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ヒトの感染菌としてのS.hadarの重要性が,1974年以来EnglandとWalesで劇的な高まりをみせている。この血清型は以前は稀であって,1971年までは計8例がヒトから分離されていたにすぎない(英国サルモネラセンター)。ところが1975年にはヒト分離全サルモネラ株中の3%を占め,1979年には15%にまで増加した。これはS.typhimuriumの35%についで2位の頻度である。
1973年と1974年にS.hadarは英国における最大の七面鳥飼育場に生息して足場をきずき,ここから汚染鳥が全国の単位飼育施設に配布されたことからひろがったものである。1975年から1979年にかけておこったS.hadarによる食中毒集団発生の46%は,七面鳥を伝播体としている。そうした食中毒をおこしたレストランやホテルでは,冷凍品の融解不充分,不適当な調理,調理肉の氷室保存不備などが指摘されている。1978年以後は原因食の10%がチキンになった。
こうした情況にかんがみて,ファージ型別の方式が開発された。35のファージ型が認められたが,ヒト由来の全分離株90%は2型に属する。他のファージ型は七面鳥,チキン,ウシなどから分離されている。また,2型を追跡してゆくと,例の七面鳥大飼育場までさかのぼることができた。
(MMWR,Oct.24,1980)
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