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Vol.6 (1985/2[060])

<外国情報>
麻痺型ポリオの流行−フィンランド


フィンランドでは1960年以来,対象者の90%以上をカバーする強力な免疫計画が実施され,これによって最近20年間はポリオの発生がなかった。免疫プログラムは不活化ワクチン6回投与(5ヶ月,6ヶ月,2歳,11歳および16歳)で,男性は20歳に軍隊で追加接種される。ワクチンはベルギーRIT社製である。

1984年10月半ばに,6歳男子髄膜炎患者から3型ポリオウイルスが分離された。ヘルシンキ近隣の健康者および接触者の調査でウイルスが散布していることが示された。これはフィンランドにおいて最近20年間に初めてみられた国内拡散例である。型別鑑別試験のためオランダに送られた6株はすべて非ワクチン様であった。

11〜12月に4例の定型ポリオ患者から3型が分離された。1人は31歳のワクチンを受けたことのない女性で妊娠29週だった。他の1人はホジキン病の33歳男性,20年前に1回だけワクチンを受けた。これ以外に軽症のポリオ3型感染例が2例診断された。調査した700例(大部分子供)のうち健康者99人が糞便または咽喉から3型を排出していた。患者,健康キャリアーとも国内のちがった地域にみられた。ヘルシンキの8地区から集められた8ヶ所の下水材料すべてから3型ウイルスが分離された。過去11年間の定期検査検体408では1株も検出されていない。

全国的ウイルス拡散が明らかになってただちに衛生専門家は,18歳以下全員にソーク型3混ワクチンの特別接種を勧告した。この特別接種は年少群から開始された。理由は,最近の抗体調査によれば,多くの年少者で3型に対する抗体が検出しえないが,加齢と共に抗体保有率が増加し,大部分の成人は追加免疫による抗体をもっているとみられるためである。2歳以上すべての年齢は1および2型に対する十分な抗体をもっている。さらに,フィンランド当局はマスキャンペーンを通じておよそ5百万の全人口にセービン型の弱毒性ワクチンを投与することを決定した。

(WHO,WER,60,No.2,1985)






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