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Vol.5 (1984/4[050])

<国内情報>
昭和58年秋〜59年春のインフルエンザ様疾患発生状況


 今シーズンの本疾患の集団発生は,昭和58年9月27日に東京都で初発し,58年中は東京都を中心に患者が増加し,最近5年間では最も患者数の多かった56〜57年のシーズンに匹敵する発生になった。しかし,59年に入り患者数の増加が鈍り,1月22〜28日の週に最近5年間では最も患者数の少なかった昨シーズンより少し多い185,022人をピークに急速に患者数が減少した。最終的に,患者数は43万3754人で,最近5年間では最も小規模の流行におわった。

 昭和58年中には23都道府県から発生報告があり,1月23日には最も発生が遅れていた岩手県,福島県でも発生報告がなされ,全都道府県から発生報告がなされた。患者数から本疾患の発生規模を都道府県別にみると,北海道では約7万人,福岡県では約4万人で他県に比しかなり流行したと考えられ,東京都,大阪府,島根県,高知県でも2万人を超えており,他県に比し流行したもようである。一方,茨城,栃木,千葉,福井,愛知,徳島,宮崎,鹿児島,沖縄の各県では1000人以下で流行は小さかったと考えられる。

 今シーズンのインフルエンザウイルスの流行株は,Aソ連型(AH1N1)であり,58年11月12日に東京都で検出されて以来,和歌山県を除く都道府県で検出された。なお,横浜市ではB型も検出された。今シ−ズン初期に分離されたのはA/熊本/37/79類似株であったが,その後本株からかなり変異したA/Dunedin/6/83類似株が主流になった。

 今シーズンの本疾患の発生が小規模であったのは,Aソ連型は昭和52年から流行しており抗体保有率が高かったこと,また,ワクチン接種等により,Aソ連型に対し抗体価が高く,A/Dunedin/6/83類似株に対しても十分な抵抗力を獲得していたためと考えられる。



厚生省保健情報課


インフルエンザ様疾患週別発生状況(1977年〜1983年)





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