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Vol.3 (1982/10[032])

<外国情報>
妊娠中の風疹ワクチン接種―米国,1971〜1981


CDCは1971年から妊娠前後3ヶ月に風疹生ワクチン接種を受けた者について追跡している。

 1971年1月から1981年12月までに730例が報告された。538はCendhillまたはHPV-77ワクチン,189はRA/27/3ワクチン,3は不明。接種時215(29%)は抗体陰性,42(6%)は抗体陽性,473は不明である。Cendhillワクチンでは追跡結果の得られた500例中58%,RA/27/3ワクチンでは177例中86%が出産した。いずれのワクチンでも,抗体陽性者の新生児は異常なかった。Cendhillワクチンについて,抗体陰性または不明でワクチンを受けた妊婦からの出生児のうち,8名について胎盤感染が,IgM検出,6ヶ月以上抗体持続またはウイルス分離によって認められた。これらは現在2〜7歳だが,いずれも先天性風疹症候群(CRS)は認められず,正常に生育している。抗体陰性者の流産児85中17からウイルスが分離された。妊娠継続者100名中6例の自然流産が報告された。

 RA/27/3ワクチンについても,大体同じような結果で,抗体陰性者からの1児でIgM抗体が検出されたが,生後6ヶ月まで異常は認められていない。

<註>風疹生ワクチンは1969年に許可されて以来,胎児へのワクチンウイルス催奇型の危険性が指摘されてきた。このCDC調査は,医師,衛生部,あるいは妊婦から資料が得られている。この資料によれば,最も危険な時期(受胎前1週間から受胎後4週間;最終月経初日から14日目を受胎日とした)に,合計54名の抗体陰性者がワクチン接種を受けたが,CRSの発生はみられていない。それゆえワクチン投与によるCRS発生率は0で,95%の危険率で理論的信頼限界の上限は3%であり,これは,妊娠3ヶ月以内の野性株感染の場合の20%以上にくらべればはるかに低い。本成績から予防接種諮問委員会は,妊娠3ヶ月以内のワクチン接種によるCRS危険率は無視しうるとしている。

 とはいえ,妊婦への接種は避けるべきであり,接種後3ヶ月は避妊するという方針はかわらない。

(CDC,MMWR,31,35,477,1982)






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