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Vol.1 (1980/11[009])

<外国情報>
Norwalk−様ウイルス(Norwalk−like agent=NLA)による水系胃腸炎


 昨年9月11日,13日にカリフォルニア州Arcataでフットボール選手が適当な水道がなかったので,近くの地下水道から引いたスプリンクラーの水を飲み嘔吐下痢を起し,血便(17%)をみとめた。潜伏期は8−47時間と短く(メディアン10,平均12時間),家庭内2次感染もあった。細菌学検査は陰性で,特別のウイルスも培養されず,免疫電顕法で2/6にNLAをみとめ,抗体もみとめられた。同年11月8日に採取した地下水からエコー11,レオウイルス,同定不能エンテロが分離された。スプリンクラーの水の細菌MPN>2400/100ml(9月17日)であった。色素テストにより,近くの大学キャンパスとスプリンクラーの水系との間の地下水系に洩れがあり,汚染の起っていることがわかった。NLAによる水系伝染の報告は他に2〜3あるが,潜伏期の短いこと,血便がみられたことが際立っている。

(WHO W.E.R.,No.34,8月22日)






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