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Vol.6 (1985/4[062])

<外国情報>
緩速料理用オーブンに関連したウエルシュ菌食中毒事件−英国


高温で料理後肉を長時間扇風機つきの電気オーブンでさまして食用に供したため肉中のウエルシュ菌が増殖して食中毒が発生した。

1984年9月14日の金曜夜,イングランドポーツマス地区の肉料理店でのパーティで食事をした21人中18人が腹痛と下痢症状を呈して発病した。潜伏期は15ないし23時間で,1人が嘔吐した。21人全員が肉汁スープ,クリーム,豚肉の3食品を食べていた。発病した患者18人すべてが豚のある関節の骨付き肉を食べた。一方,発病しなかった3人は別個の関節からの肉を食べていたので,この1本の関節肉が感染源としてもっとも疑われた。糞便材料を8人の患者と発病しなかった1人から9検体とったが,9検体とも血清型68のウエルシュ菌が検出された。7検体中のウエルシュ菌毒素検出量は,発病しなかった人の検体からは痕跡程度であったが,患者1人は検出されず,他の7人からは540ないし20.7ng/gと変動が大であった。料理店員3人をふくむ上述以外の8人がその後ローストビーフを食べた後24時間以内に下痢をした。8人中5人の糞便検体からウエルシュ菌が出た。4検体は血清型68で1検体はウエルシュ菌毒素検出が可能であった。料理店での骨付肉料理法は温度121℃で4時間加熱後,必要とされるまで66℃の温度に保たれたという。この店で使用されたオーブンは緩速料理型であって肉の重量と料理の必要度に応じてあらかじめ選定された時間127℃に加熱後肉を70℃に保つようにプログラムされている。料理後の肉は希望温度にセットされた電熱器上においた鋳造鉄板上に置かれる。鋳造鉄板は骨付肉上に位置する協力電燈によって熱を保持しつづけるのである。

環境衛生部の検証によると,1つのオーブン中の骨付肉は表面温度56℃であって,もう1つの別のオーブンは41℃で保たれるよう作動していた。肉料理に供された骨付肉の1つは50℃の表面温度だった。記録は不完全で,料理時間の長さや料理された時を確めることは不可能であった。たとえば豚肉と牛肉との間に相互汚染がおこる機会もあるわけで,おそらくこの疾患発生の場合にもそうであったことは,牛肉を食べた人と豚肉を食べた人の間で同一血清型のウエルシュ菌が検出されたことからも考えられる。生肉が加熱肉を汚染したという証拠はない。この発生例とは関係なく店員の病気は通例食料調達係マネージャーにも,地方衛生当局にも報告されず,環境衛生部が2回目の訪問をするまで店員の病気が報告されなかったということがわかり,問題とされた。

(CDR,85/06,1985)






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