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1982年1月から11月の間に114件の患者結膜ぬぐい液を採取し,ウイルス分離試験をおこなった。
検体採取法は滅菌綿棒で患者の眼瞼結膜を強くこすり,ただちに少量の0.5%bovine albumin加veal infusion brothを分注した試験管に入れ,−20℃フリーザー中に凍結保存した。使用した培養細胞はFL,HEp2(Flow Lab.),HEL(ヒト胎児肺),Vero#462(デンカ生研),HeLa(岐阜衛研)で,24穴プラスチックトレイ(Nunc製)に培養し,HeLa以外の4細胞については1%FCS加MEMを維持液として検体接種後1週間,HeLaは1%FCS加YLEを維持液として同じく10日間,37℃にセットした炭酸ガス培養装置で静置培養した。すべての細胞の場合とも3代継代培養をおこなった。
結果は表1に示すとおりで,アデノウイルス(ADV)14株,エンテロウイルス70(EV70)4株,未同定ウイルス6株の計24株を分離した。ADVについては検査対象が散発例であったこともあって,6種類の血清型にわたって分離された。未同定ウイルスについては検討中であるが,この中にもEV70が含まれている可能性がもたれている。細胞別ウイルス分離状況は表2のとおりで,EV70はすべてHeLaで,ADVはすべてHEp2とHeLaで分離されている。FLで分離されたADVはすべてHEp2でも分離されているので,ADVとEV70分離に関する限りは,HEp2とHeLaを使用することによりカバーできた。なお,EV70の性状についての詳細は検討中である。
東京都立衛生研究所ウイルス研究科
表1.ウイルス分離試験成績
表2.細胞別ウイルス分離状況
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