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Vol.2 (1981/11[021])

<国内情報>
今夏の愛媛県におけるウイルス分離状況


愛媛県においては,松山市の定点観測医院を中心とした急性ウイルス疾患の継続的サーベイランスを実施しているが,本年4月からのウイルス分離状況,主にエンテロウイルスについて報告する。

表に初代CMK細胞,HEL細胞,哺乳マウスを用いて分離・同定したウイルスの月別分離例数を示した。CB2は3月から分離されはじめ,5,6月に多く分離された。Echo 11は6月から8月に多く分離され,7月以降はCB2と交替して主流行ウイルスとなった。山陰地方で無菌性髄膜炎の流行を示したEcho 18は本県では5,7,8月に散発的に分離されたのみであった。

CB2の流行は当地域では1975年以来6年ぶりであったので,流行前の中和抗体保有率を調べたが,4才以下の小児はほとんど抗体を保有していなかった。CB2が分離された患者の症状は,上気道炎,ヘルパンギーナ,下痢等であり,髄膜炎からは全く分離されなかった。今回のCB2の流行の特徴はヘルパンギーナ症状を呈した例が多かったことであった。

今夏の無菌性髄膜炎患者の発生状況は例年と同様散発的であったが,7,8月の髄膜炎患者25名のうち,1名からCA9,6名からEcho 11,3名からEcho 18が分離された。

CA群については,哺乳マウスによる分離・同定作業が完了していない。表に示したCA5(3例),CA6(1例)の他に6,7月に哺乳マウス発症agentが多数分離されており,これらについては同定中である。

また,Echo 18はMK,HEL細胞でともに分離され,HEL細胞を用いた中和試験ではかなり強いbreak throughがみられたものの,20u Schmidt pool血清,50u抗Echo 18単味血清(予研より分与)により同定可能であった。Echo 11は20u Schmidt pool血清では,全く中和されなかったが,1971年分離株(Echo 11変異株),76年分離株に対する免疫血清(50u)で同定された。これらのウイルス抗原変異については今後検討したい。



愛媛県衛生研究所 大瀬戸光明


月別ウィルス分離例数(患者数)





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