HOME 目次 記事一覧 索引 操作方法 上へ 前へ 次へ

Vol.3 (1982/3[025])

<国内情報>
B型インフルエンザの流行


 今期のインフルエンザから,A(H1 N1)株およびA(H3 N2)株は地域的に分離されているが流行の拡大はみられていない。一方B型株については,1980〜81年の流行期に分離された数株に昨年までのワクチン株B/神奈川/3/76株に対して抗原変異がみとめられたが,これは本期のワクチン株B/シンガポール/222/79株とは大きな差異はみられないので,ワクチン接種率が低下しなければ流行の拡大はないものと予想されていた。しかし,北九州と福井県下の小学校で11月10日頃からB型が検出されたのにつづき,1月中旬以降全国的流行となった。

 厚生省保健情報課の2月6日までの資料によると,学級・学年閉鎖あるいは休校等の措置のあった学校の在籍者数に対する罹患者数の比は昨年の同時期では約11%であったのに対し,今年は約23%(1,063,732/4,479,359)で約2倍になっている。現在日本全国の幼稚園,小,中学生の在籍数は19,516,798名なので,今年の風邪様患者発生報告数は全体の約5.5%となる。

 風邪ウイルスはインフルエンザ以外にも多種類あり,インフルエンザと同時期に流行するものが多い。A香港型およびAソ連型の大流行がみられた1978年に東京において実施された罹患調査では,約30〜40%はインフルエンザ以外の感染であったことを経験している。今期の流行において東京都内でインフルエンザウイルスが分離されたのは1月中旬以降であり,昨年の1月から今年の1月上旬にかけてみられた風邪様罹患によるかなりの数の学級閉鎖はインフルエンザ以外のウイルスによるものとみられる。

 表に今期のB型流行株についてインフルエンザセンターにおいて抗原分析が終了したもののうち代表株の試験成績をあげ,図に3月4日までに報告された各県におけるB型検出数を示した。



予研 武内 安恵


HI reactions of influenza B viruses(Nov-Dec,1981)





前へ 次へ
copyright
IASR