1981年，ＷＨＯに報告されたペスト患者は計191例で，うち死者は24名である。これは過去最低の報告数で，例えば1980年度はそれぞれ505と56である。とくにアジア諸国での減少が目立った。アフリカでの50例のうち41はマダガスカルで発生しており，死亡例もすべてここから報告されている。アジア諸国からは計13で，うち11名はベトナムからであるが，死者はアジアではなかった。

128例が南北アメリカから報告され，米国合衆国についてみれば，４名の死者を含む13名の発生があった。動物由来のはっきりした症例もあるが，感染経路のはっきりしない場合でも，1970〜1981にかけて米国南西部でみられたげっ歯類におけるペスト流行との関係が示唆されている。その他，ボリビアから死者１名を含む21例，ブラジルから59，ペルーから27などが報告され，以上が主要発生国であった。

（ＷＨＯ，ＷＥＲ，57，��38，289，1982）