発生動向総覧
〈第7週コメント〉 2月22日集計分
◆全数報告の感染症
注意:これは当該週に診断された報告症例の集計です。しかし、迅速に情報還元するために期日を決めて集計を行いますので、当該週に診断された症例の報告が集計の期日以降に届くこともあります。それらについては一部を除いて発生動向総覧では扱いませんが、翌週あるいはそれ以降に、巻末の表の累積数に加えられることになります。
*感染経路、感染原因、感染地域については、確定あるいは推定として記載されていたものを示します。
1類感染症: |
報告なし |
2類感染症: |
結核 354例 |
3類感染症: |
細菌性赤痢3例
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菌種:S. flexneri(B群)2例_感染地域:国内( 都道府県不明)1例、シンガポール1例
S. sonnei(D群)1例_感染地域:大分県
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腸管出血性大腸菌感染症7例(有症者3例、うちHUS 2例) |
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感染地域:国内7例
国内の感染地域:福岡県4例、東京都1例、不明2例
年齢群:30代(3例)、40代(1例)、60代(1例)、70代(1例)、80代(1例)
血清型・毒素型:O91 VT1・VT2(1例)、O91 VT1(1例)、O103 VT1(1例)、O128 VT1(1例)、O157 VT2(1例)、その他・不明(2例)
累積報告数:82例(有症者40例、うちHUS 2例.死亡なし)
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腸チフス2例(感染地域:東京都1例、インド1例)
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4類感染症: |
E型肝炎2例
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感染地域:北海道1例_感染源:不明
感染地域:東京都1例_感染源:不明
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A型肝炎2例(感染地域:広島県1例、大阪府/フィリピン1例)
つつが虫病1例(感染地域:島根県.死亡) デング熱2例(感染地域:インドネシア1例、モルディブ1例)
マラリア1例(熱帯熱_感染地域:インドネシア)
レジオネラ症10例(肺炎型9例、ポンティアック型1例)
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感染地域:石川県2例、福井県2例、広島県2例、千葉県1例、新潟県1例、福岡県1例、鹿児島県1例
年齢群:40代(1例)、50代(2例)、60代(2例)、70代(1例)、80代(2例)、90代(2例)
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5類感染症: |
アメーバ赤痢7例(腸管アメーバ症6例、腸管外アメーバ症1例) |
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感染地域:東京都2例、埼玉県1例、千葉県1例、国内(都道府県不明)2例、中国1例
感染経路:性的接触1例(同性間)、不明6例
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ウイルス性肝炎2例(C型2例_感染経路:不明2例)
急性脳炎5例 |
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インフルエンザウイルスA型1例_年齢群:40代
インフルエンザウイルス型不明1例_年齢群:3歳
病原体不明3例_年齢群:1歳(1例)、3歳(1例)、5歳(1例)
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クリプトスポリジウム症2例(感染地域:愛知県1例、三重県1例)
クロイツフェルト・ヤコブ病3例 |
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孤発性プリオン病古典型3例(うち1例死亡)
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劇症型溶血性レンサ球菌感染症4例 |
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年齢群:50代(1例)、70代(2例)、80代(1例.死亡)
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後天性免疫不全症候群15例(AIDS 6例、無症候8例、その他1例) |
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感染地域:国内13例、中国/カンボジア1例、国内・国外不明1例
感染経路:性的接触13例(異性間3例、同性間10例)、性的接触(異性間)/静注薬物使用1例、不明1例
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梅毒6例(早期顕症I期1例、早期顕症II期4例、無症候1例)
風しん5例(検査診断例4例、臨床診断例1例)
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感染地域:神奈川県1例、京都府1例、国内(都道府県不明)3例
年齢群:5〜9歳(1例)、10〜14歳(1例)、15〜19歳(1例)、35〜39歳(1例)、40代(1例)
累積報告数:35例(検査診断例28例、臨床診断例7例)
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麻しん9例〔麻しん(検査診断例6例、臨床診断例1例)、修飾麻しん(検査診断例2例)〕
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感染地域:愛知県3例、東京都2例、神奈川県2例、国内(都道府県不明)2例
年齢群:0歳(1例)、5〜9歳(2例)、20〜24歳(1例)、25〜29歳(1例)、30〜34歳(1例)、35〜39歳(1例)、40代(1例)、50代(1例)
累積報告数:56例〔麻しん(検査診断例42例、臨床診断例4例)、修飾麻しん(検査診断例10例)〕
遺伝子型別累積報告数(遺伝子型が同定・報告された症例のみ):28例
D4:3例_感染地域:千葉県1例、東京都1例、東京都/ベトナム1例
D8:20例_感染地域:愛知県7例、千葉県4例、山梨県2例、岐阜県2例、都道府県不明4例、タイ1例
D9:5例_感染地域:岡山県3例、東京都1例、フィリピン1例
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(補)2012年第6週までに診断されたものの報告遅れとして、E型肝炎1例(感染地域:愛知県_感染源:猪の肉)、オウム病1例(感染地域:京都府_感染源:インコ)、デング熱3例(感染地域:フィリピン2例、インドネシア1例)、急性脳炎10例〔インフルエンザウイルスAH1pdm1例_年齢群:4歳.インフルエンザウイルスA型4例_年齢群:4歳(1例)、5歳(1例)、9歳(1例)、50代(1例.死亡).インフルエンザウイルスB型1例_年齢群:10代.病原体不明4例_年齢群:0歳(1例)、2歳(1例)、20代(1例)、30代(1例)〕、劇症型溶血性レンサ球菌感染症5例〔30代(1例)、70代(2例)、80代(1例)、90代(1例.死亡)〕、バンコマイシン耐性腸球菌感染症1例(遺伝子型:不明_菌検出検体:尿)などの報告があった。
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◆定点把握の対象となる5類感染症(週報対象のもの)
全国の指定された医療機関(定点)から報告され、疾患により小児科定点(約3,000 カ所)、インフルエンザ(小児科・内科)定点(約5,000 カ所)、眼科定点(約600 カ所)、基幹定点(約500 カ所)に分かれています。また、定点当たり報告数は、報告数/定点医療機関数です。
インフルエンザ:定点当たり報告数は2週連続で減少したが、過去5年間の同時期(前週、当該週、後週)と比較してかなり多い。都道府県別では大分県(52.26)、埼玉県(50.40)、秋田県(48.24)、千葉県(48.09)、宮崎県(45.00)、福岡県(43.71)、神奈川県(43.22)が多い。
小児科定点報告疾患:RSウイルス感染症の報告数は1,335例と第51週以降減少が続いている。年齢別では1歳以下の報告数が全体の約77%を占めている。咽頭結膜熱の定点当たり報告数は増加した。都道府県別では新潟県(0.93)、富山県(0.72)、宮崎県(0.72)が多い。A群溶血性レンサ球菌咽頭炎の定点当たり報告数は増加した。都道府県別では富山県(6.00)、大分県(5.64)、福井県(4.91)が多い。感染性胃腸炎の定点当たり報告数は増加した。都道府県別では大分県(15.0)、熊本県(12.7)、福井県(11.6)が多い。水痘の定点当たり報告数は増加した。都道府県別では宮崎県(3.22)、佐賀県(2.87)、鹿児島県(2.63)が多い。手足口病の定点当たり報告数は第4週以降減少が続いている。都道府県別では福井県(0.50)、石川県(0.48)、香川県(0.47)が多い。伝染性紅斑の定点当たり報告数は増加した。都道府県別では鳥取県(1.32)、島根県(0.87)、愛媛県(0.62)が多い。百日咳の定点当たり報告数は2週連続で増加した。都道府県別では沖縄県(0.18)、栃木県(0.10)、高知県(0.10)が多い。ヘルパンギーナの定点当たり報告数は増加した。都道府県別では岩手県(0.15)、長野県(0.11)、福岡県(0.05)が多い。流行性耳下腺炎の定点当たり報告数は増加した。都道府県別では山形県(2.47)、新潟県(1.68)、愛媛県(1.46)が多い。
基幹定点報告疾患:マイコプラズマ肺炎の定点当たり報告数は横ばいであり、過去5年間の同時期と比較してかなり多い。都道府県別では埼玉県(3.22)、青森県(3.00)、沖縄県(2.86)が多い。
注目すべき感染症
◆ インフルエンザ
インフルエンザ(Influenza)は、インフルエンザウイルスを病原体とする急性の呼吸器感染症で、毎年世界中で流行がみられている。典型的な発症例では1〜4日間の潜伏期間を経て、突然に発熱(38℃以上の高熱)、頭痛、全身倦怠感、筋肉痛・関節痛などが出現し、鼻水・咳などの呼吸器症状がこれに続く。通常は1週間前後の経過で軽快するが、いわゆる「かぜ」と比べて全身症状が強いのが特徴である。
感染症発生動向調査では、全国約5,000カ所(小児科定点約3,000、内科定点約2,000)のインフルエンザ定点からの報告に基づいてインフルエンザの発生動向を分析している。2012年第7週の定点当たり報告数は35.44(報告数174,871)となり、第5週の定点当たり報告数(42.62)をピークとして2週連続して減少がみられた(図1)。都道府県別では大分県(52.26)、埼玉県(50.40)、秋田県(48.24)、千葉県(48.09)、宮崎県(45.00)、福岡県(43.71)、神奈川県(43.22)、鹿児島県(42.66)の順となっている。41都道府県で前週の報告数よりも減少がみられた(図2)。
定点医療機関からの報告をもとに、定点以外を含む全国の医療機関をこの1週間に受診した患者数を推計すると175万人(95%信頼区間:160〜190万人)(暫定値)とこちらも2週連続で減少した(図3)。2011年第36週以降これまでの累積の推計受診者数は約985万人(95%信頼区間:952〜1,019万人)(暫定値)であり、年齢群別では5〜9歳約257万人、10〜14歳約160万人、0〜4歳約150万人、30代約104万人、40代約75万人、20代約66万人の順であった。また70歳以上は約45万人と昨シーズン(2010/2011年シーズン、2010年第36週〜2011年第35週)の推計受診者数(24万人)(以上全て暫定値)を既に大きく上回っている(図4)。
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図1. インフルエンザの年別・週別発生状況(2002〜2012年第7週) |
図2. インフルエンザの都道府県別定点当たり報告数の推移(2012年第5〜7週) |
図3. インフルエンザの推計受診者数(暫定値)週別推移(2011年第36週〜2012年第7週) |
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図4. インフルエンザの年齢群別累積推計受診者数(暫定値)(2011年第36週〜2012年第7週) |
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2011年第36週〜2012年第7週までに国内では3,024検体のインフルエンザウイルスの検出が報告されており、AH1pdm09が6件(0.2%)、AH3亜型(A香港型)2,624件(86.8%)、B型394件(13.0%)とAH3亜型が大半を占めている状態に変わりはないものの、B型の割合が徐々に増加してきている。
2012年第7週は多くの地域で報告数の減少がみられたものの、まだ28都道県では定点当たり報告数が30.00を超えており、インフルエンザの本格的な流行は全国的に継続している。引き続きインフルエンザの発生動向に対しては注意が必要である。
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