|
米国:1980年度の前半6ヶ月において,カリフォルニア州ではすでに11例の乳幼児ボツリヌス症の同定された入院例があり,これは1979年度の全9例と比較される。
11例中5例はロサンゼルス市から報告されているが,この地区からの報告は前年度においては皆無であった。年令は生後5週から22週にわたっており,6例は男子,そして8例が白人,3例がスペイン系であった。はじめの5例はA型毒素によるものであり,そのあとの6例はB型毒素によるものであったが,この観察の意味するところは不明である。8例はすでに退院しているが,3例はいまだ入院中であり,1例は17週間特別看護のもとにある。興味深いのは,6月に発症した1組の双生児における2例であって,一卵性であるか二卵性であるかは現在調査中である。記録によれば,1977年にノースダコタ州で二卵性双生児の一方が乳幼児ボツリヌスにかかっている。
11症例中の2例では,発症前に蜂蜜が食されており,その中におけるボツリヌス菌芽胞の存在が検査中である。米国以外ではオーストラリア,カナダ,チェコスロバキア,英国において乳幼児ボツリヌスがこれまで確認されている。ボツリヌス菌の芽胞はすべての大陸から見出されるにもかかわらず,アフリカ,アジア,南米からはいまだ報告がない。しかし,カリフォルニアではあらゆる人種がかかっているので将来においてはこれらの地区からも報告されるであろう。カリフォルニアにおいて乳幼児ボツリヌス発生が変動する理由ははっきりしないが,地理的,気候的要素を背景に散発的におこるのであろう。非常な軽症から乳幼児突然死の型にいたるまで広範な臨床スペクトルがあり,その中のごく一部のみが入院例となるのであろう。
蜂蜜が感受性のある乳幼児にとって,ボツリヌス菌芽胞の潜在的なみなもとであることはよく知られているが,1才以下の乳幼児にあいかわらずこれが与えられているのは残念である。
(WHO,W.E.R.,1980,55,374)
|