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(1981年−1982年の世界のインフルエンザ)
81年末までウイルスの活動は低かったが,前年同様A(H1N1),A(H3N2)およびBが分布し,82年に入ってBの報告が増加した。
B型―ヨーロッパ,米国では12月後半から1月にかけて流行,1月末までに多くの国で全年令からB型感染が診断された。散発例が多いが,学校,養老院,軍隊等における流行もある。フランス,スウェーデン,スイスからも報告された。
アメリカ大陸では9月から発生,散発にとどまっていたが,2月初め主に南西の州の学校で流行した。カナダでは1月,ブラジルでは10月に報告されている。
アジアでは12月にイスラエルで散発,日本では11月半ばから2月まで47県中30県での流行が実験室成績で確認された。
A(H1N1)―今季は少ない。11月ブルガリアで流行があった。11月〜12月には米国,イタリア,英国から,その後エジプト,米国,日本,台湾でも小流行または散発例から分離されている。
A(H3N2)―今季は少ない。北日本,トリニダードトバコ,グァム,台湾,イラン,イスラエル,イタリア,パキスタン,英国から分離が報告されている。
(最近の分離株の抗原性)
B―アジア,アメリカ大陸,ヨーロッパの分離株はすべてB/Singapore/222/79型である。
A(H1N1)―大部分A/England/333/80型,一部はA/Brazil/11/78型。
A(H3N2)―大部分東南アジアの株についての成績であるが,これら地域では依然として抗原的にヘテロで,A/Texas/1/77,A/Bangkok/1/79,またはA/Bangkok/2/79型である。やや変異のあるA/Shanghai/31/80に似ている株が多く分離されるが,この株は他の株と同時に分離され,疫学的な重要性は認められていない。
(ワクチン推奨株)
A/Bangkok/1/79(H3N2)類似株
A/Brazil/11/78(H1N1)類似株
B/Singapore/222/79類似株
現在大部分の青年は感染を経験しているので,高いantigenic primingが期待できるから1回投与でよいだろうが,感染していない子供あるいは過去4年間にワクチンを受けていない子供は,少なくとも4週間隔で2回接種が必要だろう。
(WHO,WER,57,bW,1982)
Table 1. Haemagglutination-Inhibition Reactions of Influenza A(H3N2)Viruses
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