発生動向総覧
〈第51週コメント〉 12月28日集計分
◆全数報告の感染症
注意:これは当該週に診断された報告症例の集計です。しかし、迅速に情報還元するために期日を決めて集計を行いますので、当該週に診断された症例の報告が集計の期日以降に届くこともあります。それらについては一部を除いて発生動向総覧では扱いませんが、翌週あるいはそれ以降に、巻末の表の累積数に加えられることになります。
*感染経路、感染原因、感染地域については、確定あるいは推定として記載されていたものを示します。
1類感染症: |
報告なし |
2類感染症: |
結核 357例 |
3類感染症: |
コレラ1例(感染地域:フィリピン)
細菌性赤痢2例
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菌種:S. sonnei (D群)2例_感染地域:国内(都道府県不明)1例、ベトナム/カンボジア1例
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腸管出血性大腸菌感染症25例(有症者14例、うちHUS なし) |
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感染地域:国内24例、広島県/パキスタン1例
国内の感染地域:福岡県9例*、福井県3例、京都府3例、宮城県1例、埼玉県1例、神奈川県1例、富山県1例、石川県1例、三重県1例、山口県1例、宮崎県1例、不明1例
* 老人福祉施設内で発生した食中毒関連の感染者を含む(O157 VT1・VT2)
年齢群:1歳(2例)、2歳(1例)、3歳(1例)、6歳(1例)、7歳(2例)、8歳(2例)、10代(1例)、20代(2例)、30代(2例)、40代(3例)、50代(2例)、70代(1例)、80代(3例)、90代(2例)
血清型・毒素型:O157 VT1・VT2(18例)、O157 VT不明(2例)、O103 VT1(1例)、O145 VT2(1例)、O157 VT2(1例)、その他・不明(2例)
累積報告数:3,857例(有症者2,614例、うちHUS 99例.死亡16例)
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4類感染症: |
A型肝炎1例(感染地域:埼玉県)
つつが虫病9例
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感染地域:鹿児島県4例、宮崎県2例、千葉県1例、神奈川県1例、岐阜県1例
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デング熱1例(デング出血熱)
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感染地域:フィリピン
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日本紅斑熱1例(感染地域:鹿児島県) マラリア2例(熱帯熱2例_感染地域:スーダン1例、ウガンダ/南スーダン1例)
レジオネラ症8例(肺炎型8例)
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感染地域:埼玉県2例、宮城県1例(温泉)、栃木県1例、東京都1例、兵庫県1例、福岡県1例(温泉)、国内(都道府県不明)1例
年齢群:30代(1例)、50代(1例)、60代(1例)、70代(4例)、80代(1例)
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5類感染症: |
アメーバ赤痢6例(腸管アメーバ症5例、腸管外アメーバ症1例) |
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感染地域:東京都2例、福井県1例、京都府1例、中国1例、韓国/台湾1例
感染経路:経口感染2例、性的接触2例(異性間1例、同性間1例)経口感染/性的接触(異性間)1例、不明1例
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ウイルス性肝炎4例 |
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B型3例_感染経路:性的接触(異性間・同性間不明)1例、不明2例
C型1例_感染経路:不明
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後天性免疫不全症候群8例(AIDS 4例、無症候4例) |
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感染地域:国内6例、タイ1例、国内・国外不明1例
感染経路:性的接触7例(異性間4例、同性間3例)、不明1例
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ジアルジア症2例(感染地域:大阪府1例、フィリピン1例)
梅毒8例(早期顕症II期4例、晩期顕症1例、無症候3例)
破傷風1例(年齢群:50代)
バンコマイシン耐性腸球菌感染症1例(遺伝子型:VanC _菌検出検体:胆汁)
麻しん3例〔麻しん(検査診断例1例、臨床診断例2例)〕
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感染地域:愛知県2例、国内(都道府県不明)1例
年齢群:0歳(1例)、1歳(1例)、25〜29歳(1例)
累積報告数:433例〔麻しん(検査診断例201例、臨床診断例124例)、修飾麻しん(検査診断例108例)〕
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(補)2011年第50週までに診断されたものの報告遅れとして、パラチフス1例(感染地域:インド)、エキノコックス症1例(単包条虫_感染地域:シリア)、デング熱1例(感染地域:インドネシア/ベトナム)、日本脳炎1例(感染地域:長崎県_年齢群:30代)、急性脳炎1例(ムンプスウイルス_年齢群:8歳)、バンコマイシン耐性腸球菌感染症1例(遺伝子型:不明_菌検出検体:血液.死亡)などの報告があった。
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◆定点把握の対象となる5類感染症(週報対象のもの)
全国の指定された医療機関(定点)から報告され、疾患により小児科定点(約3,000 カ所)、インフルエンザ(小児科・内科)定点(約5,000 カ所)、眼科定点(約600 カ所)、基幹定点(約500 カ所)に分かれています。また、定点当たり報告数は、報告数/定点医療機関数です。
インフルエンザ:定点当たり報告数は第42週以降増加が続いている。都道府県別では宮城県(25.47)、愛知県(16.12)、三重県(13.28)、岐阜県(8.52)、山口県(8.01)、岡山県(7.64)が多い。
小児科定点報告疾患:RSウイルス感染症の報告数は3,680例と減少した。年齢別では1歳以下の報告数が全体の約72%を占めている。咽頭結膜熱の定点当たり報告数は減少した。都道府県別では新潟県(4.12)、北海道(1.51)、山梨県(1.04)、徳島県(1.04)が多い。A群溶血性レンサ球菌咽頭炎の定点当たり報告数は減少した。都道府県別では大分県(6.36)、福井県(5.82)、富山県(4.59)、北海道(4.29)が多い。感染性胃腸炎の定点当たり報告数は第42週以降増加が続いている。都道府県別では東京都(20.7)、神奈川県(20.5)、宮崎県(19.8)、山形県(17.8)が多い。水痘の定点当たり報告数は減少したが、過去5年間の同時期(前週、当該週、後週)と比較してやや多い。都道府県別では福井県(5.86)、山形県(5.07)、岩手県(4.48)、宮崎県(4.28)が多い。手足口病の定点当たり報告数は2週連続で減少したが、過去5年間の同時期と比較してかなり多い。都道府県別では石川県(3.34)、滋賀県(2.22)、和歌山県(1.87)が多い。伝染性紅斑の定点当たり報告数は減少した。都道府県別では徳島県(0.91)、福島県(0.85)、長野県(0.75)が多い。百日咳の定点当たり報告数は減少した。都道府県別では栃木県(0.21)、沖縄県(0.15)、千葉県(0.11)が多い。ヘルパンギーナの定点当たり報告数は2週連続で減少した。都道府県別では大分県(0.36)、徳島県(0.30)、和歌山県(0.26)が多い。流行性耳下腺炎の定点当たり報告数は減少した。都道府県別では鳥取県(3.21)、宮崎県(2.14)、山形県(2.10)が多い。
基幹定点報告疾患:マイコプラズマ肺炎の定点当たり報告数は2週連続で減少したが、過去5年間の同時期と比較してかなり多い。都道府県別では埼玉県(4.00)、宮城県(3.42)、富山県(3.40)、栃木県(3.00)、愛知県(3.00)、沖縄県(3.00)が多い。
〈第52週コメント〉 1月5日集計分
◆全数報告の感染症
注意:これは当該週に診断された報告症例の集計です。しかし、迅速に情報還元するために期日を決めて集計を行いますので、当該週に診断された症例の報告が集計の期日以降に届くこともあります。それらについては一部を除いて発生動向総覧では扱いませんが、翌週あるいはそれ以降に、巻末の表の累積数に加えられることになります。
*感染経路、感染原因、感染地域については、確定あるいは推定として記載されていたものを示します。
1類感染症: |
報告なし |
2類感染症: |
結核 344例 |
3類感染症: |
コレラ1例(感染地域:フィリピン)
細菌性赤痢6例
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菌種:S. flexneri (B群)1例_感染地域:インド
S. boydii (C群)1例_感染地域:タイ/バングラデシュ
S. sonnei (D群)4例_感染地域:三重県1例、南スーダン1例、タイ/インド1例、ベトナム/カンボジア1例
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腸管出血性大腸菌感染症38例(有症者15例、うちHUS なし) |
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感染地域:国内38例
国内の感染地域:福岡県25例*、東京都3例、石川県3例、福井県2例、宮崎県2例、茨城県1例、群馬県1例、大阪府1例
* 老人福祉施設内で発生した食中毒関連の感染者を含む(O157 VT1・VT2)
年齢群:6歳(1例)、7歳(1例)、8歳(2例)、20代(4例)、30代(6例)、40代(4例)、50代(2例)、60代(2例)、70代(5例)、80代(7例)、90代以上(4例)
血清型・毒素型:O157 VT1・VT2(28例)、O103 VT1(2例)、O145 VT2(2例)、O26 VT1(1例)、O157 VT2(1例)、O157 VT不明(1例)、その他・不明(3例)
累積報告数:3,900例(有症者2,631例、うちHUS 99例.死亡16例)
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4類感染症: |
A型肝炎1例(感染地域:インド)
つつが虫病19例
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感染地域:宮崎県7例、鹿児島県7例、千葉県2例、山梨県1例、国内(都道府県不明)2例
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マラリア1例(原虫種不明_感染地域:ウガンダ)
レジオネラ症3例(肺炎型3例)
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感染地域:愛知県1例、広島県1例、国内(都道府県不明)1例
年齢群:70代(1例)、80代(1例)、90代(1例)
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5類感染症: |
アメーバ赤痢4例(腸管アメーバ症4例) |
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感染地域:東京都1例、長野県1例、熊本県1例、国内(都道府県不明)1例
感染経路:経口感染1例、経口感染/性的接触(異性間・同性間不明)1例、不明2例
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ウイルス性肝炎1例(C型_感染経路:針等の鋭利なものの刺入)
急性脳炎3例 |
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マイコプラズマ1例_年齢群:5歳
病原体不明2例_年齢群:20代(1例)、60代(1例)
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劇症型溶血性レンサ球菌感染症1例(年齢群:60代)
後天性免疫不全症候群10例(AIDS 2例、無症候7例、その他1例) |
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感染地域:国内9例、国内/タイ1例
感染経路:性的接触9例(異性間4例、同性間4例、異性間・同性間不明1例)、性的接触(同性間)/静注薬物使用1例
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梅毒10例(先天梅毒1例、早期顕症II期3例、晩期顕症1例、無症候5例)
バンコマイシン耐性腸球菌感染症2例
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遺伝子型:VanA 2例_菌検出検体:便1例、尿1例
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風しん1例(検査診断例)
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感染地域:福岡県
年齢群:0歳
累積報告数:369例(検査診断例286例、臨床診断例83例)
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(補)2011年第51週までに診断されたものの報告遅れとして、デング熱1例(感染地域:インドネシア)、日本紅斑熱2例(感染地域:三重県2例)、急性脳炎2例(マイコプラズマ1例_年齢群:4歳、病原体不明1例_年齢群:4歳)、劇症型溶血性レンサ球菌感染症1例(50代)などの報告があった。
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◆定点把握の対象となる5類感染症(週報対象のもの)
全国の指定された医療機関(定点)から報告され、疾患により小児科定点(約3,000 カ所)、インフルエンザ(小児科・内科)定点(約5,000 カ所)、眼科定点(約600 カ所)、基幹定点(約500 カ所)に分かれています。また、定点当たり報告数は、報告数/定点医療機関数です。
インフルエンザ: 定点当たり報告数は第42週以降増加が続いている。都道府県別では愛知県(17.62)、三重県(15.36)、宮城県(14.35)、岐阜県(10.29)、香川県(9.78)、岡山県(8.89)が多い。
小児科定点報告疾患:RSウイルス感染症の報告数は3,180例と2週連続で減少した。年齢別では1歳以下の報告数が全体の約75%を占めている。咽頭結膜熱の定点当たり報告数は2週連続で減少した。都道府県別では新潟県(3.13)、北海道(0.89)、佐賀県(0.70)、和歌山県(0.68)、福岡県(0.68)が多い。A群溶血性レンサ球菌咽頭炎の定点当たり報告数は2週連続で減少した。都道府県別では福井県(4.45)、大分県(3.64)、富山県(3.55)、北海道(2.57)が多い。感染性胃腸炎の定点当たり報告数は減少した。都道府県別では宮崎県(16.9)、大分県(15.4)、熊本県(15.2)、埼玉県(14.3)が多い。水痘の定点当たり報告数は2週連続で減少した。都道府県別では島根県(4.87)、山形県(4.79)、宮崎県(4.56)、福井県(4.45)が多い。手足口病の定点当たり報告数は3週連続で減少したが、過去5年間の同時期(前週、当該週、後週)と比較してやや多い。都道府県別では石川県(2.72)、滋賀県(1.75)、和歌山県(1.16)が多い。伝染性紅斑の定点当たり報告数は2週連続で減少した。都道府県別では徳島県(0.61)、長野県(0.60)、福島県(0.58)が多い。百日咳の定点当たり報告数は2週連続で減少した。都道府県別では兵庫県(0.17)、栃木県(0.10)、山形県(0.07)、長崎県(0.07)が多い。ヘルパンギーナの定点当たり報告数は3週連続で減少した。都道府県別では島根県(0.13)、大分県(0.11)、岩手県(0.08)が多い。流行性耳下腺炎の定点当たり報告数は2週連続で減少した。都道府県別では宮崎県(2.42)、新潟県(2.33)、山形県(2.00)、徳島県(2.00)が多い。
基幹定点報告疾患:マイコプラズマ肺炎の定点当たり報告数は3週連続で減少したが、過去5年間の同時期と比較してかなり多い。都道府県別では栃木県(3.29)、青森県(3.17)、沖縄県(2.71)、埼玉県(2.67)が多い。
注目すべき感染症
◆ インフルエンザ
インフルエンザ(Influenza)は、インフルエンザウイルスを病原体とする急性の呼吸器感染症で、毎年世界中で流行がみられている。典型的な発症例では1〜4日間の潜伏期間を経て、突然に発熱(38℃以上の高熱)、頭痛、全身倦怠感、筋肉痛・関節痛などが出現し、鼻水・咳などの呼吸器症状がこれに続く。通常は1週間前後の経過で軽快するが、いわゆる「かぜ」と比べて全身症状が強いのが特徴である。近年、抗インフルエンザウイルス薬が広く臨床現場で用いられるようになり、発症後早期から投与されることによって従来よりも有熱期間が短縮している例も少なくない。
インフルエンザの主な感染経路はくしゃみ、咳、会話等で口から発する飛沫による飛沫感染であり、他に接触感染もあるといわれている(CDCホームページ:http://www.cdc.gov/flu/about/disease/spread.htm)。感染対策としては、飛沫感染対策としての咳エチケット、接触感染対策としての手洗い等の手指衛生の徹底が重要であると考えられるが、たとえインフルエンザウイルスに感染しても、全く無症状の不顕性感染例や臨床的にはインフルエンザとは診断し難い軽症例が存在する。従って、特にヒト−ヒト間の距離が短く、濃厚な接触機会の多い学校、幼稚園、保育園等の小児の集団生活施設においてインフルエンザの集団発生をコントロールすることは困難であると思われる。
2009年4月に発生した新型インフルエンザは、2011年4月以降はインフルエンザ(H1N1)2009と呼ばれるようになり、他のA/H3N2(A香港)亜型やB型のインフルエンザと同様にヒト−ヒト間で流行する季節性インフルエンザ対策の中に組み込まれることとなった(「新型インフルエンザ(A/H1N1)に係る季節性インフルエンザ対策への移行について」厚生労働省新型インフルエンザ対策推進本部事務局:http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou01/dl/jichitai1100401-01.pdf)。
感染症発生動向調査では、全国約5,000カ所(小児科定点約3,000、内科定点約2,000)のインフルエンザ定点からの報告に基づいてインフルエンザの発生動向を分析している。インフルエンザの定点当たり報告数は、2011年第42週以降増加が続いており、第52週の定点当たり報告数は3.75(報告数17,802)となった(図1)。都道府県別では愛知県(17.62)、三重県(15.36)、宮城県(14.35)、岐阜県(10.29)、香川県(9.78)、岡山県(8.89)、山口県(7.75)、沖縄県(7.19)の順となっている。第47週以降最も定点当たり報告数の多かった宮城県は大きく減少したが、他の39都道府県では増加がみられている(図2)。
2011年第36〜52週に国内では467検体のインフルエンザウイルスの検出が報告されており、AH1pdm09が2件(0.4%)、AH3亜型(A香港型)420件(89.9%)、B型45件(9.6%)とAH3亜型が大半を占める状態が続いている(図3)。
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図1. インフルエンザの年別・週別発生状況(2001〜2011年第52週) |
図2. インフルエンザの都道府県別定点当たり報告数の推移(2011年第50〜52週) |
図3. インフルエンザウイルス検出報告割合(2011年第36〜52週) |
今シーズンのインフルエンザの流行は、これまでのところAH3亜型を中心とした患者発生がみられており、宮城県を除けば中部地域以西に報告数の多い府県が存在している。1月に入り学校等の冬季休暇が終了した後に、本格的な流行となる可能性が考慮される。今後ともインフルエンザの発生動向には注意深い観察が必要である。
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