|
届出報告およびマラリアレファレンスラボラトリーで血液塗抹試験によって確認された1981年中の英国の輸入例は1575例で,これ以外に先天性感染例が1例あった(図1)。患者年令は前年同様25〜34才群が最も多く(22%),20〜64才が62%を占めた。死亡は熱帯熱マラリア原虫による2例であった。患者のうち410例は英国在住のアジアまたはアフリカ人で,インドやアフリカに旅行した者である。熱帯熱マラリアはアフリカ東北部,三日熱マラリアはインドから主に輸入されている(表1)。世界のマラリアの情勢は多くの国で悪い方向にかわりつつある。アフリカ東北部の年間発生数約5.5百万(多分過少評価だろう)以外に,1980年WHOへの報告数は8.2百万(1979年は7百万,1978年は8.9百万)である。アジアではバングラディシュ,中国,フィリピンが増加した。アメリカ大陸では多くの国で増加がめだち,1975年以来薬剤耐性が問題になっている。
英国の最近の減少傾向は多分インド地方の発生減少の影響だろう。また,熱帯熱マラリアもふえていないことから,薬剤予防法の教育効果があがっているとみられ,さらに宣伝を強化すべきである。
(CDR,83/07)
図1.マラリア 1948〜1981
表1.
|