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1981年1月中旬までの世界におけるインフルエンザの流行状況は,2,3の国に中等度の流行があるものの,一般に軽度である。
1980年7−12月にアメリカ,アフリカ,太平洋地区で分離されたインフルエンザA(H3N2)ウイルスはいずれも抗原構造が類似していた。HIでA/Texas/1/77 及びA/Bangkok/1/79フェレット抗血清に同程度抑制される中間型が多かったが,約 15%の株はA/Texas/1/77抗血清に反応性が低く,A/Bangkok/1/79に抗原的に類似し,ごく一部(<2%)はA/Texas/1/77様の株であった。
インフルエンザA(H1N1)は,1980年の終わりよりヨーロッパに多発し,抗原的にはA/USSR/90/77,A/Brazil/11/78とやや異なっていた。アメリカの分離株はHI反応上大部分はA/Brazil/11/78抗血清でよく抑えられたが,約5−10%の株はA/Brazil/11/78抗血清では4−8倍低くしか抑えられず,A/Brazil/11/78抗血清で抑制されるものでも,1980年に分離された変異株A/India/6263/80抗血清によく抑制されるものもみられた。
インフルエンザBウイルスは1980年7月以来,抗原的に変化なくB/Singapore/222/79様であった。
(MMWR,30(9),1981年3月13日W.E.R. 1981年(No.2))
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