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Vol.4 (1983/4[038])

<国内情報>
伝染性軟属腫ウイルスの電顕的検出


 昭和57年12月初旬,大阪市内のスイミングスクール(登録者数約2600名)に通う小児12名に伝染性軟属腫の発生があり,大阪市環境保健局環境衛生課からの依頼を受けて,プール水(異なった場所から採水した5検体,各2l)と患者の皮膚病変剥離物2検体について,細胞培養によるウイルス分離試験並びに電子顕微鏡によるウイルス粒子検出試験を実施した。

 プール水はフィルター吸着法により約1/500に濃縮し,AGMK,HeLa,RDの3細胞に接種し,37℃にて通算20日培養を継続したが,全例において,細胞変性を認めなかった。細胞接種に供試した検体を超遠心法により,さらに1/20に濃縮し,2%PTAネガティブ染色法にて電顕的観察を実施したが,全例において,ウイルス様粒子を認めなかった。

 患者材料については,スライドグラス上に付着した患部剥離物に少量のPBSを滴下し,剥離物をPBSと共に懸濁し,3000rpm,20分の遠心上清について,2%PTAネガティブ染色法により,電顕的観察を実施した。供試した2検体(No.1−男,3才。No.2−男,9才)において,図1に示すような,Pox様ウイルス粒子が観察された。これらPox様ウイルス粒子は検体の由来と観察された粒子の形状からMolluscum Contagiosum Virusと判定された。電顕観察に供試した同一検体をHeLa,RDの2細胞に接種し,37℃にて培養を継続したが,細胞変性は認められなかった。



大阪市立環境科学研究所 ウイルス課


図1.患者皮膚病変剥離物より検出されたMolluscum Contagiosum Virusの2%PTAによるネガティブ電顕像。Bar=100nm





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