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Vol.1 (1980/5[003])

<その他>
微生物検査情報システムへの私の期待


昭和54年度から発足した本研究班に,実行委員として参加,集計・分類整理の大役を引き受けることになった。個人的には,もう10年以上も前から,このような全国規模での微生物検査情報の必要性を感じていたが,自分自身が,その企画・実行に参画する日が来ようとは夢想もしなかった。1年前,初めて準備会を開いた時点では,正直いって半信半疑の思いであった本計画が,関係者全員の努力と全国地研の協力によって,予想を遥かに上まわるスピードで進捗した。本当に嬉しい。すでに月報を2回送り出し,漸やく作業も軌道に乗った。これからも内容のキメ細かい手直しと追加を心掛けたいと考えている。

しかし,目下の最大の関心は,折角の月報が,どう利用されるかということにある。盛り込まれたデータの読み方は,人それぞれ,おそらく,思いがけない活用法を見つけてもらえるにちがいない。たとえば,レプトスピラの項目。レプトスピラ症は,法定伝染病でも届出伝染病でもないために,特殊例を除いて,患者発生の実態が皆目わかってない。防疫上,重要であるべき筈の情報が殆ど耳に入らないのである。やむなく,死亡統計からの推測でお茶を濁してきたが,内心なんとも心もとない思いをしてきた。レプトスピラの欄が毎回,数字で埋まるように早くなってほしいものである。もちろん,実態把握には患者情報も整備されなければならず,それはまたそれで今後の重要な課題である。

まだ緒についたばかりであるが,今後,意欲的な要望が数多くの人達から寄せられ,それに支えられて開発が進む,そんな研究班であってほしい。それが本システムの今後にかける私の期待であり,心からの念願である。



予研 一般検定部 赤真 清人





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