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Vol.3 (1982/8[030])

<外国情報>
不活化HBウイルスワクチン(米国)


 今日まで12,000人がHBVワクチンを受け,最大3年間にわたる観察がなされた。

 米国では毎年約20万人の主として若年成人が感染をうけ,その4分の1が黄疸となり,1万人以上が入院し,平均250人が急性症状で死亡している。少なくとも6か月以上の間隔をおいた2時点で,HBs-Ag陽性のものをキャリアーと定義すると,周産期にHBe-Ag陽性の母親より感染をうけた児では90%と高率にキャリアーになるが,成人では6−10%が感染後キリャアーになる。米国では現在40〜80万人のキャリアーがいると概算される。キャリアーの25%以上(10〜20万人)が慢性肺炎を発症し,しばしば肝硬変になる。毎年4,000人がB型肝炎関連の肝硬変で死亡し,800人以上がB型肝炎関連の肝癌で死亡していると推測される。

 HBVの感染は汚染された針や性的接触により経皮的,経粘膜的に起こる。家族同士や施設内の子供同士のような密接な個人的接触でも感染が広がる。HBsAgのスクリーニングにより輸血や血液製剤による感染は大きく減少した。

 血清調査の結果,一般集団の感染は低率であるが,高率に感染を受けている集団もある。HBs-Ag陽性率の高い順にいうと,HBV流行地よりの移民・難民13%,精神薄弱者施設入所者10−20%,注射による薬物濫用者7%,ホモの男性6%,キャリアーの同居者3−6%,腎透析患者3−10%,刑務所に服役中の男性1−8%,精薄施設のスタッフ1%,頻繁に血液を取り扱う医療スタッフ1−2%,である。血液を取り扱わない医療スタッフや健康成人(初回献血者)では0.3%と低いので,このような危険率の高い集団に属するものに対してはワクチンを用いて予防する計画が勧められる。抗体(抗原)保有率の高い集団ではスクリーニングを行って感受性者にワクチンを用いる方が経済的である。感染機会のあった後のワクチン接種は,キャリアーの母親より生まれた児に対して生後3か月ぐらいにHBIGの投与と平行してあるいは切り替えて用いられたり,患者と性的あるいは家庭内で接触したものや医療事故の場合にHBIGと併用されているが,現時点ではまだ効果について述べることはできない。

(MMWR,31,24,317,1982)






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