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Vol.5 (1984/4[050])

<外国情報>
1983年の米国における結核


 1983年度,CDCに報告された結核発症例は暫定的総数として23,532であり,前年度の25,520に対して7.8%減となっている。ちなみに,1968〜1978年における米国の平均的結核減少率は5.6%であり,ただし,インドシナからの大量の難民の流入した1979〜1981年においては例外的に1.4%の減少率となり,1981〜1982年では6.8%であった。

 一方,結核による死亡例はひきつづきみられており,1982年における結核死の暫定的総数は1980で,これは国立衛生統計センタ−が死亡証明書の10%を抽出して行った計算である。この数は1979年の2012,1980年の1978とほぼ同数であるが,1981年の暫定推定数は1780よりは高い。

 編集部註:1983年における結核患者報告数の減少には3つの要因がある。(1)多くの州において,個々の患者の新しい全国的報告システムが採用されはじめ,症例確認が一層正確になったこと。(2)世界各地から結核症をもって流入する移民の数の減少したこと。インドシナからの難民に対しては化学療法を含めた管理を米国到着前に施行した。(3)国内の結核発症率はあきらかに減少している。

 1979〜1982年における年間結核死亡者数はほぼ2000であるが,これは1979年にCDCに報告された死亡統計において,38の感染症中第1位である。しかも,この数はのこり37の感染症による死者総数の合計を越えている。そして,1979〜1982年において結核死の減少はみられていない。この死亡率のさらに詳細な分析が現在進行中である。

(CDC,MMWR,33,bU,1984)






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