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Vol.3 (1982/10[032])

<国内情報>
57年度春季における恙虫病発生状況


昨年度における春季発生は60例であったが,57年度の発生は99例と今年も増加の傾向が見られる。表に示していないが,福島,富山,千葉,東京,愛媛,高知,大分,宮崎の各都県は発生例がないようである。

 7月にも多少の発生は見られているが,春季でないので除いている。しかし,これらの例が古典型というのではなく,恐らく春季発生例と同じような新型に属するものと思う。

 秋田大学の須藤先生のところで間接免疫ペルオキシダーゼ反応(IP)を用いて血清抗体価を測定しており,岩手県,青森県,山形県および岐阜県の依頼にも応じているが,その他の機関では間接螢光抗体法で抗体価を測定している。岐阜県で今年4月に初めて発生があり,22歳の娘さんが死亡しているが,この例について,秋田大学でIPを用いて血清抗体価を測定し,診断に資している。この際,Gilliam. Kato. Karpの各抗原を用いているが,Gilliam抗原で最高の抗体価を得ている。岐阜県で発生した6例のうち2例がGilliam 抗原に高い抗体価を示しているが,病原のリケッチアがGilliam型であると即断するのは危険が多いと思う。また,青森県の患者で,都合により秋田県に届出した例がみられたが,ここでは青森県に表示した。

 年齢分布および性別は例年のごとく,40歳から70歳未満のものが多く,なかに年齢不明のものが1例あったので,総数は99名で,うち男性が49例,女性が50例であった。

なお,病原微生物検出情報(第27号)に昭和56年度の発生について記載したが,投稿してから,東京都の伊豆七島で48例の発生があったことがわかり,ここに訂正した表を示したい。もっとも,この表はすでに6月発行の臨床と細菌(9:176−181)に示してある。



つつが虫病の春期発生状況(57年4月〜6月)
春期発生つつが虫病患者の年令分布
全国つつが虫病発生状況
(昭和56年度:56年4月〜57年3月)



群馬県衛生公害研究所 氏家 淳雄





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