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Vol.1 (1980/9[007])

<外国情報>
醗酵サラミと関係あるブドウ球菌食中毒のめずらしい集団発生


 1食肉製造施設で生産された醗酵サラミを原因食とするブドウ球菌食中毒の集団発生が,1979年の1月から4月にかけて米国東部でおこり,その地理的範囲はかなり広かった。

 この集発は,単一の目につくような出来事として認識されたのではなく,7つの州にわたった17の小事例が,計49名の患者をだしていつの間にか発生していたという実情であった。

 疫学調査によって,1)そのサラミを食したあと2〜5時間で,ブドウ球菌性食中毒とみられる症状を呈した。2)サラミの2標本から,エンテロトキシンと高菌数のブドウ球菌が検出され,ある最終製品からはDNAseが証明された。3)サラミ生産における醗酵処理の管理が不適当であった。などがあきらかにされた。

 醗酵サラミを原因食ときめつけるブドウ球菌食中毒の決定は一般には大変困難である。というのは製品間における毒素の発生は偶然性が高く,また菌は製品の完成とともに急速に死滅してゆくからである。しかし,今回の調査の結果得られた疫学的証拠は,業者にすべてのサラミの回収と,237,000ポンドの製品の廃棄を指令するに充分であった。

 醗酵ソーセージをつくるには,軽く塩づけした肉の温度をあげるので,適切な操作をおこたるとブドウ球菌はソーセージ表面で増殖して1,000万のレベルに達し,エンテロトキシンを産生する。

(CDC−VPHN,1980年,4月)






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