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バングラデッシュでのコレラ流行に際して分離された多剤耐性エルトール型コレラ菌10株についてWHO Collaborating Center for Phage Typing and Resistance of Enterobacteriaで検査がなされた。
3株が稲葉型であり,7株が小川型であって,それらの耐性パターンと耐性度を次表に示す。
薬剤とMIC(μg/ml)
A =アンピシリン(500)
K =カナマイシン(1250)
S =ストレプトマイシン(1000)
Sp=スペクチノマイシン(決定されず)
T =テトラサイクリン(64)
Su=スルフォンアミド(>2000)
Tm=トリメトプリム(>2000)
この完全耐性スペクトラムはC適合群のプラスミドによってコードされている。3つの耐性型が同定され,もっとも広範なR型はアンピシリン,カナマイシン,ストレプトマイシン−スペクチノマイシン,テトラサイクリン,スルフォンアミド,トリメトプリムを包含する(AKSSpTSuTm)ものである。前4者の耐性はブイヨン中の18時間培養やドルセット卵培地での保存中にプラスミドから自然脱落することがありうるので,AKTSuTmやATSuTmはAKSSpTm型から自然発生的に由来するものであろう。
世界における最初の多剤耐性コレラ菌の広範な長びいた流行は1977年タンザニア共和国で発生したが,この時のR型はACKSSuT(Cはクロランヘニコール)でやはりC群プラスミドでコードされていた。このプラスミドは散発的な耐性分離株からも同定されてきているので,コレラ菌に特に親和性が高いのかもしれない。
(WHO W.E.R. No.38,19 Sep.1980)
表
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