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以下の調査は第5病とウイルスの関連の明確な最初の報告である。今年ヒトパルボウイルスの流行はロンドンの他の地区でも報告されている。ロンドンにおける1982年の血清学的調査では,5才以下の90%および大人の40%近くがこのウイルスに対し抗体陰性だった。今回の流行像はこの感受性をよく反映している。第5病におけるヒトパルボウイルスの原病的役割を研究するためにPHLSは研究班を組織した。第5病は臨床的に診断しうるとされるが,発疹と関節痛の併発が風疹と診断されることがある。シングル血清で診断しうる検査法が確立したので,CDSCは第5病や類似疾患の発生報告を歓迎している。
第5病は多く子供におこる急性発疹症で,紅斑の斑点状丘疹が顔からはじまり,打たれた頬のようになる。最も特徴的なのは,中央が退色した網状かレース様の躯幹および四肢の発疹である。関節痛がおこることもあるが,機能的症状はない。発疹は通常1週間以内に消えるが,その後数日か数週間,特に日光や入浴で一時的に再発がおこる。主に晩冬と春に発生する傾向がある。
第5病は長くウイルスによると思われてきた。しかし,現在までに風疹やエコー12型の分離が報告されたことがあるが,いずれも病因としては否定されている。これら初期の研究ではヒトパルボ感染の診断はなされていない。このウイルスは最初,無症状の献血者血清中にみつかり,後に軽い発熱または慢性の出血性貧血に伴って検出された。
最近のロンドン北部の第5病の発生でヒトパルボウイルス感染を証明する機会を得た。3月初めから5月下旬までに2つの小学校で430人中101人および229人中51人が発症した。これら生徒と接触した家族および同地域の他の学校でも少数の発生例があった。今回までに子供31人(4〜12才),青年2人(15と17才),成人8人,合計41例から血清を採取した。このうち20例は7家族(2〜5人の家族構成)のものである。18人(48%)が顔に発疹があり,12人(31%)に再発が,また,関節痛は子供2人と成人2人にみられた。シングルの回復期血清は発症1ヶ月以内が28例,2ヶ月以内が10例,3ヶ月以内が3例えられた。IgM抗体Capture RIAで血清中のパルボ特異IgMが測定され,子供31例全部と2人の青年に検出された。発疹発現直後の血清は強陽性を示し,特異IgM量は時間と共に減少した。大人では8名中6名が陽性であった。内訳は発症した子供4家族の親と2人の教師であった。発症しなかった7家族および生徒の血清は陰性だった。
これらの結果から,ヒトパルボウイルスが今まで捕らえられなかった第5病の病因ではないかと考えられ,全面的な疫学的,ウイルス学的調査が進行中である。
(CDR,83/23,3)
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