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Vol.2 (1981/1[011])

<国内情報>
滋賀県における溶レン菌調査


我々は1970年以来主として小学生を対象に溶レン菌の分布調査を実施して来たが,現在は11〜1月の間に大津市内のH小学校の児童約500名について調査を行っている。また1979年から県内3地区4医療機関の協力を得て,毎月60件前後,年間約600件の調査も実施している。

小学生の咽頭材料は,Q培地を用いて増菌し,ヒツジ血液寒天平板で分離後,市販血清による凝集反応法で群,型別を行った。B群については馬尿酸試験で確認した。

一方,小児科由来材料はエンテロウイルスのサーベイと併用されるためでもあるが,これは各病院にて咽頭を拭った綿棒を0.5%bovine albumine 加 veal infusion brothにひたし,それらを−20℃で保存,1ヶ月毎に収集した。検体は4℃,3000rpm,30分遠心分離後,沈渣にQ培地を加えて増菌,上記と同様に群,型別を行った。

検出菌は,PC,TC,CP,EMの4薬剤に対する感受性をディスク法により測定した。

1980年1月〜11月までの成績は次の通りである。

H小学校の溶レン菌検出率は28.7%であり,その主要菌型は12型(51.4%),4型(20.0%),28型(17.1%)であった。1979年に1,2位を占めていた18型,1型は1980年には検出されなかった。なおH小学校では1971年〜1975年まで12型が常に主要菌型の第1位となっていたが,1976年以後毎年異なった菌型がなっていた。

小児科患者の検出率は21.7%であり,その主要菌型は12型(42.7%),4型(8.5%),6型(7.3%),B3264型(7.3%)であった。検出率は北部(長浜)18.8%,南部(大津)20.5%であるから地域差は認められないが主要菌型である12型の占める比率は,北部では55.6%,南部では29.3%と異なっていた。

以上のことから,滋賀県では12型と4型が1980年の主要流行菌型であり,これは全国的な傾向と一致していた。

薬剤感受性試験の結果,検出菌のうちTCに一部耐性,EMに耐性を示す菌株があった。EM耐性株は,小学生ではA群35株のうち2株であり,4型(1株/7株)と12型(1株/18株)であった。一方患者由来株ではA群82株のうち23株で,これらはすべて12型(23株/35株)であり,前者と差が見られた。



滋賀県立衛生環境センター 木下庸子





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