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Vol.3 (1982/5[027])

<国内情報>
昭和56年度における恙虫病について


 昨年と同じように鹿児島で多発している。県内いたるところに患者が発生し,限局した有病地域がみられない感じである。熊本の方に波及してか,熊本県でも5名の患者発生がみられている。鹿児島県では55年度のときには流行半ばにして恙虫病いうことがわかり,それ以後の届けで患者数を把握しているが,56年度は県の努力も加味されて,届け数がほぼ実数と思われ,おそらく55年度と大差ない発生数とも思われる。

 季節と関連しての発生状況を配慮して,4グループに分けてみた。この4グループの発生状況を表に示したが,東北地方は春に多く発生しているが,他は秋に多発している。また,九州地方は晩秋から2月にかけて発生している。暖かいためと思われる。春季発生がかなりあるが,この解明にはツツガムシの生態を知る必要があろう。また,刺し口が2つ以上みられる患者が多いが,発疹との区別が問題である。宮崎県は55年と同じように霧島岳の東斜面に位置する小林市近郊にて多発している。群馬県や長野県で春に発生したので56年秋には多くの発生があるこを予想していたが,例年通りの発生であった。

 参考までに職業および作業別の患者分布および地域グループ別の主要症状出現率を表出した。なお,静岡県富士山麓で感染した患者は従来より軽症といわれているが,そのためか,発疹,発熱の出現率はやや小さいようである。



群馬県衛生公害研究所 氏家 淳雄


表.全国ツツガ虫病発生状況(昭和56年度)
図.職業及び作業別患者分布状況
表.地域グループ別の主要症状





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