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発生動向総覧
〈第47週コメント〉 11月30日集計分
◆全数報告の感染症
注意:これは当該週に診断された報告症例の集計です。しかし、迅速に情報還元するために期日を決めて集計を行いますので、当該週に診断された症例の報告が集計の期日以降に届くこともあります。それらについては一部を除いて発生動向総覧では扱いませんが、翌週あるいはそれ以降に、巻末の表の累積数に加えられることになります。
*感染経路、感染原因、感染地域については、確定あるいは推定として記載されていたものを示します。
1類感染症: |
報告なし |
2類感染症: |
結核 275例 |
3類感染症: |
細菌性赤痢2例
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菌種:S. sonnei(D群)2例_感染地域:インドネシア1例、インド1例
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腸管出血性大腸菌感染症31例(有症者24例、うちHUS 2例) |
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感染地域:国内31例
国内の感染地域:宮城県3例、三重県3例、埼玉県2例、兵庫県2例、鹿児島県2例、山形県1例、栃木県1例、群馬県1例、千葉県1例、東京都1例、神奈川県1例、新潟県1例、富山県1例、長野県1例、静岡県1例、滋賀県1例、広島県1例、福岡県1例、大分県1例、宮崎県1例、沖縄県1例、不明3例
年齢群:0歳(1例)、1歳(3例)、4歳(1例)、5歳(2例)、6歳(1例)、7歳(3例)、10代(4例)、20代(3例)、30代(4例)、40代(7例)、50代(1例)、70代(1例)
血清型・毒素型:O157 VT2(8例)、O157 VT1・VT2(7例)、O26 VT1(3例)、O91 VT1(3例)、O103 VT1(2例)、O111 VT1・VT2(2例)、O26 VT不明(1例)、O121 VT不明(1例)、O145 VT1(1例)、O157 VT不明(1例)、その他・不明(2例)
累積報告数:3,714例(有症者2,527例、うちHUS 97例.死亡14例)
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4類感染症: |
E型肝炎2例
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感染地域:北海道1例_感染源:不明
感染地域:千葉県1例_感染源:豚の内臓
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A型肝炎1例(感染地域:福島県)
つつが虫病26例
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感染地域:鹿児島県7例、静岡県3例、長崎県3例、大分県3例、岐阜県2例、広島県2例、青森県1例、山形県1例、福島県1例、埼玉県1例、神奈川県1例、石川県1例
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デング熱6例(感染地域:タイ3例、フィリピン2例、ベトナム1例) 日本紅斑熱1例(感染地域:沖縄県) ボツリヌス症1例(乳児ボツリヌス症_感染地域:大阪府_感染源:不明)
マラリア1例(四日熱_感染地域:ベトナム)
レジオネラ症13例(肺炎型13例)
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感染地域:神奈川県2例、宮城県1例、千葉県1例、東京都1例、富山県1例、石川県1例、長野県1例、岐阜県1例(温泉)、兵庫県1例、岡山県1例、国内(都道府県不明)1例、ウズベキスタン/タジキスタン/朝鮮民主主義人民共和国1例
年齢群:50代(5例)、60代(6例)、70代(1例)、80代(1例)
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5類感染症: |
アメーバ赤痢4例(腸管アメーバ症4例) |
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感染地域:大阪府2例、埼玉県1例、佐賀県1例
感染経路:性的接触2例(異性間1例、同性間1例)、不明2例
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ウイルス性肝炎3例〔B型3例_感染経路:性的接触1例(異性間)、不明2例〕
急性脳炎1例(病原体不明_年齢群:30代)
後天性免疫不全症候群15例(AIDS 3例、無症候10例、その他2例) |
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感染地域:国内14例、国外(国不明)1例
感染経路:性的接触14例(異性間5例、同性間9例)、不明1例
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髄膜炎菌性髄膜炎1例 |
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感染地域:埼玉県
年齢群:2歳
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梅毒11例(早期顕症I期4例、早期顕症II期3例、晩期顕症1例、無症候3例)
バンコマイシン耐性腸球菌感染症2例
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遺伝子型:VanB 2例_菌検出検体:便1例、便・血液1例
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風しん5例(検査診断例4例、臨床診断例1例)
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感染地域:福岡県3例、茨城県1例、東京都1例
年齢群:0歳(1例)、1歳(1例)、2歳(1例)、10〜14歳(1例)、30代(1例)
累積報告数:351例(検査診断例272例、臨床診断例79例)
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麻しん5例〔麻しん(検査診断例3例、臨床診断例1例)、修飾麻しん(検査診断例1例)〕
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感染地域:東京都2例、福島県1例、神奈川県1例、国内(都道府県不明)1例
年齢群:1歳(2例)、10〜14歳(1例)、25〜29歳(2例)
累積報告数:426例〔麻しん(検査診断例202例、臨床診断例121例)、修飾麻しん(検査診断例103例)〕
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(補)2011年第46週までに診断されたものの報告遅れとして、E型肝炎1例(感染地域:北海道_感染源:不明)、エキノコックス症1例(多包条虫_感染地域:北海道)、日本紅斑熱4例(感染地域:長崎県2例、三重県1例、鳥取県1例)、髄膜炎菌性髄膜炎1例(感染地域:鹿児島県_年齢群:0歳)などの報告があった。
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◆定点把握の対象となる5類感染症(週報対象のもの)
全国の指定された医療機関(定点)から報告され、疾患により小児科定点(約3,000 カ所)、インフルエンザ(小児科・内科)定点(約5,000 カ所)、眼科定点(約600 カ所)、基幹定点(約500 カ所)に分かれています。また、定点当たり報告数は、報告数/定点医療機関数です。
インフルエンザ: 定点当たり報告数は第42週以降増加が続いている。都道府県別では宮城県(2.53)、沖縄県(1.76)、三重県(1.14)、岐阜県(0.95)、愛知県(0.94)が多い。
小児科定点報告疾患:RSウイルス感染症の報告数は2,389例と第42週以降増加が続いている。年齢別では1歳以下の報告数が全体の約72%を占めている。咽頭結膜熱の定点当たり報告数は第42週以降増加が続いている。都道府県別では新潟県(1.87)、北海道(1.17)、徳島県(0.87)が多い。A群溶血性レンサ球菌咽頭炎の定点当たり報告数は減少した。都道府県別では大分県(4.06)、北海道(3.44)、富山県(3.34)が多い。感染性胃腸炎の定点当たり報告数は第42週以降増加が続いている。都道府県別では香川県(14.6)、大分県(10.0)、山口県(9.6)、島根県(9.4)が多い。水痘の定点当たり報告数は第42週以降増加が続いており、過去5年間の同時期(前週、当該週、後週)と比較してやや多い。都道府県別では福井県(4.55)、佐賀県(3.65)、岩手県(3.63)、山形県(3.17)が多い。手足口病の定点当たり報告数は減少したが、過去5年間の同時期と比較してかなり多い。都道府県別では鳥取県(3.84)、石川県(2.66)、滋賀県(2.53)が多い。伝染性紅斑の定点当たり報告数は減少した。都道府県別では長野県(0.91)、福島県(0.67)、高知県(0.50)が多い。百日咳の定点当たり報告数は減少した。都道府県別では岩手県(0.23)、山口県(0.13)、沖縄県(0.12)が多い。ヘルパンギーナの定点当たり報告数は第36週以降減少が続いている。都道府県別では徳島県(0.61)、高知県(0.30)、熊本県(0.27)が多い。流行性耳下腺炎の定点当たり報告数は2週連続で減少した。都道府県別では山形県(2.87)、新潟県(2.12)、愛媛県(2.05)が多い。
基幹定点報告疾患:マイコプラズマ肺炎の定点当たり報告数は減少したが、過去5年間の同時期と比較してかなり多い。都道府県別では埼玉県(4.00)、福島県(3.71)、沖縄県(3.29)、栃木県(2.71)が多い。
注目すべき感染症
◆ 水痘
水痘は水痘・帯状疱疹ウイルス(VZV)の初感染によって発生する急性の伝染性疾患である。感染力は極めて強く、空気(飛沫核)感染、飛沫感染、接触感染によってウイルスは上気道から侵入し、ウイルス血症を経て、通常は2週間前後(10〜21日)の潜伏期間を経て発病し、発疹、倦怠感、発熱を主症状として発症する。発疹は全身性で掻痒を伴い、紅斑、丘疹を経て短時間で水疱となり、痂皮化する。通常は最初に頭皮、次いで体幹、四肢に出現するが、体幹にもっとも多くなる。数日にわたり新しい発疹が次々と出現するので、急性期には紅斑、丘疹、水疱、痂皮のそれぞれの段階の発疹が混在することが特徴である。通常は小児期に好発する予後良好な疾患であるが、細菌の二次感染(敗血症を含む)、髄膜脳炎、小脳失調、肺炎、肝炎などの合併症がある。成人が発症すると重症となる場合が多い。有効な抗ウイルス薬が開発され予後は改善したものの、現在においても免疫抑制状態下に発症すると時に致死的である。さらに、水痘に罹患し治癒した後でも、ウイルスは終生その宿主の知覚神経節に潜伏感染している。この潜伏しているウイルスが免疫抑制状態あるいは高齢化に伴って再活性化し、将来にわたって帯状疱疹を発症する可能性が約20%あるといわれている(日本皮膚科学会ホームページ皮膚科Q&A:http://www.dermatol.or.jp/qa/qa5/q12.html 参照)。
感染症発生動向調査では、全国約3,000カ所の小児科定点からの報告に基づいて水痘をはじめとする各種小児科疾患の発生動向を分析している。水痘の定点当たり報告数は2011年第42週以降増加が続いており、第47週は1.77(報告数5,548)となった。2001年以降の同時期の定点当たり報告数としては2003年、2010年に次いで高い値となっている(図1)。都道府県別では福井県(4.55)、佐賀県(3.65)、岩手県(3.63)、山形県(3.17)、宮城県(2.90)、北海道(2.59)、大分県(2.58)の順となっており、38都道府県で前週より増加が見られている(図2)。2011年第1〜47週の定点当たり累積報告数は64.05(累積報告数200,620)であり、男女別では男性52.2%(104,659)、女性47.8%(95,961)と男性がやや多く、年齢群別では2〜3歳35.6%(71,453)、4〜5歳25.5%(51,126)、0〜1歳24.9%(49,966)、6〜7歳8.7%(17,475)の順であり、例年と同様に5歳以下で全報告数の85%以上を占めている(図3)。
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図1. 水痘の年別・週別発生状況(2001〜2011年第47週) |
図2. 水痘の都道府県別定点当たり報告数の推移(2011年第45〜47週) |
図3. 水痘の累積報告数の年齢群別割合(2011年第1〜47週) |
水痘には世界に先駆けて日本国内で開発されたワクチンがあるが、定期予防接種ではなく、その接種率は低く、国内における蔓延状況をコントロールするには程遠いと言わざるを得ない。特に保育施設等の乳幼児の集団生活施設では、毎年のように集団発生が繰り返されている。基本的には予後良好の疾患と言われているが、免疫抑制状態にある者へ感染伝播や、治癒後の将来的な帯状疱疹の発生等を考慮するならば、現在の国内の状況は改善される必要があると思われる。今後とも水痘の発生動向には注意が必要である。
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