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Vol.1 (1980/9[007])

<外国情報>
米国西ヴァージニア州におけるブドウ球菌食中毒事例


 本年5月20日,西ヴァージニア州のメイソン郡におけるある学校の卒業記念夕食会に出席した33名の学生と教師の間から,17名の急性胃腸患者が発生した。

 症状としては,嘔気・嘔吐(100%),下痢(90%),腹痛・腹部痙れん(55%)で全員手当を要した。発症までの時間は1.3〜5.5時間であった。

 原因食としてポテトサラダが疑せられ,これを食した者の79%が発症し,食さなかった全例は無事であった。コアグラーゼ陽性の黄色ブドウ球菌がサラダから3×108/g,チョコレートパイから1×105/g,辛焼き卵から1.8×105/gに分離された。2名の調理人の手に病巣が見出され,ブドウ球菌が分離された。ファージ型別がCDCで実施され,以上すべての分離株が同一型83A/85であった。

 調査によると,料理は個室(居間)でつくられ,室温で4.5〜12時間も放置されていた。とくにポテトサラダは,食前室温で6.5時間,さらに45゜F(7℃)で17時間も放置されていた。

 米国においても黄色ブドウ球菌は主要な食中毒原因菌で,CDCへの報告数では第二位にある。これはファージ型別が汚染経路を適確に証明し得た好事例である。1患者の便からも同一ファージ型のブドウ球菌が分離されている。便からのブドウ球菌の検出は,正常人でも20〜30%に陽性で,一般には原因菌のきめてとはならないが,この事例ではファージ型別によって成功している。

(CDC,MMWR,Vol.29,No.30,1980)






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