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Vol.4 (1983/2[036])

<国内情報>
東京都内に発生した急性結膜炎患者からのウイルス分離試験について


 1982年1月から11月の間に114件の患者結膜ぬぐい液を採取し,ウイルス分離試験をおこなった。

 検体採取法は滅菌綿棒で患者の眼瞼結膜を強くこすり,ただちに少量の0.5%bovine albumin加veal infusion brothを分注した試験管に入れ,−20℃フリーザー中に凍結保存した。使用した培養細胞はFL,HEp2(Flow Lab.),HEL(ヒト胎児肺),Vero#462(デンカ生研),HeLa(岐阜衛研)で,24穴プラスチックトレイ(Nunc製)に培養し,HeLa以外の4細胞については1%FCS加MEMを維持液として検体接種後1週間,HeLaは1%FCS加YLEを維持液として同じく10日間,37℃にセットした炭酸ガス培養装置で静置培養した。すべての細胞の場合とも3代継代培養をおこなった。

 結果は表1に示すとおりで,アデノウイルス(ADV)14株,エンテロウイルス70(EV70)4株,未同定ウイルス6株の計24株を分離した。ADVについては検査対象が散発例であったこともあって,6種類の血清型にわたって分離された。未同定ウイルスについては検討中であるが,この中にもEV70が含まれている可能性がもたれている。細胞別ウイルス分離状況は表2のとおりで,EV70はすべてHeLaで,ADVはすべてHEp2とHeLaで分離されている。FLで分離されたADVはすべてHEp2でも分離されているので,ADVとEV70分離に関する限りは,HEp2とHeLaを使用することによりカバーできた。なお,EV70の性状についての詳細は検討中である。



東京都立衛生研究所ウイルス研究科


表1.ウイルス分離試験成績
表2.細胞別ウイルス分離状況





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