HOME 目次 記事一覧 索引 操作方法 上へ 前へ 次へ

Vol.3 (1982/11[033])

<国内情報>
Cary-Blair培地を用いたCampylobacterの保菌率について


Campylobacterは食中毒原因菌および感染症起因菌として数年来注目され,感染性下痢症(とくに小児感染性下痢症)より高率に分離されている病原菌である。感染経路についても多くの報告が見られるが,今回は香川県における食品取扱者の保菌状況について,三保健所の協力を得て実施した。

 方法

A保健所391名,B保健所458名,C保健所445名,計1294名を対象とした。採便直後の糞便を綿棒に採取し,Cary-Blair培地に穿刺し,翌日送付を受け,検査を行った。分離培地としてSkirrowの培地を使用したが,同時に増菌培養も行った。増菌培地として,5%馬溶血液加Brucella BrothにVancomycin 40mg/1 ,Polymxin B5000I.U./1,Trimethoprim 50mg/1を添加したものを使用した。なお,培養は42℃で48時間混合ガスを用いて行った。

調査成績

 1294名中28名(2.2%)よりC.jejuniを分離した。従事している職種別では食肉関係275名中12名(4.4%)食堂経営および従業員161名中5名(3.1%),給食センター職員105名中5名(4.8%),旅館従業員119名中1名(0.8%),その他(製菓業,パン工場,缶詰製造業等)634名中5名(0.8%)であった。食肉関係では販売業者から検出せず,解体処理業者から分離された。保健所別の分離率は,A保健所2.3%,B保健所3.1%,C保健所1.1%であった。A,B保健所は,事業所を主にした製造業が多く,C保健所は観光地でもあり,自営の販売,サービス業が主であった。なお,直接分離と増菌培地を用いた場合の検出率は,直接分離13/1294(1.0%),増菌培地27/1294(2.1%)で増菌培地を併用した方が,当然ではあるが高い検出率を示した。山口衛研松崎らは,従来の採便方式で1.2%の保菌率と報告しており,Cary-Blair培地を用いても分離率にあまり差はなかった。



香川県衛生研究所 十川 みさ子・吉原 丘二子
         香西 俶行・岡崎 秀信





前へ 次へ
copyright
IASR