HOME 目次 記事一覧 索引 操作方法 上へ 前へ 次へ

Vol.1 (1980/7[005])

<国内情報>
今季のインフルエンザの流行


 今冬のインフルエンザはH11が1月から分離され,2月がピークで4月に終り,H32は同じく1月に始まり,2月がピークだが,4月の分離数もH11より多くその流行はやゝ春に延びている。B型分離のピークは4月でこの前後に広く裾が拡がっている。しかし絶対数は少い。これを地域的にみると,H11は1月以降全国一斉に流行した傾向があるのに対し,H32は1月山口以西の地方で多く分離され,2月には全国的だがやはり西日本で多く,北海道は3月に最も多く分離されているので,流行の東進が示唆される。B型は1月に横浜で多く分離されその周辺に拡がり,4月には北と南の地方で分離数が増加している。

11はほとんどA/熊本/37/79型,H32はA/愛知/1/80型で,これはA/バンコク/1/79型に近い。Bは全国的にB/横浜/1/80と同一であった。H32の流行は小学1年以下の小児に多く,昨年度のワクチンはH32が含まれていないのでその影響があらわれて流行が起った可能性がある。

 以上の流行状況からみると,来期は,H11およびH32の流行は多少残ることもあろうが,流行の主流はB型であろうと予想される。



甲野 礼作,武内 安恵


表.インフルエンザウィルス検出状況






前へ 次へ
copyright
IASR