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血清診断によるB型肝炎患者の報告は1972年から75年まで増加していたが,これはおそらく検査の普及と感度の向上によるものと考えられ,75年から79年までは大きな変動はなかった。この5年間のCDR(Communicable Disease Report)の統計によると,患者の3分の2が男性で,14歳以下と65歳以上は少なく,年間発症率は15〜64歳で人口10万対男4.0,女1.8であった。5282例中何らかの背景が明らかとなったものは51%で,薬物濫用者が最も多く18%であった。患者あるいはキャリアーに接触した416例には医療スタッフや入院患者は含まれておらず,うち217例は性的接触,64例は家庭内の接触であった。ほとんどの感染は散発であるが,はり治療院における28例,刺青による6例,婦人科手術関連の7例の集団発生があった。家族内感染は35家族73例報告され,うち21家族は夫婦が患者の例であった。多くの精神薄弱者施設で特有の常在的感染パターンが見られ,49例の患者と46例のスタッフは大抵散発的に急性患者よりむしろキャリアーにより感染している。医療スタッフではこの46例を含め,287例報告されているが,腎透析のスタッフは5例だけで,しかも異なる所で働いていた。その他には海外勤務において,感染を受けたものなどがあった。ほとんどのスタッフが感染に気づかず,予防に免疫グロブリンを用いたのはわずか9例であった。2名の看護婦と1名の歯科医が死亡した。
(CDR,82/14にもとずきWHO,WER,57,25,191,1982)
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