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Vol.4 (1983/7[041])

<外国情報>
コクサッキーB5流行:カナダ


 1982年5月15日から9月25日の間に,ケベック州モントリオールの小児病院で,198例のウイルス性髄膜炎がみられた。半分は7月に起こった。

 130人の少年と,68人の少女の平均年令は4才半であった。診断された時,一番幼い子は生後9日,最年長は15才,41人が1才以下であった。重症者はなく,全身状態は66%が良好,やや不良が34%であった。ウイルス学的検査をされた186人中61人(33%)がコクサッキーB5ウイルス(CB5)陽性で,この中の56人のCSFからウイルスが分離された。中和試験では検査された5例中4例がCB5陽性,1例がアデノ5型陽性であった。このどの例も組織培養でウイルスが分離された。129人の子供の入院期間は平均4日間であった。

 11人(6%)の子供が一時的に余病を併発した:脱水症状(3例),運動失調(3例),熱性痙攣(2例),無呼吸痙攣(2例)と失神痙攣(1例)。後遺症はなかった。脳波測定は6人の子供について行われ,5例に大脳半球の後方付近に軽い機能障害がみとめられた。ウイルス感染を受けた基礎疾患のある2人の子供は重症ではなかった(1例は5ヶ月前に淋巴腫と診断され,もう1例は4ヶ月前に髄芽細胞腫の手術を受けていた)。このグループではないが,CB5が6人の子供から分離された。4人は他の理由で入院していて,重篤な院内感染をおこした。これ以外に手足口病の子供の口の水疱と,髄膜炎例の喉からCB5が分離された。

 この報告は,季節的なウイルス性髄膜炎の病因におけるコクサッキーウイルス,とりわけCB5の役割を明らかにした。さらに髄膜炎の徴候がなく手足口病の特徴的な病変を持つ特異なCB5感染例の存在を示した。

(WHO,WER,58,No.21,163,1983)






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