 発生動向総覧
〈第34週コメント〉 8月31日集計分
◆全数報告の感染症
注意：これは当該週に診断された報告症例の集計です。しかし、迅速に情報還元するために期日を決めて集計を行いますので、当該週に診断された症例の報告が集計の期日以降に届くこともあります。それらについては一部を除いて発生動向総覧では扱いませんが、翌週あるいはそれ以降に、巻末の表の累積数に加えられることになります。
＊感染経路、感染原因、感染地域については、確定あるいは推定として記載されていたものを示します。
| 1類感染症： |
報告なし |
| 2類感染症： |
結核 332例 |
| 3類感染症： |
コレラ1例（感染地域：インド）
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細菌性赤痢25例
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菌種：S. flexneri （B群）1例＿感染地域：中国
S. boydii （C群）1例＿感染地域：インド
S. sonnei （D群）23例＿感染地域：山形県5例*、福島県4例*、青森県2例*、茨城県1例、千葉県1例、神奈川県1例、石川県1例、国内（都道府県不明）3例、インド3例、フィリピン/インド1例、タイ/ベトナム1例
* 同系列の外食チェーン店舗で起きた食中毒の患者を含む
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| 腸管出血性大腸菌感染症116例（有症者93例、うちHUS 2例） |
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感染地域：国内113例、韓国2例、中国1例
国内の多い感染地域：岩手県13例、福岡県9例、宮城県6例、大阪府6例、東京都5例、神奈川県4例、愛知県4例、京都府4例、宮崎県4例、鹿児島県4例
年齢群：0歳（5例）、1歳（5例）、2歳（5例）、3歳（5例）、4歳（4例）、5歳（4例）、6歳（4例）、7歳（2例）、8歳（1例）、9歳（3例）、10代（24例）、20代（13例）、30代（9例）、40代（6例）、50代（8例）、60代（7例）、70代（7例）、80代（4例）
血清型・毒素型：O157 VT1・VT2（48例）、O157 VT2（26例）、O26 VT1（20例）、O157 VT不明（6例）、O111 VT1（4例）、O26 VT1・VT2（3例）、O121 VT2（2例）、O55 VT1（1例）、O103 VT1（1例）、O145 VT2（1例）、その他・不明（4例）
累積報告数：2,654例（有症者1,854例、うちHUS 80例．死亡12例）
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| 4類感染症： |
A型肝炎2例（感染地域：三重県1例、イタリア1例）
デング熱1例（感染地域：フィリピン）
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日本紅斑熱6例
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感染地域：和歌山県2例、三重県1例、島根県1例、徳島県1例、長崎県1例
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マラリア1例（三日熱＿感染地域：インド）
類鼻疽1例（感染地域：ベトナム）
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レジオネラ症9例（肺炎型9例）
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感染地域：東京都1例、神奈川県1例、福井県1例、大阪府1例、兵庫県1例、大分県1例、宮崎県1例、沖縄県1例、国内（都道府県不明）1例
年齢群：40代（1例）、50代（4例）、60代（2例）、70代（1例）、80代（1例）
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| 5類感染症： |
| アメーバ赤痢11例（腸管アメーバ症9例、腸管外アメーバ症2例） |
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感染地域：埼玉県2例、東京都2例、福島県1例、静岡県1例、京都府1例、島根県1例、国内（都道府県不明）3例
感染経路：性的接触4例（異性間2例、同性間2例）、経口感染2例、不明5例
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| ウイルス性肝炎2例 |
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B型2例＿感染経路：性的接触1例（異性間）、不明1例
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クロイツフェルト・ヤコブ病1例（孤発性プリオン病古典型）
| 後天性免疫不全症候群17例（AIDS 1例、無症候13例、その他3例） |
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感染地域：国内16例、国内・国外不明1例
感染経路：性的接触17例（異性間4例、同性間13例）
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ジアルジア症1例（感染地域：東京都）
梅毒9例（早期顕症I期2例、早期顕症II期6例、無症候1例）
破傷風1例（年齢群：50代）
| 風しん5例（検査診断例5例） |
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感染地域：福岡県4例、国内（都道府県不明）1例
年齢群：20〜24歳（1例）、30〜34歳（2例）、40代（1例）、60代（1例）
累積報告数：304例（検査診断例235例、臨床診断例69例）
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麻しん2例〔麻しん（検査診断例1例、臨床診断例1例）〕
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感染地域：国内2例
国内の感染地域：埼玉県1例、国内（都道府県不明）1例
年齢群：5〜9歳（1例）、20〜24歳（1例）
累積報告数：387例〔麻しん（検査診断例182例、臨床診断例114例）、修飾麻しん（検査診断例91例）〕
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（補）2011年第33週までに診断されたものの報告遅れとして、細菌性赤痢1例〔菌種：S. sonnei（D群）＿感染地域：インド〕、E型肝炎1例（感染地域：タイ＿感染源：不明）、デング熱1例（感染地域：タイ）、日本紅斑熱5例（感染地域：高知県3例、鹿児島県2例）、レジオネラ症1例〔感染地域：北海道（温泉）〕、レプトスピラ症1例（感染地域：鹿児島県＿感染原因：河川/田園．死亡）、劇症型溶血性レンサ球菌感染症1例（60代）、バンコマイシン耐性腸球菌感染症2例（遺伝子型：VanC 2例＿菌検出検体：胆汁2例）などの報告があった。
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◆定点把握の対象となる５類感染症（週報対象のもの）
全国の指定された医療機関（定点）から報告され、疾患により小児科定点（約3,000 カ所）、インフルエンザ（小児科・内科）定点（約5,000 カ所）、眼科定点（約600 カ所）、基幹定点（約500 カ所）に分かれています。また、定点当たり報告数は、報告数/定点医療機関数です。
インフルエンザ： 定点当たり報告数は第17週以降減少が続いている。都道府県別では沖縄県（0.19）、岐阜県（0.09）、福井県（0.03）、三重県（0.03）が多い。
小児科定点報告疾患：RSウイルス感染症の報告数は898例と第30週以降増加が続いている。年齢別では1歳以下の報告数が全体の約77%を占めている。咽頭結膜熱の定点当たり報告数は第29週以降減少が続いている。都道府県別では鳥取県（1.21）、群馬県（0.78）、富山県（0.72）が多い。A群溶血性レンサ球菌咽頭炎の定点当たり報告数は増加した。都道府県別では長野県（1.44）、富山県（1.31）、福井県（1.27）が多い。感染性胃腸炎の定点当たり報告数は2週連続で増加した。都道府県別では大分県（6.0）、福井県（4.8）、鹿児島県（4.4）が多い。水痘の定点当たり報告数は減少した。都道府県別では愛媛県（1.41）、福井県（1.18）、佐賀県（1.09）が多い。手足口病の定点当たり報告数は第29週以降減少が続いているが、過去5年間の同時期（前週、当該週、後週）と比較してかなり多い。都道府県別では青森県（14.2）、秋田県（13.7）、岩手県（10.6）、山形県（8.9）、大分県（6.4）が多い。伝染性紅斑の定点当たり報告数は増加し、過去5年間の同時期と比較してやや多い。都道府県別では宮崎県（1.00）、愛知県（0.96）、福島県（0.90）が多い。百日咳の定点当たり報告数は増加した。都道府県別では沖縄県（0.21）、山梨県（0.13）、広島県（0.13）が多い。ヘルパンギーナの定点当たり報告数は増加し、過去5年間の同時期と比較してかなり多い。都道府県別では新潟県（10.8）、山形県（7.5）、福島県（5.5）、長野県（4.9）が多い。流行性耳下腺炎の定点当たり報告数は第31週以降減少が続いている。都道府県別では鳥取県（2.26）、愛媛県（2.22）、鹿児島県（2.20）が多い。
基幹定点報告疾患：マイコプラズマ肺炎の定点当たり報告数は減少したが、過去5年間の同時期と比較してかなり多い。都道府県別では大阪府（2.73）、富山県（2.40）、愛知県（1.93）が多い。
 注目すべき感染症
◆ 細菌性赤痢 （2011年8月31日現在）
2011年の細菌性赤痢は、診断第1〜34週までの累積報告数が150例で、感染地域別では国外81例、国内67例、不明2例と国外感染例が過半数を占めている。原因菌の菌種内訳は、Shigella sonnei が108例で最も多く、次いでS. flexneri 31例、S. boydii 9例、菌種不明2例である。S. sonnei は国外感染で51例、国内感染で56例と、感染地域別のいずれにおいても最も多い菌種である。
診断週別S. sonnei 感染者の報告数は、感染地域別で国内と国外を合わせても各週5例以下の報告がほとんどである（図）。この傾向は集団発生のあった週を除いて、従来と同様である。第8〜9週は、福岡県の幼稚園で起きた集団発生により、国内感染例が一時的に増加した。それ以外の国内感染例は、散発例または患者とその接触者である無症状病原体保有者を含んだ数例の報告が散見される程度であった。しかし、第34週は国内感染例が18例と急増した。
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| 図．細菌性赤痢S. sonnei 感染者の週別・感染地域別発生状況（2011年第1〜34週） |
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第34週の国内感染18例は、東北地方を中心として9都県から報告されており、内訳は山形県5例、福島県4例、青森県2例、東京都2例、宮城県1例、茨城県1例、千葉県1例、神奈川県1例、石川県1例である。男性7例、女性11例で、年齢中央値は37.5歳（2〜82歳）である。山形県、宮城県、福島県、青森県からの報告では、いずれも同系列の外食チェーン店舗を利用していることが明らかとなり、食中毒*として届出されている。感染源・感染経路については、菌の分子疫学的解析による同一性確認を含め現在調査中であるが、同時期に他の都県からの散発例報告も増えていることから、S. sonnei に汚染された食品を介した広域感染の可能性が強まっている。そのため、S. sonnei 感染例に対する、喫食歴および食材の遡り調査、ならびに菌の分子疫学的解析等の積極的な疫学調査が必要である。
* 食中毒：食品衛生法に基づいて届出されたもの
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