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Vol.4 (1983/2[036])

<特集>
無菌性髄膜炎


 感染症サーベイランス情報の無菌性髄膜炎患者の発生報告数は夏にピークを示した(図1)。

 無菌性髄膜炎患者から分離されたウイルスは,図2のようにやはり夏に多く,年間では1981年は336と多数報告されたのに対し,1982年は142と少なく,髄膜炎に関するウイルスの動きは低調だった(19頁,表1参照)。ウイルスの種類では,エンテロウイルスが圧倒的に多く,1981,1982年両年を通じて85.4%(408/478)を占めており,うち88は髄液から分離された(表3)。

 分離ウイルスの型は,1981年と82年では大きく異なり,1981年の主役はコクサッキーB5型,エコー11型およびエコー18型で,これらの合計が66%を占めた。これに対し,1982年はこれらのウイルスはほとんど分離されず,代ってコクサッキーB3型(40%)ついでエコー11型(11%)が多かった。

 髄膜炎病原ウイルスとしてムンプスは最も頻度が高いとみられるが,これが分離数に反映しないのは,ムンプスの診断が臨床的に容易であるため検査が実施されることが少いことによると考えられる。エンテロ,ムンプス以外のウイルスも分離されているが,分離材料が髄液以外なので,病原としての決定はむずかしい。

 ウイルスが分離された髄膜炎患者の年齢は0−2歳(31.4%)3−5歳(33.5%)が1/3ずつを占めた(表2)。



図1.無菌性髄膜炎の患者発生状況(感染症サーベイランス情報)
図2.髄膜炎の症状のあったものよりの月別ウイルス分離数
表1.髄膜炎の症状のあったものの検体採取の年月別ウイルス検出状況
表2.髄膜炎の症状のあったものの年齢別ウイルス検出状況
表3.髄膜炎の症状のあったものの検体の種類別ウイルス検出状況





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