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Vol.1 (1980/8[006])

<国内情報>
香川県下のロタウイルス下痢症の流行について


 仮性コレラ,白色便性下痢症,感冒性消化不良症等呼ばれる冬期の乳幼児下痢症は,ロタウイルス感染で毎年のように流行しているが,我々は電顕法によるロタウイルスの分離からみた今冬の流行を報告する。

(1) 発生状況とロタウイルスの分離について

 高松市内での患者発生であるが,今冬は11月から6月にかけての発生で1月,2月の発生が多く,昨冬の状況と同傾向であり,最盛期ほど重症例が多く,糞便中のウイルス量も多く確認され,ロタウイルス分離率も発生状況と一致している。しかし,感冒性の白色便性下痢症は,7月に入っても発生しているが,ロタウイルスの分離は陰性で,アデノ等が確認されている。また,年令別の状況では,1才から1才6ヶ月児が80%と多く,4才児以上でも18%と分離されている。

 これらの分離陽性の材料を色状別にみると,分離は,白色系で67.5%,黄色系70.6%,緑色系60.6%と同程度で,茶色系では17.5%と分離率は低率で,とくに白色系が高率という結果にはならなかった。高年令になると茶色系の便が多くなり,分離率は低く,また,低年令ほど白色系,黄色系が多く,分離率が高い傾向にある。

(2) 今冬のロタウイルス下痢症の臨床

 一小児科医院での分離61例についての症状は表のとおりで,このうち1才児までの32例を授乳状況から分けると,人工乳68.7%,混合乳28.1%,母乳3.2%の分離であった。また,3才以上では消化不良性中毒症,疫痢様症状を認めたものがあり,主として茶色系便で比較的重症例が多かった。

 また,家族内の感染で,双生児(6ヶ月児)が3日間隔で発症,また,同胞例(4才6ヶ月児と7ヶ月児)で2日間隔で発生しているケースがあった。

 以上のことから,いろいろ報告されている流行形態と同様ではあるが,ロタウイルス分離にくらべて,Small particle, adeno等の検出が低率であった。



香川県衛生研究所 山西 重機


表1.小児仮性コレラの発生と,Rota virus分離状況
表2.Rota virus下痢症の臨床





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