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1983年の5月5日までにWHOに報告された資料によれば,1982年度における世界のコレラ患者発生数は54,856であるが,ちなみに1981年度は,36,840であった。この増加はアフリカにおいて前年度(17,521)を上まわる37,428という大発生があったためである。その主なものは南アフリカとザイールにおける大流行であった。対照的に,アジアにおいては1981年度における19,255から,1982年度は15,191に減少した。この減少の主たる理由は1981年度における東地中海地区での流行の消退である。
今後,疫学的に警戒を要することは,バングラディッシュにおいて古典型コレラ菌が再び現われたことで,1979〜1981年度に多少の散発例をみたあと,1982年度後半になって患者数は551および,期間は7週にわたった流行をみた。今回の分離株は1969〜1979年の分離株と生化学的テストで区別できず,また,ある地区ではエルトール型と一緒に分離されている。
(WHO,WER,58,No.27,205,1983)
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