発生動向総覧
〈第3週コメント〉 1月25日集計分
◆全数報告の感染症
注意:これは当該週に診断された報告症例の集計です。しかし、迅速に情報還元するために期日を決めて集計を行いますので、当該週に診断された症例の報告が集計の期日以降に届くこともあります。それらについては一部を除いて発生動向総覧では扱いませんが、翌週あるいはそれ以降に、巻末の表の累積数に加えられることになります。
*感染経路、感染原因、感染地域については、確定あるいは推定として記載されていたものを示します。
1類感染症: |
報告なし |
2類感染症: |
結核 345例 |
3類感染症: |
細菌性赤痢3例
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菌種:S. flexneri(B群)2例_感染地域:東京都1例、インド1例
S. sonnei (D群)1例_感染地域:国内・国外不明
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腸管出血性大腸菌感染症15例(有症者7例、うちHUS なし) |
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感染地域:国内13例、中国1例、ニュージーランド1例
国内の感染地域:福岡県5例、福井県3例、宮城県1例、埼玉県1例、兵庫県1例、岡山県1例、香川県1例
年齢群:2歳(1例)、3歳(2例)、9歳(1例)、10代(1例)、20代(1例)、30代(3例)、40代(3例)、50代(2例)、80代(1例)
血清型・毒素型:O157 VT1・VT2(9例)、O26 VT1(2例)、O103 VT1(1例)、O121 VT2(1例)、その他・不明(2例)
累積報告数:41例(有症者21例、うちHUS なし.死亡なし)
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4類感染症: |
E型肝炎3例
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感染地域:北海道1例_感染源:不明
感染地域:茨城県1例_感染源:不明
感染地域:香港1例_感染源:生レバー/牡蠣
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A型肝炎4例
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感染地域:石川県1例、福岡県1例、パキスタン1例、インドネシア/ベトナム1例
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エキノコックス症1例(多包条虫_感染地域:北海道)
つつが虫病9例
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感染地域:宮崎県3例、群馬県1例、千葉県1例、滋賀県1例、和歌山県1例、香川県1例、鹿児島県1例
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デング熱2例(感染地域:フィリピン1例、インド1例)
マラリア1例(熱帯熱_感染地域:ブルキナファソ)
レジオネラ症10例(肺炎型10例)
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感染地域:岐阜県2例(いずれも温泉)、大阪府2例、群馬県1例(温泉)、東京都1例、富山県1例、石川県1例(温泉)、福井県1例(温泉)、長崎県1例
年齢群:50代(1例)、60代(3例)、70代(4例)、80代(1例)、90代(1例)
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5類感染症: |
アメーバ赤痢13例(腸管アメーバ症13例) |
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感染地域:愛知県2例、宮城県1例、東京都1例、大阪府1例、福岡県1例、国内(都道府県不明)5例、トルコ1例、国内・国外不明1例
感染経路:性的接触3例(異性間1例、同性間1例、異性間・同性間不明1例)、経口感染2例、不明8例
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急性脳炎15例 |
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インフルエンザウイルスA型3例_年齢群:7歳(1例)、10代(1例)、20代(1例)
インフルエンザウイルス型不明1例_年齢群:3歳
単純ヘルペスウイルス2例_年齢群:30代(1例)、60代(1例)
ヒトヘルペスウイルス6型1例_年齢群:0歳
病原体不明8例_年齢群:0歳(1例)、1歳(3例)、2歳(1例)、5歳(1例)、9歳(1例)、30代(1例)
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クロイツフェルト・ヤコブ病1例(孤発性プリオン病古典型)
劇症型溶血性レンサ球菌感染症3例 |
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年齢群:40代(1例)、50代(1例)、60代(1例.死亡)
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後天性免疫不全症候群21例(AIDS 7例、無症候12例、その他2例) |
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感染地域:国内20例、国内・国外不明1例
感染経路:性的接触20例(同性間17例、異性間2例、異性/同性間1例)、不明1例
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梅毒7例(早期顕症I期2例、早期顕症II期3例、無症候2例)
バンコマイシン耐性腸球菌感染症1例 |
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遺伝子型:不明_菌検出検体:尿
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風しん7例(検査診断例6例、臨床診断例1例)
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感染地域:東京都2例、栃木県1例、京都府1例、福岡県1例、国内(都道府県不明)2例
年齢群:1歳(1例)、15〜19歳(1例)、25〜29歳(2例)、30〜34歳(2例)、40代(1例)
累積報告数:15例(検査診断例13例、臨床診断例2例)
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麻しん7例〔麻しん(検査診断例4例、臨床診断例1例)、修飾麻しん(検査診断例2例)〕
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感染地域:広島県4例、埼玉県1例、神奈川県1例、大分県1例
年齢群:1歳(2例)、2歳(1例)、10〜14歳(3例)、35〜39歳(1例)
累積報告数:16例〔麻しん(検査診断例10例、臨床診断例3例)、修飾麻しん(検査診断例3例)〕
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(補)2012年第2週までに診断されたものの報告遅れとして、E型肝炎2例(感染地域:北海道1例_感染源:豚肉、熊本県1例_感染源:鹿肉)、ライム病1例(感染地域:北海道)、レプトスピラ症1例(感染地域:沖縄県_感染原因:川)、急性脳炎3例(ヒトヘルペスウイルス6型1例_年齢群:0歳、RSウイルス1例_年齢群:1歳、単純ヘルペスウイルス1例_年齢群:80代)、劇症型溶血性レンサ球菌感染症3例〔60代(1例.死亡)、70代(2例.うち1例死亡)〕、髄膜炎菌性髄膜炎1例(感染地域:長崎県_年齢群:1歳)、バンコマイシン耐性腸球菌感染症2例(遺伝子型:VanC 2例_菌検出検体:血液2例)などの報告があった。
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◆定点把握の対象となる5類感染症(週報対象のもの)
全国の指定された医療機関(定点)から報告され、疾患により小児科定点(約3,000 カ所)、インフルエンザ(小児科・内科)定点(約5,000 カ所)、眼科定点(約600 カ所)、基幹定点(約500 カ所)に分かれています。また、定点当たり報告数は、報告数/定点医療機関数です。
インフルエンザ:定点当たり報告数は第42週以降増加が続いている。都道府県別では福井県(59.88)、高知県(59.31)、三重県(52.17)、岐阜県(49.79)、愛知県(49.03)、和歌山県(41.48)が多い。
小児科定点報告疾患:RSウイルス感染症の報告数は2,084例と第51週以降減少が続いている。年齢別では1歳以下の報告数が全体の約72%を占めている。咽頭結膜熱の定点当たり報告数は第51週以降減少が続いている。都道府県別では新潟県(1.22)、福岡県(0.58)、広島県(0.49)が多い。A群溶血性レンサ球菌咽頭炎の定点当たり報告数は2週連続で増加し、過去5年間の同時期(前週、当該週、後週)と比較してやや多い。都道府県別では富山県(6.38)、福井県(6.32)、大分県(5.69)が多い。感染性胃腸炎の定点当たり報告数は2週連続で増加した。都道府県別では大分県(24.1)、熊本県(22.3)、宮崎県(20.6)が多い。水痘の定点当たり報告数は2週連続で減少した。都道府県別では鹿児島県(3.24)、福井県(3.14)、三重県(2.80)が多い。手足口病の定点当たり報告数は増加した。都道府県別では石川県(1.55)、富山県(0.79)、滋賀県(0.72)が多い。伝染性紅斑の定点当たり報告数は3週連続で増加した。都道府県別では島根県(1.83)、鳥取県(1.68)、高知県(1.20)が多い。百日咳の定点当たり報告数は減少した。都道府県別では沖縄県(0.12)、宮崎県(0.09)、山梨県(0.08)が多い。ヘルパンギーナの定点当たり報告数は2週連続で増加した。都道府県別では徳島県(0.13)、岩手県(0.10)、宮崎県(0.09)が多い。流行性耳下腺炎の定点当たり報告数は2週連続で減少した。都道府県別では鳥取県(1.79)、新潟県(1.62)、徳島県(1.43)が多い。
基幹定点報告疾患:マイコプラズマ肺炎の定点当たり報告数は増加し、過去5年間の同時期と比較してかなり多い。都道府県別では沖縄県(3.71)、青森県(3.33)、栃木県(2.86)が多い。
注目すべき感染症
◆ インフルエンザ
インフルエンザの主な感染経路はくしゃみ、咳、会話等で口から発する飛沫による飛沫感染であり、他に接触感染もあるといわれている(CDCホームページ:http://www.cdc.gov/flu/about/disease/spread.htm)。感染対策としては、飛沫感染対策としての咳エチケット、接触感染対策としての手洗い等の手指衛生の徹底が重要であると考えられるが、たとえインフルエンザウイルスに感染しても、全く無症状の不顕性感染例や臨床的にはインフルエンザとは診断し難い軽症例が存在する。従って、特にヒト−ヒト間の距離が短く、濃厚な接触機会の多い学校、幼稚園、保育園等の小児の集団生活施設においてインフルエンザの集団発生をコントロールすることは困難であると思われる。
感染症発生動向調査では、全国約5,000カ所(小児科定点約3,000、内科定点約2,000)のインフルエンザ定点からの報告に基づいてインフルエンザの発生動向を分析している。インフルエンザの定点当たり報告数は、2011年第42週以降増加が続いており、2012年第3週の定点当たり報告数は22.73(報告数112,035)となり、前週の報告数(定点当たり報告数7.33)の約3倍となった(図1)。都道府県別では福井県(59.88)、高知県(59.31)、三重県(52.17)、岐阜県(49.79)愛知県(49.03)、和歌山県(41.48)、香川県(39.65)、愛媛県(35.49)の順となっている。前週に引き続き全ての都道府県で前週の定点当たり報告数よりも増加がみられた(図2)。
定点医療機関からの報告数をもとに、定点以外を含む全国の医療機関を1週間に受診したインフルエンザ患者数を推計すると、2012年第3週は約111万人(95%信頼区間:102〜120万人)(暫定値)と前週(約40万人)よりも大幅に増加し(図3)、年齢群別では5〜9歳約31万人(27.9%)、10〜14歳約20万人(18.0%)、0〜4歳約17万人(15.3%)、30代約10万人(9.0%)、60歳以上約9万人(8.1%)、20代、40代がそれぞれ約7万人(6.3%)の順となっている。この増加は、冬期休暇が終了したことによって、14歳以下の年齢群での患者発生数が急増したことが大きく関係していると考えられるが、一方で60歳以上の割合は昨シーズンの同週(4.0%)と比較して高くなっている。2012年第36週以降これまでの累積の推計受診患者数は225万人(95%信頼区間:215〜235万人)(暫定値)であった。
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図1. インフルエンザの年別・週別発生状況(2002〜2012年第3週) |
図2. インフルエンザの都道府県別定点当たり報告数の推移(2012年第1〜3週) |
図3. インフルエンザ推計受診者数(暫定値)週別推移(2011年第36週〜2012年第3週) |
2011年第36週〜2012年第3週に国内では1,078検体のインフルエンザウイルスの検出が報告されており、AH1pdm09が5件(0.5%)、AH3亜型(A香港型)972件(90.2%)、B型101件(9.4%)とAH3亜型が大半を占めている状態が続いている。
インフルエンザの報告数は急増しており、中部、近畿、中国、四国の各地域を中心に本格的な流行時期を迎えている。今後ともインフルエンザの発生動向には注意が必要である。
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