発生動向総覧
〈第38週コメント〉 9月28日集計分
◆全数報告の感染症
注意:これは当該週に診断された報告症例の集計です。しかし、迅速に情報還元するために期日を決めて集計を行いますので、当該週に診断された症例の報告が集計の期日以降に届くこともあります。それらについては一部を除いて発生動向総覧では扱いませんが、翌週あるいはそれ以降に、巻末の表の累積数に加えられることになります。
*感染経路、感染原因、感染地域については、確定あるいは推定として記載されていたものを示します。
1類感染症: |
報告なし |
2類感染症: |
結核 261例 |
3類感染症: |
細菌性赤痢11例
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菌種:S. sonnei (D群)11例_感染地域:福島県5例、大阪府2例、東京都1例、愛知県1例、中国1例、インド1例
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腸管出血性大腸菌感染症46例(有症者36例、うちHUS 1例) |
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感染地域:国内45例、タイ1例
国内の感染地域:広島県7例、三重県5例、北海道4例、東京都3例、愛知県3例、宮城県2例、岩手県1例、福島県1例、栃木県1例、埼玉県1例、千葉県1例、新潟県1例、岐阜県1例、静岡県1例、大阪府1例、兵庫県1例、岡山県1例、愛媛県1例、佐賀県1例、不明8例
年齢群:1歳(5例)、2歳(2例)、4歳(4例)、6歳(1例)、7歳(1例)、8歳(2例)、9歳(2例)、10代(5例)、20代(5例)、30代(3例)、40代(2例)、50代(5例)、60代(8例)、70代(1例)
血清型・毒素型:O157 VT1・VT2(22例)、O157 VT2(8例)、O26 VT1(6例)、O26 VT1・VT2(3例)、O103 VT1( 2例)、O121 VT2(2例)、O26 VT2(1例)、O111 VT1・VT2(1例)、O145 VT2(1例)
累積報告数:3,133例(有症者2,174例、うちHUS 87例.死亡13例)
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腸チフス1例〔感染地域:国内(都道府県不明)〕
パラチフス1例(感染地域:ネパール)
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4類感染症: |
A型肝炎1例(感染地域:福岡県)
つつが虫病1例(感染地域:秋田県) デング熱2例(感染地域:インド2例) 日本紅斑熱4例(感染地域:熊本県3例、広島県1例)
マラリア4例
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三日熱3例_感染地域:シンガポール2例、ペルー1例
熱帯熱1例_感染地域:スーダン
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レジオネラ症8例(肺炎型8例)
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感染地域:長野県2例、宮城県1例、神奈川県1例、岐阜県1例(温泉)、和歌山県1例、高知県1例、国内(都道府県不明)1例(温泉)
年齢群:50代(1例)、60代(4例)、70代(3例)
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レプトスピラ症1例(感染地域:宮崎県_感染源:川)
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5類感染症: |
アメーバ赤痢9例(腸管アメーバ症8例、腸管及び腸管外アメーバ症1例) |
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感染地域:福島県1例、茨城県1例、東京都1例、神奈川県1例、大阪府1例、国内(都道府県不明)2例、カンボジア1例、中国/ベトナム1例
感染経路:経口感染5例、性的接触2例(異性間2例)、不明2例
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クロイツフェルト・ヤコブ病1例(孤発性プリオン病古典型)
劇症型溶血性レンサ球菌感染症3例 |
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年齢群:60代(2例)、90代(1例.死亡)
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後天性免疫不全症候群9例(AIDS 2例、無症候6例、その他1例) |
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感染地域:国内8例、国内・国外不明1例
感染経路:性的接触7例(同性間7例)、不明2例
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ジアルジア症1例(感染地域:東京都/台湾)
梅毒2例(早期顕症II期1例、無症候1例)
破傷風1例(年齢群:80代)
風しん1例(臨床診断例) |
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感染地域:福岡県
年齢群:35〜39歳
累積報告数:320例(検査診断例246例、臨床診断例74例)
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麻しん3例〔麻しん(検査診断例3例)〕
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感染地域:埼玉県1例、愛知県1例、国内(都道府県不明)1例
年齢群:0歳(1例)、40代(1例)、50代(1例)
累積報告数:400例〔麻しん(検査診断例190例、臨床診断例115例)、修飾麻しん(検査診断例95例)〕
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(補)2011年第37週までに診断されたものの報告遅れとして、細菌性赤痢2例〔菌種:S. flexneri(B群)1例_感染地域:国内(都道府県不明)、菌種:S. sonnei (D群)1例_感染地域:京都府〕、E型肝炎1例(感染地域:岩手県_感染源:牛肉/豚肉)、レプトスピラ症1例(感染地域:宮崎県_感染原因:不明)、バンコマイシン耐性腸球菌感染症1例(遺伝子型:Van C_菌検出検体:血液)などの報告があった。
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◆定点把握の対象となる5類感染症(週報対象のもの)
全国の指定された医療機関(定点)から報告され、疾患により小児科定点(約3,000 カ所)、インフルエンザ(小児科・内科)定点(約5,000 カ所)、眼科定点(約600 カ所)、基幹定点(約500 カ所)に分かれています。また、定点当たり報告数は、報告数/定点医療機関数です。
インフルエンザ: 定点当たり報告数は第35週以降増加が続いている。都道府県別では沖縄県(0.60)、鳥取県(0.45)、愛媛県(0.26)が多い。
小児科定点報告疾患:RSウイルス感染症の報告数は1,336例と減少した。年齢別では1歳以下の報告数が全体の約74%を占めている。咽頭結膜熱の定点当たり報告数は第29週以降減少が続いている。都道府県別では香川県(0.50)、福岡県(0.41)、山梨県(0.38)が多い。A群溶血性レンサ球菌咽頭炎の定点当たり報告数は減少した。都道府県別では佐賀県(1.13)、山口県(1.08)、富山県(1.00)、大分県(1.00)が多い。感染性胃腸炎の定点当たり報告数は2週連続で減少した。都道府県別では大分県(4.36)、宮崎県(3.92)、岡山県(3.67)が多い。水痘の定点当たり報告数は増加した。都道府県別では福井県(1.18)、佐賀県(1.09)、宮崎県(1.00)が多い。手足口病の定点当たり報告数は3週連続で減少したが、過去5年間の同時期(前週、当該週、後週)と比較してかなり多い。都道府県別では宮城県(9.6)、岩手県(7.0)、秋田県(6.1)、青森県(5.7)が多い。伝染性紅斑の定点当たり報告数は第35週以降減少が続いている。都道府県別では宮崎県(0.39)、山形県(0.30)、長野県(0.28)が多い。百日咳の定点当たり報告数は減少した。都道府県別では栃木県(0.08)、山梨県(0.08)、長野県(0.07)が多い。ヘルパンギーナの定点当たり報告数は3週連続で減少したが、過去5年間の同時期と比較してやや多い。都道府県別では山形県(4.50)、愛媛県(2.57)、長野県(2.11)、福島県(2.10)が多い。流行性耳下腺炎の定点当たり報告数は減少した。都道府県別では愛媛県(2.43)、鹿児島県(2.05)、鳥取県(1.74)が多い。
基幹定点報告疾患:マイコプラズマ肺炎の定点当たり報告数は減少したが、過去5年間の同時期と比較してかなり多い。都道府県別では沖縄県(2.29)、埼玉県(1.89)、愛知県(1.69)が多い。
注目すべき感染症
◆ 細菌性赤痢 (2011年9月28日現在)
2011年の細菌性赤痢は、診断第1〜38週までの累積報告数が217例で、感染地域別では国外94例、国内121例、不明2例である。原因菌の菌種内訳は、Shigella sonnei が170例で最も多く、次いでS. flexneri 36例、S. boydii 9例、菌種不明2例である。
感染地域別のS. sonnei 感染者報告数は、第1〜33週の累積では国外46例、国内38例と国外が多く、国内は0〜8例/週で推移していた。しかし、第34週に国内の同系列外食チェーン店舗利用者で食中毒が発生したため、国内感染が19例と急増し、それ以降も第35週19例、第36週11例、第37週9例、第38週9例と通常よりも多い状態が続いている(図1)。
第34〜38週の国内感染67例は、東北地方を中心として14都府県から報告されており、内訳は福島県20例、山形県12例、東京都7例、神奈川県5例、千葉県4例、宮城県3例、大阪府3例、福岡県3例、青森県2例、茨城県2例、埼玉県2例、愛知県2例、石川県1例、京都府1例である(図2)。男性30例、女性37例で、年齢中央値は35歳(2〜82歳)である。このうち、第34〜36週にかけて福島県、山形県、宮城県、神奈川県、青森県から報告された20例以上が、同系列の外食チェーン店舗を利用していた。さらに、福島県では第37週に2例、第38週に5例とS. sonnei 感染者の増加が再びみられている。
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図1.細菌性赤痢S. sonnei 感染者の週別・感染地域別発生状況(2011年第22〜38週) |
図2. 細菌性赤痢S .sonnei 国内感染者の都道府県別発生状況(2011年第34〜38週) |
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現在行われている菌株の分子疫学解析(MLVA法)では、上述の外食チェーン店舗に関連した症例に共通してみられるMLVA型が、第37〜38週の福島県の症例のものと一致することが明らかとなった。またこの型以外にも、共通する型の菌が自治体を越えて認められており、異なる集団感染事例が同時期に起きている可能性も考えられる。
これらのことから、S. sonnei に汚染された食品を介した複数の広域感染、またはそれに関連した二次感染が継続していることが疑われる。そのため、S. sonnei 感染例に対する、喫食歴および食材の遡り調査、ならびに菌の分子疫学的解析等の積極的な疫学調査が引き続き必要である。
* 食中毒:食品衛生法に基づいて届出されたもの
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