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10月初旬頃より,弘前市近郊の黒石市において家族感染を主体とした数十名の急性出血性結膜炎(AHC)患者の発生がみられた。10月中旬,患者4名の結膜擦過物を採取し,予研から分与されたHeLa,さらに手持ちのHaLa,LLC−MK2,HEAJ(秋田衛研から分与の人胎児継代細胞)の4種の細胞を使用,33℃で培養し,ウイルス分離を試みた。分離は3代まで盲継代をおこなったがいずれの細胞においても陰性であった。しかしながら,同時に得られた3ペア血清の血清診断ではYC71−670株(北海道)に対して,16倍から512倍,16→256,16→128倍といずれも有意抗体上昇を示し,本疾患はAHCウイルスによる感染であることが判明した。
感染症サーベイランス事業の資料によると,その後,弘前市,青森市にも発生報告が散見されてきており,本県における今後の動向が注目される。
青森県衛生研究所 佐藤允武 石川和子
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