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1982年夏季には手足口病が流行した。図1にみるように,流行は4月以降日本の南から順に北へ拡がった。この図は各定点からの報告を週毎に地域別に集計したもので,縦軸には一定点あたりの報告数が対数目盛りでとってある。年齢別では1〜4歳が70%を占め,5〜9歳がこれについで約20%である。
一方,1981年7月から1982年9月までに報告されたウイルス分離成績のうち,手足口病症状のあった患者から分離されたウイルスは,コクサッキーA16型が204,コクサッキーA10型が16,エンテロウイルス71型が20で,この他に少数のコクサッキーウイルスやアデノウイルスが報告された。これを月別にみると(図2と表1)手足口病の病因とされる3種のウイルスのうち,コクサッキーA16型の分離数が圧倒的に多数であるが,エンテロ71型が患者発生の増加に伴ってふえており,混合流行の様相を示しているのが注目される。ウイルス検査は現在実施中のところが多く,今後も両ウイルスとも報告が追加されるとみられる。エンテロ71型は81年中は神奈川,大阪,三重,82年は現在までに長野,仙台,福岡,秋田,山形から報告されている。このウイルスの感染は脳神経症状を伴うことが多いので無菌性髄膜炎等の病因としても警戒を要する。
図1.地域別にみた手足口病患者の発生状況
図2.手足口病の患者発生状況とウイルス検出状況
表1.手足口病の症状のあったものからの検出数/総検出数(1982年9月までの報告数)
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