである。しかし、性器ヘルペスウイルス感染症は男女ともに、50代以降の報告も少なくない。この年齢層は再発例が含まれている可能性が以前から指摘されており、2006年4月の届出基準改正により、抗体のみ陽性のものの除外に加えて「明らかな再発例は除外する」ことが明示された。しかし、年齢群分布においての明らかな変化は見られておらず、この基準の周知徹底とともに、遵守されているかの検討なども今後必要と考える。
年齢群毎にみた定点当たり報告数の男女の比較では、性器クラミジア感染症では15〜29歳の3つの年齢群、性器ヘルペスウイルス感染症では15〜39歳、50〜54歳および70歳以上の7つの年齢群、尖圭コンジローマでは15〜24歳の2つの年齢群、淋菌感染症では15〜19歳の年齢群という比較的低い年齢層を中心に女性が男性より多く、他の年齢群は同値あるいは男性が多かった。ただし、性感染症定点は泌尿器科系、婦人科系および皮膚科系などの診療科から構成されており、男女の比較については各地域におけるそれらの比率等の影響を受ける可能性がある。
●若年齢層での推移
感染症法が施行された1999年4月以降について、若年層(15〜29歳)における各疾患の定点当たり報告数を男女別・月別に(図4:PDF参照)に示した。性器クラミジア感染症は男女ともに2003年以降減少傾向がみられ、男性では2010年に入り増加傾向がみられたが11月に減少してその後ほぼ横ばいである。性器ヘルペスウイルス感染症は男性では2007年以降微減傾向がみられたが、2009年以降ほぼ横ばいである。女性では2006年以降微減傾向がみられたが、2009年に増加した後横ばいで推移し、2010年12月に減少してその後ほぼ横ばいである。尖圭コンジローマは男女共に2006年以降微減傾向がみられ、女性では2009年以降はほぼ横ばいで推移している。淋菌感染症は男性では2003年以降減少傾向がみられ、2010年に入り増加傾向がみられたが11月に減少してその後ほぼ横ばいである。女性では2004年以降微減傾向がみられたが2007年以降は横ばいで推移している。前月との比較では、男性では性器クラミジア感染症で増加、ヘルペスウイルス感染症で同値、尖圭コンジローマで同値、淋菌感染症で同値であった。女性では性器クラミジア感染症で増加、性器ヘルペスウイルス感染症で増加、尖圭コンジローマで同値、淋菌感染症で増加であった。
◆薬剤耐性菌について (6月13集計分)
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基幹定点数(5月):468.
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●月別
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メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)感染症
4.22(前月:3.94、前年同月:4.29)
定点当たり報告数は、例年年間を通じてほぼ一定である。5月は前月より増加し、過去10年間の同月との比較では上位に属した。
ペニシリン耐性肺炎球菌(PRSP)感染症
1.05(前月:0.88、前年同月:1.39)
定点当たり報告数は、例年春から初夏にかけて(4〜6月)と冬(11、12月)に多く、夏(7〜9月)に少なく推移している。5月は前月より増加し、過去10年間の同月との比較では最も少なかった。
薬剤耐性緑膿菌(MDRP)感染症
0.08(前月:0.06、前年同月:0.10)
定点当たり報告数は、例年後半が前半に比して多い傾向がある。5月は前月より増加し、過去10年間の同月との比較では下位に属した。
薬剤耐性アシネトバクター(MDRA)感染症
0.00(前月:0.00、前年同月:−)
報告数は1例であった。本年2月の報告開始から間もないため、傾向の分析や過去との比較は出来ない。
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●年齢階級別
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MRSA感染症 高齢者に多く、70歳以上が全体の65%を占めている(図1:PDF参照)
PRSP感染症
小児と高齢者に多い。5歳未満が全体の63%を占める一方、70歳以上が全体の20%を占めている(図2:PDF参照)。
MDRP感染症 高齢者に多く、70歳以上が全体の69%を占めている(図3:PDF参照)
MDRA感染症
70代で1例だけ報告されている(図4:PDF参照)
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●性別:女性を1 として算出した男/女比
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MRSA感染症…男:女=1.7:1
PRSP感染症…男:女=1.2:1
MDRP感染症…男:女=1.4:1
MDRA感染症…男:女=男性で1例だけ報告されている。
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●都道府県別
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MRSA感染症
定点当たり報告数は沖縄県(11.6)、新潟県(10.6)、滋賀県(10.0)が多い。
PRSP感染症
定点当たり報告数は千葉県(3.7)、福井県(3.3)、山形県(2.6)が多い。
MDRP感染症
報告総数が36例にとどまるため、都道府県別定点当たり報告数の評価は困難である。
MDRA感染症
1例のみの報告であるため、都道府県別定点当たり報告数の評価は困難である。
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注目すべき感染症
◆ 腸管出血性大腸菌感染症(2011年6月15日現在)
2011年の腸管出血性大腸菌感染症報告数は、第16週までは30例以下の報告が続いていたが、例年よりも早い第17週から増加し始めた。集団感染事例(食中毒*を含む)が複数発生したため、報告数が第18週71例、第19週142例と急増した。第20週以降は一旦減少したが、第22週の53例を境に再び増加に転じ、第23週は101例であった(図)。本年第23週までの累積報告数786例は、2000年以降の同週までの各年別累積報告数と比較して2001、2010年に次いで3番目に多い報告数である(2000年565例、2001年1,043例、2002年656例、2003年465例、2004年602例、2005年600例、2006年595例、2007年767例、2008年653例、2009年655例、2010年824例)。
第1〜23週の累積報告数786例についてみると、報告の多い都道府県は、食中毒による集団発生を反映して富山県(111例)、山形県(106例)が多く、次いで千葉県(56例)、島根県(49例)、神奈川県(39例)となっている(速報データ−2011年第23週:http://idsc.nih.go.jp/disease/ehec/2011prompt/23wEHEC.pdf 4. 累積報告数地図参照)。
性別では男性353例、女性433例、年齢群別では0〜9歳215例、10〜19歳150例、20〜29歳118例の順に多かった。
腸管出血性大腸菌感染症の重篤な合併症である溶血性尿毒症症候群(HUS)の発症は、第23週までに累計46例(男性19例、女性27例;有症状者におけるHUS発症率8%)報告されており、年齢群別では0〜4歳5例、5〜9歳8例、10〜14歳6例、15〜64歳22例、65歳以上5例であった。このうちの30例は富山県を中心とした同系列の焼肉店で発生した食中毒(O111 VT2、O157 VT1・VT2など)の患者であり、うち13例は脳症も発症していた。また、4例は山形県のだんご店に関連した食中毒(O157 VT1・VT2)患者である。残りの12例のうち、推定または確定された感染源・感染経路として肉の喫食が記載されていた者が6例あり、そのうち生肉を喫食していた者は2例(いずれも10〜14歳)であった。
死亡例は1例(80代男性、O157 VT1・VT2、HUS発症)報告されている。
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図. 腸管出血性大腸菌感染症の年別・週別発生状況(2000〜2011年第23週) |
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本年これまでに認められている集団感染事例は、第17週に富山県(焼肉店、O111 VT2、O157 VT1・VT2などによる食中毒)、第18週に島根県(福祉施設,O26 VT1・VT2)と山形県(だんご店、O157 VT1・VT2による食中毒)、第20週に富山県(焼肉店、O157 VT1・VT2による食中毒)などで発生し、4月末から5月にかけて多発している(IDWR第20号注目すべき感染症:http://idsc.nih.go.jp/idwr/douko/2011d/20douko.html#chumoku1)。新たに第22週には千葉県(保育所、O145 VT1)で、第23週には熊本県(飲食店、O型別不能VT2による食中毒)で集団感染が発生している(第23週コメント参照)。
今後、毎年本症が数多く発生する夏季を迎えるにあたり、その発生動向には注意が必要である。食肉の十分な加熱処理などにより、食中毒の予防を徹底するとともに、手洗いの励行などにより、ヒトからヒトへの二次感染を予防することが重要である。
(補)菌の検出状況については、http://idsc.nih.go.jp/iasr/prompt/graph-lj.html をご参照ください。
* 食中毒:食品衛生法に基づいて届出されたもの
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