HOME 目次 記事一覧 索引 操作方法 上へ 前へ 次へ

Vol.5 (1984/3[049])

<外国情報>
ライ症候群(Reye syndrome)−英国


 ライ症候群の病因は不明だが,遺伝的に感受性の高い宿主のウイルス感染に対する異常反応ではないかと考えられている。インフルエンザと水痘ウイルスが関連が高いが,他のウイルス感染後にもおこることがある。

 英国では,小児科学会と伝染病サーベイランスセンターの協力によるライ症候群報告システムが1981年8月に発足した。これは本症の発生と特徴の記録と長期追跡,および発生登録,血清や組織のバンクの確立を目標としている。本報は第1年次の成績の報告である。

 1981年8月〜1982年7月までに17病院から30例が報告された。確定された症例は11,疑似16,否定例は3例であった。年齢は3ヶ月〜14歳(中間値14ヶ月)。確定例11中9例は前駆症状(嘔吐3,低血糖症7,高アンモニア血症9)がみられた。疑似の16中1/3は前駆症状はなく,2のみが嘔吐があった。肝腫は確定および疑似例では半分以下だった。死亡例は確定8,疑似8で,疑似6例に後遺症が残った。肝臓が組織学的に検査された17例中,11は典型的な変化を示し,4例は疑似とされた。否定2例の生検では,1例はα−1トリプシンインヒビター失損症,他は出血性ショック性脳症とされた。

 ウイルス学的検査でウイルス分離または血清学的(4倍以上の上昇)に感染が確認されたものは確定例では水痘1,マイコプラスマ1,エコー11 2,アデノ1,疑似例ではRS2,インフルエンザB2,エコー15 1,エコー22 2,アデノ7 3であった。

 発生率は15歳以下で10万あたり0.21,地域集積性はなく,2,3月がやや多いものの,季節性は明らかでない。前駆症状の率は米国に比べ少なく,死亡率59%(16/27)は米国の2倍であるが,これは調査が1年目のため報告が不備だからだろう。

(CDR,83/39,1984)






前へ 次へ
copyright
IASR